地蔵の頭から登っています。今日の白馬は、いい天気です。
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先週末の土日、ぼくが主催している「アウトドアベーシックテクニック」と四国のアウトフィッター 「野遊び屋」 ジョイントの北八ヶ岳スノーシューツアーを開催しました。
ちょうど、日本にスノーシューが本格的に紹介され始めた2002年に第一回を開き、それから毎年、今の時期に開いています。 一度参加したメンバーは、すっかりスノーシューが病みつきになり、毎年のリピーターが多く、新年会も兼ねた形になっています。
今年は暖冬で、各地の雪不足が伝えられる中、北八ヶ岳は例年にない積雪で、パウダースノーに埋まった樹林帯の中は、 まさにスノーシュー天国でした。
初日は、メルヘン街道(R299)を茅野側から麦草峠方面に登っていき、途中のゲートで車を置いて、そこからスノーシュー開始。 カラマツの林は霧氷のように雪が着いて、幻想的な雰囲気です。
スノーシューのいいところは、スキーだと切り返しが大変で、枝などに引っかけやすいこういう場所に躊躇なく入っていけるところ。 夏場ではブッシュが酷くてとても踏み込めないこうした樹林の中は、冬は動物たちの楽園で、そこら中に鹿や狸、テン、 ウサギなどの足跡や樹皮を食べた跡があります。
しっとりと落ち着いた森は、まさに森閑として、立ち止まると、無音の宇宙を漂っているような気分になります。
初日は、この北八ヶ岳の斜面で散々遊び、雪の中でランチを楽しみました。
二日目は、原村にある定宿の「ペンション セコイア」を起点に、周辺の森を散策。 こちらは前日の場所より標高が低いせいもあって、さらに動物の足跡がたくさんあります。あまりにも多いので、 アニマルトラッキング用に図鑑でも欲しいところ。
樹林を抜けて雪原に出ると、青空の下、八ヶ岳が全景を披露してくれました。
誰でも、履いた瞬間に雪と友達になれるスノーシューイング。ぜひ、この冬のうちに、一度はお試しください!!
ちなみに、2月下旬に白馬でファミリー向けのスノーシューイングツアーも計画しています(詳細は、またこの場でお知らせします)。
**R299麦草峠下のゲートに車を置いてツアー出発**
**霧氷のように雪のついたカラマツが美しい。斜面の雪を踏み固めて、 ランチの準備**
**今年は木の実が少なかったせいか、アニマルトラッキング(動物の痕跡)がとても多い。 右はヌタ場**
**小回りの効くスノーシューは、どんなところでも行けるし、 遊び場に変えてしまう**
**今回使用したのはMSRの「デナリ」。急斜面の登降もこなすマウンテンモデル**
2007/01/30 カテゴリー: 01.アウトドアライフ, 06.ツーリズム, 12.グッズ、ギア | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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これから、折りに触れて、アウトドアを楽しむためのグッズ選びやノウハウをお伝えしていこうと思います。
その第一回は「メインザック」をお送りします。
■アウトドア装備を選ぶ基準■
「ニーズをはっきりさせること!」。須らくモノ選びで失敗しないコツは、一言でいえばそういうことです。いつ、誰が、どこで、何を、 どうするか、それがはっきりしていれば選ぶべきものは自ずと決まってくるはずです。とくに、アウトドアの装備に関しては、『機能性』 を第一に作られていますから、ニーズをはっきりさせることが、そのまま必要なモノを選ぶことに繋がっていきます。
ここでは、すべての装備を自分で背負ってフィールドに出かけるという条件をメインに、装備について紹介してみたいと思います。
まず、最初に押さえなければいけないポイントは、自分が求める機能がしっかり満たされていることですね。そして、 自分の背で運ぶわけですから、" 軽量性"、"コンパクト性"が次のポイントになります。さらに、フィールドでは、 計画段階では予測しなかった事態に遭遇することもありますから、できるだけ多くの局面で融通が効く"汎用性"もポイントの一つになります。
ザックといえば、かつてはキャンバス地でできた土色のキスリングザックが定番でした。これは横長な形のため、 うまくパッキングしないとバランスを失ってヤジロベエ状態で歩くハメになったものです。
ところが、いつしかザックは90度回転して、縦長型が主流に。
縦長型ザックの登場で、キスリングザックほど重心を気にする必要がなく(もちろん、今度は上下方向の重心が問題になるわけですが= 『パッキング』の項で解説します)、パッキングが非常に楽になりました。と同時にハーネスシステムが発達し、 ショルダーベルトにすべての荷重がかかる従来のタイプから、ウェストベルトで荷重を受け止めるスタイルとなって、 重い荷を担いだときの疲労が大幅に軽減されるようになりました。
現在の縦長型ザックは、その構造から、ソフトパック、エクスターナルフレームパック、 インターナルフレームパックの三種に大別できます。
