昨日が正確に昼と夜の時間が同じでしたが、今日もほぼ真東からの日の出です。
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**当日は目抜き通りに屋台が並ぶほか、
市内の刃物関係ショップでも格安販売される**
10月の7日、8日の両日、岐阜県関市で「刃物祭り」が開催されます。
関市は、古くは「関の孫六」といった名工が生み出す日本刀の一大生産地で、後に刃物全般を扱うようになりました。
じつはアウトドアで使われる欧米のブランドナイフの多くも、この関市でOEM生産されています。
年に一回、関市が誇る刃物を集めて開かれる即売会が「刃物祭り」。ブランドナイフはもちろん、 珍しいナイフやブランドナイフと同等の仕上がりのお買い得ナイフ、さらに包丁や園芸ナイフなど家庭用の実用品もたくさん放出されます。
憧れのアウトドアナイフも手に入れる絶好のチャンスです!!
**1万アイテム以上というアウトドアナイフの膨大なコレクションを持つ
「SETOカトラリー」。垂涎の名品カスタムから実用品まで、
要望に沿ったアイテムが必ず見つかる**
**SETOカトラリーで購入した「スパイダルコ ソロ」。本来はOEMで逆輸入となるが、 これは輸出されずにSEKIの刻印が打たれて放出されたもの。刃物祭りは、こうした市場放出品も多数出品される**
2006/09/26 カテゴリー: 12.グッズ、ギア | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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風景はまだ夏の面影を残していても、空の色と雲、光の柔らかさ、そして吹き渡る風は、もうすっかり秋のものだ。
夜のキャンプサイトには他に人の姿はなく、虫の声を聴きながら月を眺めていると、何故か無性に人恋しくなってくる。
前回も月のことに触れたが、月を前にした透明な孤独感が心地良く感じたあの時と違って、同じ孤独感がもの寂しさを誘う。
「月へひとりの戸は開けておく」……ふと、山頭火のそんな句を思い出し、山頭火はやりきれない無常感から旅の人となったけれど、 句を詠むことで、しっかりと孤独感と向き合いながらそれを静かに受け入れていたんだなと気づかされる。そして、 自分もこんな時に気の利いた句が詠めたら静かに満足して眠りにつけるだろうにと残念になる。
山を下りて、狭い里道を辿っていると、道祖神があった。一月前にも、同じように道祖神と出会ったが、 そのときは周囲の夏の気配に圧倒されて、風景の中で小さく縮こまって見えた。ところが、秋の道祖神は風景の主役といわんばかりに、 前に飛び出して、気持ちが弾んでいるように見える。
思わず立ち止まって手を合わせると、仲睦まじく肩を寄せ合った男女神が、一人旅の寂しさを慰めてくれた。
2006/09/25 カテゴリー: 01.アウトドアライフ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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先週、毎年恒例の「ツーリングマップル中部北陸」の最終取材に行ってきました。
初日は後立山連峰の一角、表銀座コースの登り口にあたる有明温泉泊。秋晴れの空に後立山の峻峰がくっきりと映えて、 その稜線に登れないのが悔しいほどでした。
今の時期は夏山シーズンと紅葉の狭間で、宿も空いていて、のんびりとした山旅が楽しめます。人気のスポットでゆっくりするのは、 今が狙い目です。
**食事も美味しく、
ホスピタリティ抜群の安曇野市営「有明荘」。一人旅でも気軽に泊まれる*
**有明荘自慢の総檜の内湯と露天岩風呂。
無色透明の湯は、山のいで湯らしく硫黄臭濃厚で、肌がつるつるになる**
**鹿島槍サンアルピナスキー場から小熊山を経て木崎湖に至るトレッキングコースは、
間近に迫る鹿島槍と眼下に広がる木崎湖を見通す大展望ルート。木崎湖を見下ろす小熊山からはパラグライダーがテイクオフしていく。
地元のパラグライダースクールのベースで、タンデムフライトで手軽に空中散歩も楽しめる**
**八方尾根の第三ペアリフトまでは車で上ることができる。
ここからは白馬の大雪渓が間近に迫り、姫川に沿った白馬と小谷の町並みが見通せる**
詳細な地図等は、ツーリングウェーブblogのほうで掲載しています。
http://naviblog.mapple.net/touringcolumn/2006/09/post_f3a0.html
2006/09/24 カテゴリー: 06.ツーリズム | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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**山といえば、ご存知「山と高原地図」。今月末に行く八ヶ岳とともに、白馬・風切り地蔵の取材のために、 白馬岳周辺もこれでプランニング。山と高原地図WEBサイトもオープン!!**
