ほったらかしの湯でのんびりしてしまい、乾徳山の登山口にあたる徳和に着いたのは9時半を回っていました。 これから山に登るというのには、少々ゆっくりすぎる時間です。
準備を整えて登山道に入ったときには10時になっていました。
乾徳山へは、徳和から徳和川に沿って北上し、斜面に取りつくルートと、徳和の集落から直接道満尾根に取りつくルート、 さらに三富から大平高原まで車で入るルートがあります。もっとも一般的なのは徳和川を北上して斜面に取りつくルート。 今回も登りはこのルートを辿りました。
乾徳山前宮の少し先の広場に車を駐め、林道を少し歩くと、道標に従って斜面に取りつきます。いきなりの急登で、息があがりますが、 30分ほどで銀晶水の水場に到着。ここは細い流れのため、今の時期は凍りついて水を補給することはできません。
**このルート最初の水場「銀晶水」。細い流れは凍りついていて、 水の補給はできない**
さらに胸突き八丁の樹林をエイコラショと登って行き、登山道入口から1時間半ほどで乾徳山の名水として名高い錦晶水に到着。 こちらは手を切るような冷たい水がコンコンと流れています。もうこのあたりまで登ってくると、あたりは一面銀世界。
今回は雪がさほどあることを予想していなかったので、軽アイゼンもなく、 時々クラストした地面にスリップして体力を消耗してしまいます。
そんなこともあってか、錦晶水を過ぎた登りで太ももの筋肉がつってしまい、少々ペースが落ちてしまいました。ここで、 大休止して昼食に。
**厳冬期でもしっかり流れのある「錦晶水」。 ここからは明るい樹林の登りが続く**
扇平の草原に出たときはすでに13時を回ってしまい、残りの時間を考えると、下山が夕暮れの後になってしまいそうです。
そこで、今回は頂上は間近から仰ぐだけにして道満尾根を下ることに。
尾根筋は20cmほどの積雪ですが、 しっかりしたトレースがあってスパッツやアイゼンがなくても雪山を楽しみつつ進んでいくことができます。
ところが、その雪面に登山靴とは異なる大きな足跡が……よく見ると、それは熊の足跡で、まだ新しいものでした。
今年は、秋になって山の木の実が不作だったこともあって、あちこちで熊の被害が続発していました。そんなことを思い出すと、 生々しい足跡は、さすがにいい気持ちがしません。東北や北海道の山では熊避けの鈴や、 いざという時のための熊避けスプレーなどがポピュラーな装備となりつつありますが、そろそろ関東の山でも必要かもしれません。
**錦晶水から続く斜面を登り切ると、道満尾根からのルートと合流して、明るい草原「扇平」に出る。 雲海の先に富士山が顔を出す**
熊の影に警戒しながら、時々大声を出したり咳払いしたりしながら、尾根筋を下っていくと、 道満山を過ぎたあたりから傾斜がどんどん増し、ところどころぬかるんで歩きにくくなっています。
ようやく徳和の集落に降り、車に戻った時にはちょうど日が暮れるところでした。
今度は、もう少し行動を早めにして、頂上を踏むことにします。
**扇平から望む乾徳山頂上。最後は急登の岩場で、往復に2時間はかかるので、 今回は時間切れ**
**下山路は、徳和の集落に真っ直ぐ下る道満尾根を辿る。雪の中、トレースはしっかりしているのだが、 傍らに、大きな熊の足跡が……**
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