ソフトパックは文字どおりフレームなどを使わず、 本体のパックに直接ショルダーベルトやヒップベルトなどのハーネスが取り付けられたものです。キスリングザックも構造からいえば、 ソフトパックに分類されます。ソフトパックは、海外遠征のアタック用ザックなどに、よく使われます。ソフトパックは、 文字どおりトートバックやズタ袋と同じようにシンプルな構造なので、パッキングの自由度が高いのが特徴です。しかし、裏を返せば、 パッキングが難しいということにもなります。フィールドへ出かけるために初めて選ぶザックとしては、あまりお勧めではありません。
エクスターナルフレームパックはバックパックと言ったほうがわかりやすいかもしれません (本来バックパックキングとはザックを背負って歩く行為全般を指し、"バックパック"は広義の"ザック"と同義なのですが、 日本ではなぜかエクスターナルフレームパックの代名詞として定着しています)。
これは背負子型の金属もしくは樹脂フレームにパックとハーネスをジョイントしたものです。昔、 バックパックを背負って北海道を徒歩旅行する人たちを『カニ族』なんて呼んでいたことがありましたが、 フレームむき出しのゴツいエクスターナルフレームパックを背負うと、甲殻類になったような気がしたものでした。
**この10年あまりぼくが愛用しているメインザック。モンベルの『ゼロポイントWBトレッキングパック』。
容量70㍑で、1週間くらいの山行は、楽にこなせる。WB はWishboneの略。
ウィッシュボーン型のインナーフレームに支えられて、万全のハーネスシステムと合わせて、とてもナチュラルな背負い心地。
ただしだいぶくたびれてきたので、次のメインザックを物色中**
エクスターナルフレームパックはザック本体が直接背中に触れないので、 多少ルーズにパッキングしても背負い心地はあまり変化しないという利点はあります。しかし、 フレームがむき出しで突起が多いこのスタイルでは、タイトな場所だと、木の枝や岩に引っかけやすいのが欠点です。
ベースキャンプまで比較的開けたフィールドで、メインザックはベースキャンプまで必要な装備を運ぶコンテナと割り切れるなら、 このタイプはベストでしょう。
インターナルフレームパックは、ザック本体にフレームが内蔵され、 これがザックの形を保つと同時に人間が背負いやすいように背中のカーブに合わせてフィットさせる機能を持っているものです。 比較的パッキングしやすく、ウォーキングから本格的な登山までカバーしており、 日本のフィールドの条件にいちばんマッチしているザックといえます。 ユーザーの体型や荷物の容量に合わせてハーネスがアジャストできるので汎用性も高いのが、このタイプの特徴です。欠点をあげるとすれば、 ザック本体にフレームが内蔵されているため、その分、外形のわりには容量が少なくなってしまうこと。 それにザック自体の重量がソフトパックに比べて重くなることです。インターナルフレームザックは、同じ容量の他のザックに比べ、 本体の外寸がやや大きくなります。
日本のフィールドの条件を考えると、個人的には、メインザックとしてはインターナルフレームパックをお勧めします。
**年々進化を遂げるザック。フレームはより立体的になり体にフィット、
ハーネス類も体への当りが柔らかくしかも負荷を分散させる構造になっている。
コンパートメントにアクセスするジッパーは止水タイプのものがスタンダードだ。写真はOSPREYの「アトモス50」
**
どんな装備でも、実際にその品物を手に取っ手選ぶことが大切です。とくに自分の体に密着するザックは、 ユーザーの疲労度を大きく左右するものですから、選ぶときは、実際にショップに足を運び、ダミーの荷物が入っているものを背負って、 背中へのフィッティングやストラップ類の使い勝手を十分に吟味することが大切です。
また、アウトドアの装備を選ぶ際には、"軽量性"がポイントだと申し上げましたが、それはザックも例外ではありません。 とくにフレームパックは、ザック自体の重量がけっこうありますから、ショップで手にとるときに、重さもしっかりチェックしましょう。
ソロでフィールドに出るよりは、グループで出かける機会が多いという場合は、 テントやコッヘルといった大物装備は共同装備として分担できるので、必ずしも全員が大型のザックを使う必要はありません。 例えばカップルでキャンプする機会が多いのなら、荷物をたくさん背負う男性は60㍑~70㍑容量のインターナルフレームパック、 女性は30㍑~40㍑容量の中型インターナルフレームパック(ソフトパック)という組み合わせが合理的でしょう。
2007/01/26 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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今や世界的にも広く認知された「モンベル」ブランド。
その展示会にお邪魔してきました。
秋冬もののクロージングが中心の今回の展示会では、ウールやダウンといった天然素材の見直しや、 ミッドレイヤーにダウンジャケットを用いたり、ソフトシェル、ハードシェルの素材の見直しなどで、 大幅に軽快に運動性が高くなっているのが目につきました。
また、広報の森下さんといろいろお話をして、冬場のスノーシューや夏場のシーカヤックやラフティングなど、 初めてでもフィールドを存分に楽しめるアクティビティが今後ますます広がっていくでしょうねなんて、お互いに納得しました。
さて、明日、明後日と好例の八ヶ岳スノーシューイングで、 雪まみれになってきます!!