台風13号は九州に大きな被害をもたらして、日本海に抜けました。この後、北海道へ再上陸しそうな気配ですが、 被害が出なければいいのですが……。
昨年は、アメリカ南部を巨大ハリケーンが襲いましたが、年々、ハリケーンや台風の規模が大きくなり、今まで「定番」 だった進路を大きく逸れて、台風被害を経験しなかった地方を襲うことも多くなってきました。 これは地球温暖化の影響が大きいといわれていますが、私たちの社会や生活スタイルが気象災害のトリガーとなっていることを自覚して、 どうすれば安全に暮らせる環境を取り戻せるのか考え、実践していきたいものです。
ところで、今回の台風13号のおかげで、ぼくの取材日程も影響を受けて、大幅に予定が狂ってしまいました。その分、 プランニングをしっかりしておこうと、デジタルマップや山と高原地図等を駆使してルートや取材ポイントを検討しています。
まずは、日本で二番目に標高の高い場所にある温泉「本沢温泉」に入り、 そこから八ヶ岳の稜線に出て硫黄岳まで足を伸ばそうというプラン。
当初は都内から電車で出かけていき、JR小海線の小海駅からバスで稲子湯まで入り、そこから本沢温泉に登って一泊。 翌日は硫黄岳に登って、その後夏沢峠から夏沢鉱泉に下りて、JR中央本線の茅野駅から東京へ戻るという計画を立てていました。
ところが、月末には一泊二日の日程は取れそうもないので、急遽、車で日帰りに変更。そのルーティングを行いました。
東京から本沢温泉の入り口までは車で3時間あまり。本沢入り口からはフラットな林道を歩いて2時間で本沢温泉にたどり着けます。 さらにここから1時間の急登で夏沢峠。夏沢峠からはやはり1時間で硫黄岳。東京を6時に出て、 順調にいけば13時には硫黄岳の頂上に立てるわけです。
下りは硫黄岳から本沢温泉までが1時間半あまり。 昼食などで1時間かかるとして15時半には本沢温泉の日本第二の高所の露天風呂に浸かって、山行の汗を流せそうです。 車に戻るうちに日が暮れそうですから、下りの林道はヘッドランプの明かりが頼りとなりそうです。
さてさて、実際はどういった顛末になるか、お楽しみに!!
**SuperMappleDigitalが自動計算した最短ルート。中央道長坂ICを下りて、 直線的に本沢温泉に向かう**
■マップルネット日帰り温泉情報「本沢温泉」
■マップルネット温泉ガイド「本沢温泉」
2006/09/18 カテゴリー: 01.アウトドアライフ, 06.ツーリズム | 個別ページ | コメント (2) | トラックバック (0)
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**若狭水月湖畔。湖上観PANCOから観ると、対岸に人工物がないので、
幻想的な風景が見られる**
この一週間あまりは秋雨前線が居座って全国的に雨模様でした。 そしてこの週末には台風が九州から日本列島を縦断していきそうな気配ですが、この台風が過ぎると、一段と秋の気配が濃くなってきそうです。
東京でも、夜には鈴虫が鳴き、少し山に登るとススキも穂を付けてきました。
秋には、毎年楽しみにしているイベントがいくつかあります。その一つが、 若狭の三方五湖の一つ水月湖の畔にある宿湖上館PAMCOに泊まって、昼間はシーカヤックやトレッキングを楽しみ、 夜は湖に映る月を眺めてのんびりすることです。
水月湖の北西岸に位置するこの宿から湖を眺めると、ちょうど対岸の山の端から登ってきた月が、ずっと湖面に映って、 いつまで観ていても見飽きることがありません。
湖上館PAMCOの館長、田辺一彦さんは地元の美方高校のボート部でならし、 中央大学に進んでからもボート部キャプテンとしてオリンピックを目指していたとてもガッツのある人です。
縁があって知り合って、若狭の自然をたくさんの人に体感してもらいたいという彼の情熱に共感して、 合同でツアーを組んだりしてきました。田辺さんは、去年からは宿とは別に「あそぼーや」 という自然教育とアクティビティを主催する団体を立ち上げて、生まれ故郷の若狭の素晴らしさを知ってもらおうと、がんばっています。
じつは、ぼくにとっても若狭の自然はすっかり馴染みとなってしまって、年に幾度かは訪れないと、 どうも落ち着かないのです(笑)
来月に入ったら、さっそく訪ねて、あそぼーやの活動をレポートしたり、田辺さんをご紹介したいと思っています。
そして、今年はのんびりと水月湖に映る月を眺めているだけではなくて、月に合わせて、 湖畔から若狭湾のほうまで自転車でナイトポタリングしてみようと思っています。
もちろん、そのポタリングの模様も詳しくお知らせしますので、お楽しみに!!