2007/01/25 カテゴリー: 12.グッズ、ギア | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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幼い頃、祖母が自分の青春時代についてよく語ってくれた。
女学校に行きたかったのが、家が没落したために行けず、かわりに10代半ばで、大正時代初期としては珍しい看護学校に通って、 そこを卒業してからは助産婦として、看護学校を運営していた病院に勤めたこと。
看護学校と病院は東大の近くの西片町にあって、祖母が仕事を終えて近くを通ると、東大の学生寮は遅くまで電気がついていたという。 女学校からさらに上の学校に進むことを望んでいた祖母にとって、 夜遅くまで勉学に励む東大(当時は帝大だが)の学生たちはとても羨ましかったようだ。
94歳で大往生を遂げた祖母の遺品を整理していると、看護学校時代のノートが出て来て、 そこにはイタリア語やドイツ語の書き付けがたくさん記されていた。
祖母は、昔の人としては晩婚で、26歳で結婚したが、10代半ばから結婚までの間は、やはり当時としては珍しく、 一人で西片町の下宿で暮らしていた。
幼い頃、西片町の話はことある毎に祖母の口から出ていたので、いつしか、それは、僕自身の記憶のようにすり込まれていた。
そして、つい先日、久しぶりに知り合いのグラフィックデザイナーのことをふいに思い出し、連絡をとってみたところ、 なんと祖母の思い出の地、西片町に引っ越しして、今はそこに住んでいるとのこと。
数年前に同じ下町の根津に住んで、その時に一度パーティに呼ばれて訪ねたことがあった。それで、二ヶ月ほど前に、 芸大から根津のほうを回ったときに、彼女のことを思い出して、懐かしく思いつつ、同時に西片町も近いので、 祖母の青春時代のことも思い出したことがあった。
今回連絡をとってみたのは、SNSのぼくのエントリーに足跡を残してくれて、彼女を思い出したためだったが、 西片町に引っ越したことに加えて、そこで共同生活している夫婦が自宅出産して、この15日に娘さんが生まれたとのことで、 ぼくは二重に驚いてしまった。
1月15日は、ぼくの誕生日なのだ。
これは、「偶然」という言葉で片付けていいものなのだろうか?
それにしても、不思議な縁もあったものだと思う。
2007/01/23 カテゴリー: 11.近況 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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大寒を過ぎて、関東近郊でもウインタースポーツの本格シーズンとなってきました。
ぼくは、今週末に毎年恒例の八ヶ岳スノーシューツアーに出かける予定ですが、 仕事の合間を縫って、その準備をしています。準備といっても、一泊二日の宿泊まりで、 フィールドでの食事はアウトフィッターが用意してくれるというお気楽なものですから、服装(レイヤリング)がほとんどということになります。
その冬のレイヤードですが、近年、この分野は素材の進歩が著しく、非常に軽く、薄くても保温性の高い素材が出て来て、 動きやすくなりました。
冬のウェアリングというと、どうしてもアウターに温かいものをと発想が行きがちですが、じつは、 ヘビーデューティなインシュレーション(中綿)入りのごついアウターを着込んでも、その内側が無造作では、 せっかくの防寒システムも役に立ちません。
そして、防寒ばかりに気をとられていると、ついつい着ぶくれして、動きは制限されるし、汗をかくと、それが肌を濡らして、 かえって寒さに震えるといったことにもなりかねません。
レイヤリング(重ね着)は、従来は「アンダー」、「インナー」、「アウター」という組み合わせで考えられていましたが、 新しいレイヤリングでは、肌に密着する「ベースレイヤー」に従来の「アンダー」と「インナー」に相当する機能を受け持つ「ミッドレイヤー」、 そして「アウター(シェル)」という組み合わせで考えられるようになりました。
●ベースレイヤー●
ベースレイヤーに求められる機能は、体表面にかいた汗を素早く吸い上げて、ミッドレイヤーに渡すことにあります。 ぼくがベースレイヤーに使用しているのはfinetrackの「フラッドラッシュスキン」という製品で、 これは汗を吸い出して外に受け渡すと同時に、いったん外側に排出した汗が戻ってくる、 いわゆる濡れ戻りを防ぐために高度な撥水加工が施されています。
**ベースレイヤーとして使用する「フラッドラッシュスキン」。極薄で、まさに「第二の肌」 **
●ミッドレイヤー●
ミッドレイヤーに要求される機能は、ベースレイヤーが吸い上げた汗をさらに吸い出して拡散すると同時に、 フリースやダウンと同様に十分なデッドエアー(動かない空気)層を確保して保温することにああります。ミッドレイヤーは、 寒暖や運動量などの環境に合わせて、この部分だけでレイヤードを変化させて適応するのが特徴です。
ぼくの場合は、停滞時などの運動量が極小で厳寒の状態では、finetrackのラインナップから「スパイルフィル」 という高品質ウールをコアにした高機能繊維の上下。さらにその上にプルオーバータイプの「ドラウトセンサー」、 アウターシェルとしても使用できる「フラッドラッシュ」を着用します。
そして、状況に合わせて、この部分のレイヤードを変化させて適応するわけです。ちなみに、この4層の組み合わせだけでも、 吹雪の中の停滞でかなり我慢ができます。
**高品質のメリノウールと吸汗加工されたポリエステルを組み合わせた「スパイルフィル」 **
**吸汗性とともに、中空糸が保温効果をもたらす「ドラウトセンサー」**
**高張力ナイロンに超撥水性を持たせた「ブリーズラップ」は軽量極薄ながら、 高い防風性と保温効果を持っていて、なおかつ、 動きを妨げないので、 激しいアクションもスムーズにできる**
●アウター●
先にも紹介しましたように、従来のレイヤードシステムでは、厳寒となると、アウターに中綿入りのものを着用して、 保温性をさらに高める必要がありましたが、新しいレイヤードシステムでは、 アウターはあくまでもシェルとしての機能を果たせばいいことになります。
もし、着のみ着のままでビバーグする必要があったりする場合には、 上記のミッドレイヤーの中にフリースやインナータイプのダウンシャツを組み合わせることになります。
ぼくがこの冬に使用しているアウターは、モンベルの「フレネイパーカ」です。これは、防風、 防水透湿性の非常に高いゴアテックス3レイヤーの一枚生地を使ったジャケットで、ウインターシーズンジャケットとしては、軽く、 最新のレイヤードシステムの軽快さをスポイルせず、ウェアのボリュームを抑えてくれます。
また、ショルダーとフード部分はストレッチャブルゴアテックスと呼ばれる伸縮性のあるゴアテックス生地が使われていて、 これも軽快な動きを可能にしています。
**モンベル「フレネイパーカ」はアクションを重視したソフトシェルジャケット**
■関連サイト■
2007/01/22 カテゴリー: 12.グッズ、ギア | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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先日、久しぶりに馴染みの山である「乾徳山」に出かけてきた。ところが、途中で息切れはするわ、太ももが痙攣するわで、 スタート時間が遅かったこともあって、頂上直下の岩場手前で断念して、そこから引き返してきた。
その数日後、定期的に持病の検査を受けている病院で、持病のほうの経過は申し分ないのに、血圧が上昇気味で、 さらには心臓の頻脈と不整脈を指摘された。
さすがに、体の不調の具体例を突きつけられると、愕然としてしまう。
昨年の夏は、自分でそこまで過酷に動き回っていたという意識がないのに、突如として熱射病に掛かり、 気を失いそうになりながらオートバイを運転した。
どう考えても、自己管理がまるでできていない証拠だ。
もう何年も意識してトレーニングもしておらず、スキルを磨くことも怠っていて、それが、 いつもならコースタイムの半分で登れるはずの山に時間をかけて登れない上に途中で登頂を断念するなどといった無様なことになってしまったのだろう。
さすがに、悔しくて、これではいかんと、トレーニングを再開した。
体重を落として、筋力を取り戻して、心肺も鍛え直して、気力も充実させて、本格的に山に復帰だ!!
2007/01/20 カテゴリー: 11.近況 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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**誰でも簡単な講習を受けるだけで登れる「ツリーイング」。
一度やったら病みつき(写真はツリーマスターアカデミー提供)**
先日、しばらくご無沙汰していた友人と久しぶりに再会しました。
彼、梅木智則さんは、 アウトドアやネイチャー関連の冒険企画をサポートする世界的な賞である「OPEL冒険大賞」で、「ジャングルに落ちた一滴の水の旅」(マレーシアのバラム川300kmの川下り) の企画が特別賞を受賞してそれを実現したり、 水産庁の海洋調査船に搭乗して半年もの間海洋生物の調査に世界の海を巡ったりした海でも山でもOKのアウトドアのエキスパート。 カヤックやテレマークスキーのインストラクターでもあり、 世界中のフィールドで活躍してきました。
その梅木さんが、今、全身全霊をかけて取り組んでいるのが、「ツリーイング」。
ツリーイングとは、ロープワークだけで、木を傷めずに、安全にできる木登りで、老若男女、 体や心に故障がある人も気軽に楽しめるスポーツ(アクティビティ)。 梅木さんは、「ツリーマスターアカデミー」という団体で、 北関東支部長とツリークライマーインストラクターを務め、ツリーイングの普及につとめています。
**樹間に渡したツリーボートで休憩もできるし、キャンプも可能。
(写真はツリーマスターアカデミー提供)**
数々の困難な冒険を成し遂げ、エクストリームの世界でならした彼がどうして、「木登り」 にはまったのか? 素朴な疑問を投げかけると、
「千葉県のある施設のイベントで、ツリーイングを教えてくれないかという話がありましてね、そこは、 リストカットや鬱病に悩む子供たちの施設で、はじめはリスクも大きいような気がして、躊躇したんですよ。
でも、とにかく木に登らせてもらえれば、それでいいですから……ということで、引き受けたんですね。そしたら、 それまでまるで無表情だった子たちが、木にとりついた途端、俄然、明るい表情になって、いつもガイドしていた普通の子たちよりも、 もっとずっと生き生きしはじめたんですよ。
そんな様子を見て、先生方は、感動して涙を流してね。ぼくも、そのとき、なんだかとても感動してしまって、 こんなふうに身近な自然と触れあうことが、今の人間にとってはとても必要なことなんだなと、思い知らされたわけです。
それでね、今までいろいろやってきましたけど、これは、自分のライフワークにふさわしい仕事ではないかと思ったんです」
感受性が強すぎて病んでしまう人間は、ある意味、人間らしいからこそ傷ついてしまうのかもしれません。 そんな人たちが癒されるものなら、なんとか普通に社会生活を送っているように見えても、 ストレスにさらされ続けているごく普通の人にとっても、大いなる癒しとなるのではないでしょうか。
単なる木登りとは違って、ロープとハーネスを使って安全に、しかも木を傷つけずに登れるツリーイングは、老若男女を問わず、 また心身に障害があっても問題なく公平に楽しむことのできるアクティビティです。
ツリーマスターアカデミーでは、全国で誰でも気軽に参加できるプログラムを用意していますので、ぜひ、 お近くの会場を見つけて体験してみてください!!
ちなみに、僕はこれからツリーイングのインストラクターの資格を取って、アウトドア行脚しながら、 自分でツリーイングを楽しむと同時に、みなさんに体験できるような機会も設けていきたいと思っています!!
■ツリーマスターアカデミー
http://treemaster.jp/index.html
2007/01/19 カテゴリー: 06.ツーリズム | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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ほったらかしの湯でのんびりしてしまい、乾徳山の登山口にあたる徳和に着いたのは9時半を回っていました。 これから山に登るというのには、少々ゆっくりすぎる時間です。
準備を整えて登山道に入ったときには10時になっていました。
乾徳山へは、徳和から徳和川に沿って北上し、斜面に取りつくルートと、徳和の集落から直接道満尾根に取りつくルート、 さらに三富から大平高原まで車で入るルートがあります。もっとも一般的なのは徳和川を北上して斜面に取りつくルート。 今回も登りはこのルートを辿りました。
乾徳山前宮の少し先の広場に車を駐め、林道を少し歩くと、道標に従って斜面に取りつきます。いきなりの急登で、息があがりますが、 30分ほどで銀晶水の水場に到着。ここは細い流れのため、今の時期は凍りついて水を補給することはできません。
**このルート最初の水場「銀晶水」。細い流れは凍りついていて、 水の補給はできない**
さらに胸突き八丁の樹林をエイコラショと登って行き、登山道入口から1時間半ほどで乾徳山の名水として名高い錦晶水に到着。 こちらは手を切るような冷たい水がコンコンと流れています。もうこのあたりまで登ってくると、あたりは一面銀世界。
今回は雪がさほどあることを予想していなかったので、軽アイゼンもなく、 時々クラストした地面にスリップして体力を消耗してしまいます。
そんなこともあってか、錦晶水を過ぎた登りで太ももの筋肉がつってしまい、少々ペースが落ちてしまいました。ここで、 大休止して昼食に。
**厳冬期でもしっかり流れのある「錦晶水」。 ここからは明るい樹林の登りが続く**
扇平の草原に出たときはすでに13時を回ってしまい、残りの時間を考えると、下山が夕暮れの後になってしまいそうです。
そこで、今回は頂上は間近から仰ぐだけにして道満尾根を下ることに。
尾根筋は20cmほどの積雪ですが、 しっかりしたトレースがあってスパッツやアイゼンがなくても雪山を楽しみつつ進んでいくことができます。
ところが、その雪面に登山靴とは異なる大きな足跡が……よく見ると、それは熊の足跡で、まだ新しいものでした。
今年は、秋になって山の木の実が不作だったこともあって、あちこちで熊の被害が続発していました。そんなことを思い出すと、 生々しい足跡は、さすがにいい気持ちがしません。東北や北海道の山では熊避けの鈴や、 いざという時のための熊避けスプレーなどがポピュラーな装備となりつつありますが、そろそろ関東の山でも必要かもしれません。
**錦晶水から続く斜面を登り切ると、道満尾根からのルートと合流して、明るい草原「扇平」に出る。 雲海の先に富士山が顔を出す**
熊の影に警戒しながら、時々大声を出したり咳払いしたりしながら、尾根筋を下っていくと、 道満山を過ぎたあたりから傾斜がどんどん増し、ところどころぬかるんで歩きにくくなっています。
ようやく徳和の集落に降り、車に戻った時にはちょうど日が暮れるところでした。
今度は、もう少し行動を早めにして、頂上を踏むことにします。
**扇平から望む乾徳山頂上。最後は急登の岩場で、往復に2時間はかかるので、 今回は時間切れ**
**下山路は、徳和の集落に真っ直ぐ下る道満尾根を辿る。雪の中、トレースはしっかりしているのだが、 傍らに、大きな熊の足跡が……**
2007/01/17 カテゴリー: 01.アウトドアライフ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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奥秩父の前衛ですが、標高2020mの乾徳山は、樹林から草原、そして岩場といった変化に富んだ山行が楽しめます。
まずは山に入る前に、朝風呂。
甲府にある「ほったらかしの湯」は、夜明け前から営業を始め、甲府盆地を挟んだ向こうに登る朝日と、 その朝日に染まる富士山を望むことができます。
ゆったりと、露天風呂に浸かりながら朝日を眺めていると、「今日は一日のんびりしてようかな……」 と日和見な気分に囚われそうに(笑)
**ほったらかしの湯からの朝日。富士山も茜に染まって、思わず見とれてしまいます。
ちなみに露天風呂からは、遮るものが何もない風景が望めます**
**夜明けの一時間前から営業。今の時期は7時過ぎに太陽が昇るので、
6時過ぎから営業しています**
2007/01/15 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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**東京自転車グリーンマップのPDF版をダウンロードして印刷したマップとGPSが、 このところのぼくの東京探索の定番**
東京の都心部を中心に、自転車で巡ることを考えて作られた「東京自転車グリーンマップ」が、今、都内のポタリングファンの間で、 話題を呼んでいます。
これは、都内を自転車で移動する際に重要な、「走りやすい道」を際だたせるために、 通常の地図で表示されている高速道路などを外してしまい、わかりやすくルートを示した上で、休憩ポイントやレンタサイクル、見所、 レストランなどをプロットしたものです。
そもそもグリーンマップは1992年にニューヨークのエコデザナー、ウエンディ・ブラウワー(Wendy E. Brawer) によって提唱されたもので、暮らしやすい街のマップを自分たちの情報を持ち寄って作ろうという趣旨の元、 サステイナブル(持続可能)な目的のために役立つ125のアイコンを定めて、目的に応じたマップを作ろうというプロジェクトです。
**目的に応じてアレンジされた地図と、 わかりやすいアイコンがとても使いやすい**
この「東京自転車グリーンマップ」は、見やすいタブロイド判が都内の新聞購読者向けに折り込まれたほか、 都内のポイントで配布されています。
また、オンライン版があって、これはPCで閲覧することが可能です。またPDF版がネット上からダウンロード可能で、 これを印刷して利用することができます。
自転車用に作られたマップですが、都内を散歩したり、また仕事の合間に休憩ポイントを探して一休みしたりするのに、とても重宝です。
昭文社にはご存知のように、「ツーリングマップル」や「登山地図」 などの情報集約型の特定ユーザー向けマップがありますが、まだまだこういった方面では可能性やニーズがありそうですね。
2007/01/12 カテゴリー: 01.アウトドアライフ, 06.ツーリズム, 12.グッズ、ギア | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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クオリアという概念を知ったのは、もう10年くらい前になるだろうか?
微かな匂いや人の言葉の微妙な響き、肌でわずかに感じられる風の動きや光の暖かさ……そんなものから色が浮かび、 逆になにげなく目にした洋服やディスプレイの色彩から光や言葉や匂いや季節をふいに思い出す。 あるいはほんとに微かな感触がとても現実的な光景や体験を目の前に再現する。
そうしたことが子供の頃から頻繁にあって、それは一体何なのだろうか、もしかしたら病気なのではないか…… 本来ならありえない神経回路が例えば脳梁をまたいで連絡してしまうような、などとずっと疑問であり不安であった。
クオリアは、そうした匂いから色彩を連想したり、その逆だったり、 何かの感覚刺激によって別の感覚が呼び覚まされるといった現象を説明する言葉で、それはごくノーマルなことだと知ったときの安堵感は、 ほんとに底知れないものだった。
そんな「クオリア」をうまい記号として活用して商品化したのが、茂木健一郎だ。
単純に感覚転換や感覚陥入といった心理学的な見地からだけでなく、クオリアをもっと広義にとらえて、 それをデザインや商品開発に生かそうとし……失敗したSONYの「クオリアプロジェクト」は、 まさに彼がコンピュータサイエンス研究所で生み出したものだった(これは時代の先を行きすぎていたのかもしれない)、いまでは、 キーワードとして……たとえば、一時期思想界を席巻した「ポストモダン」といった用語のように、様々な局面を説明する「便利」 な術語として用いている。
でも、ぼくは実感としてクオリアをもっと狭義というか本来の心理学的な意味合いに戻して、 感覚転換の意味で使ったほうがしっくりくる。
今、発売中の「BURUTUS」-脳科学者ならこういうね!-は、鮮やかな黄色の地に黒いロゴのデザインだが、この配色は、まさに 「茂木健一郎」その人を思い浮かばせるんだよなぁ……この装丁をしたデザイナーも、あっさりとこの体裁に決めたような気がするのだが。
2007/01/12 カテゴリー: 11.近況 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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みなさんは、バックカントリーという言葉をご存知でしょうか? ゲレンデのように、整備され限定された場所ではなく、 自然そのままの場所。人工物のない無垢の自然。
そんなバックカントリーを舞台にしたスノースポーツというと、 どうしても連想されるのは冬山や山スキー、あるいはエクストリームスキーなどですが、最近は、 だれでも手軽にバックカントリーが楽しめるクロスカントリースキーやテレマークスキー、 そしてスノーシューイングが盛んになってきました。
とくにお勧めのバックカン トリースポーツ・アクティビティは、スノーシューイングです。
これは特別な技術はなにも必要なく、誰もがスノーシューを履いたその瞬間から自在に雪のフィールドを楽しむことができます。
スノーシューイングの楽しさは、傾斜がよほど急な場所や岩場などを除いて、どこへでも入っていけること。とくに、 スキーではその長さが邪魔になって自由がきかない樹林帯などは、スノーシューにはうってつけのフィールドです。
雪のない季節は、山の麓の樹林帯はブッシュが密生してとても踏み込むことはできません。 でも雪が降り積もれば、 そのブッシュはみんな雪の下に隠れて、自在に歩けるフィールドとなります。
野生動物の巣も多い樹林帯を行くと、時折、野ウサギやテンが飛び出してきて、楽しませてくれます。また、 様々な動物の足跡を観察することもできます。
ぼくは、この5年ほど、自分が運営している「Outdoor Bassic Technic」というサイト主催で、 この新しいバックカントリーアクティビティのツアーを開催してきました。
北八ヶ岳の無垢のフィールドを自由自在に歩き回って、雪まみれになる爽快感はなんともいえません。
今年も、この1月27、28日の両日、開催します。
雪山未体験の人も安心して楽しめるスノーシューイング、この冬、思い切り雪と戯れてみませんか!!
■関連ページ■
**アウトドアベーシックテクニック・ スノーシューオフ会の模様**
**八ヶ岳スノーシューツアー・ アウトドアベーシックテクニック with 野遊び屋**
**コールマン・ウインターキャンプ with スノーシューツアー**
2007/01/10 カテゴリー: 01.アウトドアライフ | 個別ページ | コメント (2) | トラックバック (0)
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昨日から今日にかけて各地は大雪に見舞われました。ちょうど昨日は寒の入りで、二十四節気では20日までが「小寒」、 さらに2月3日までが「大寒」にあたり、一年でもっとも寒い季節ということになります。
小寒や大寒という言葉は「二十四節気」という暦に基づいたもので、昔の人たちが主に農事暦として利用してきたものですが、 今年のように、寒の入りに大雪に見舞われると、経験則から編み出された二十四節気のような暦が正確であり、 生活実感をともなったものであることがよくわかります。
ぼくは、いつもデスクサイドに「えこよみ」を置いて、その日の二十四節気と七十二侯を確かめるようにしています。 七十二侯は二十四節気をさらに細分化しておよそ五日間ほどの間に移ろう季節を表現したものです。
1月6日から10日までは七十二侯では「せり、すなわちさかう」。 春の七草の一つである芹が雪の下で成長していることを表しています。
寒という季節の中には、すでに春の準備が着実に進んでいる。そんなことを「せり、すなわちさかう」という言葉が、 はっきりとイメージとして実感させてくれます。
「えこよみ」は、「地球のことを考えよう」をテーマに、様々なプロダクツを生みだし、イベントを企画する"Think the Earth project"がプロデュースして、一昨年から発行されている絵本で、今年は07、08年版が発売されています。
植田真さんのほのぼのしたタッチの水彩に加藤久人さんの優しくわかりやすい解説を載せた、心和む一冊に仕上がっています。
自然の微妙な変化を二十四節気、七十二侯という古代から受け継がれてきた言葉に翻訳されると、自分たちは自然と一体であり、 人間は紛れもなく自然に生かされているんだということを実感させてくれます。
●Think the Earth project●
http://www.thinktheearth.net/jp/
2007/01/07 カテゴリー: 02.ライフスタイル | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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今年の正月は、30年来の友人と久しぶりに年越しして、明けてからは茨城の実家でのんびり過ごしました。
昔は、年末に帰省して正月朔日は鹿島灘で御来光を拝むのが恒例でしたが、それも10年以上ご無沙汰。 今年は年明けしてから3日経って、その鹿島灘の一角の浜に出て、ビーチコーミングしてきました。
**延々と砂浜が続く鹿島灘。 昔に比べて、浜は狭くなり、防風林も痩せてしまった**
およそ50kmにも渡ってきれいな弧を描きながら砂浜が続く鹿島灘は、 かつては砂防林の松林と白砂の浜と青い海だけが延々と続くシンプルで雄大な景色が自慢でしたが、 石油コンビナートができたり大規模な港が建設されたり、さらには砂浜の浸食が進んで、以前の半分以下に痩せてしまい、 かつての景色を知る者にとっては寂しい気がしますが、それでも、弧を描いて長大な砂浜が一望できるこの景色は、他に比するものがありません。
夏には海水浴客で賑わうこの海岸も、今は人影もまばらで、この景色を独り占めしているような感覚は最高です…… ちょっと風は冷たいですが(笑)
ぼくが海岸に出た昼過ぎは、ちょうど満潮だったせいで砂浜はさらに狭く、その満ち潮にさらわれてしまったのか、 打ち寄せられた漂流物や海産物はあまり多くありません。それでも、いくつかきれいな貝殻を拾いました。
夏に、この海岸で昼寝をしていると、周囲でカサコソと音がして目を覚まされます。 なるべく動かないように薄目を開けて周囲を見回すと、小さな穴から出て来たカニやヤドカリが取り巻くように動き回っています。 少しでも動く気配を見せると、ササッと穴に潜り込んで、息を潜めてしまいます。
そんな夏の光景を思い出しながら、波打ち際を散歩していると、あのカニやヤドカリたちは冬の今はどうしているのか気になります。
この浜に は、不思議な伝説が残され ています。
江戸の中期、「はらやどり浜」と呼ばれたこの海岸に、大きなお釜のような形をした舟らしきものが流れ着きます。 漁師がそれを見つけて、扉と思しきものを開くと金髪碧眼の長身の女性が箱を携えて出て来ました。
彼女は見慣れぬ不思議な服装をしていて、話す言葉は誰にもわからず、箱の表に記された文字も誰もが初めて見るものでした。
この不思議な舟と中から出て来た不思議な女性の報告を受けた代官は、面倒が起こることを恐れて、漁師たちに、再び女を戻し、 舟を沖へ流すことを命じました。
**馬琴が記録に残し、渋澤龍彦が 「うつろ舟」という幻想小説に仕立てたこの浜に残る伝説。そのうつろ舟と中から出て来た人物、箱に記された文字。 海岸にある記念碑から**
その後、そんな舟のことも土地の噂に上らなくなった頃、また同様の舟が海岸に流れ着きました。今度は、 漁師たちは外側から扉を封印し、そのまま沖へと戻してしまいました。
そんな話が口伝てに江戸まで届き、滝沢馬琴が「兎園小説」の中で「うつろ舟」として紹介し、時代が下って、 その逸話にインスピレーションを受けた渋澤龍彦が「うつろ舟」という同名の幻想小説にまとめました。
のんびり、ビーチコーミンク゛しながら、流れ着いた「うつろ舟」があったら、自分が代わりに乗り込んで、 そのまま補陀落に渡ってしまおうか……などと考えた2007年の正月でした。
2007/01/04 カテゴリー: 01.アウトドアライフ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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明けまして、おめでとうございます。
今年は2007年、この「Outdoor Basic Technique」を開設したのは1997年ですから、ちょうど、 今年で10周年ということになります。
10年といっても、あまりにも物事の推移がめまぐるしすぎて、そんなに時間が経ったとは俄には信じられない気持ちです。一方、 インターネットがリードしてきた激しい変化の中に足を突っ込んできた者としては、いささか疲れも感じています。
当初のサロン的な雰囲気のネットでは、情報の量も少なく、またその流れも緩やかで、そこに漂っていることが一種の安らぎであり、 また、ネットの発展の可能性を実感できたものでした。
ネットが社会の傍流にあった頃は、ちょうどそれが漕ぎ進むのに心地良いスピードだったのですが、ひとたび主流になると、 まるで堰を切ったように流れは速さと幅を増して、漕ぐどころではなく、 その流れに飲み込まれないようになんとか体勢を持ちこたえるのが精一杯といったことになってしまいました。
ネットのインフラがどこにいても仕事のできる環境を提供することで、自由な時間が増えると期待していたはずが、 いつでもどこでも常に仕事を意識することになり、またコミュニケーションの容易さが、 逆にコミュニケーションが途切れることを脅迫的に恐れるといったような状況を生み出しています。
人が人らしく生きるために活用されるはずのネットインフラが、逆に自らのシステムに合うように人間を改変し始めているといっても、 大げさではないような現実。そんな現実を前にして、今、ぼくは、原点に立ち返って、この「Outdoor Basic Technique」 を再稼働していこうと思っています。
システムが要求するスピードやレスポンスといったものに脅迫されることなく、「自然と心地よく共生する」 というコンセプトを落ち着いて、実践していくこと。それを10年目の課題にしたいと思っています。
2007/01/03 カテゴリー: 02.ライフスタイル, 11.近況 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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