★お知らせ★
海を回遊するオルカの鳴き声や映像をリアルタイムで視聴できるオルカライブ(ネイチャーネットワーク・プロジェクト主催)が、
今年も始まりました。
技術的な問題から、今年のスタートは遅れてしまったようですが、あと2ヶ月は楽しめるそうです。秋の夜長に、
神秘的なオルカの鳴き声をBGMに読書なんてのも趣ありますよ!!
2006/09/15 カテゴリー: 06.ツーリズム | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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いつ頃からか、静かな夜の時間と月明かりが心地よく感じるようになった。秋の虫の鳴き声を聴きながら、涼しい風に吹かれて、 一人ぼんやりと月を眺める。そんな時間が気持ちいい。
昔、外苑前にほど近いところに仕事場があったときは、今の季節は、晴れていれば、よく夜中に代々木公園まで散歩して、 広い草原に寝転がって月が動いていくのを眺めていた。
その頃、時々ひょっこりと仕事場にやってくるカナダ人の友人がいて、 彼と一緒に月夜の代々木公園で大の字になってひっくり返っていたこともあった。彼は、若い頃は売れっ子のインダストリアルデザイナーで、 40歳を過ぎてから急に、シンプルライフを指向するようになって、仕事は最小限にして、 夜風に吹かれる時間をもっとも大切にするようになっていた。
あるとき、彼は、自分のホームネームであるドゥリトゥル(あのドリトル先生と同じ)をカリグラフィで書いた紙をぼくにくれ、 「クリエイターにとって、深夜から明け方はマジカルタイムなんだよ。それが本能的にわかっている君は、 自分の感覚をもっともっと大切にしなければいけない」と話した。
そして、彼はマジカルな島「バリ島」へと移住していった。
秋の月夜は、彼、D.Dolittleのことを時々思い出す……。
彼が向かった島は、もっとも現実から離れた幻想の島だったはずが、いつの間にか、 血なまぐさい国際政治のせめぎ合いの場となってしまった。
そして、彼は……。
2006/09/14 カテゴリー: 01.アウトドアライフ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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今週になってからすっかり秋雨前線が横たわって、関東以西では、どんよりした天気が続いてますね。 じつは、この週末に八ヶ岳に山のいで湯を訪ねて硫黄岳まで登るつもりでいたのですが、この様子では延期するしかなさそうです。 秋雨前線が消えれば本格的な秋。紅葉の先取りに期待といったところです。
フィールドに出られないのでその代わり……といったわけではありませんが、 今回はデジタルマップを使った地図遊びを一つご紹介しましょう。
以前、長野放送(NBS)の特番の取材で、白馬の 「風切り地蔵」を巡るトレッキングを計画しているとご紹介しました。そこでもデジタルマップを使った「レイラインハンティング」 を紹介しましたが、先日、同じ企画で、上田にある「レイライン」を辿ってきました。
上田駅の近くにある信濃国分寺から生島足島(いくしまたるしま)神社をデジタルマップ上で結び、 そのラインを伸ばしていくと、泥宮大社、その先の女神岳が結ばれます。この直線は、信濃国分寺の方から見ると、方位角244度を向いていて、 ちょうど冬至の太陽が沈む方向になります。逆に泥宮大社のほうから生島足島神社の方角は夏至の太陽が昇る方角になっています。
**SuperMapple Digital ver7でシミュレーションした上田のレイライン。 北東方向は夏至の太陽が昇る方向。南西方向は冬至の太陽が沈む方向に当たる。生島足島神社は、参道がこのラインに沿っていて、 夏至の日は朝日が一の鳥居から太陽が参道に沿って射し込み、 冬至の日は夕日が西の鳥居を潜って参道を伝う形となる**
今回は、信濃国分寺、生島足島神社、泥宮大社の三点を実際にGPS持参で巡ってみました。
デジタルマップのシミュレーションでは、離れた場所にあるポイント相互の位置関係がつかめます。 それを元に現場に行って、GPSを使ってこのラインをトレースすることで、 個々のポイントの細部やポイント間に埋もれている別のポイントを探していくわけです。
今回のレイラインハンティングでは、 生島足島神社の参道が正確に夏至の日の出と冬至の日の入りを指していること、 かつてあった一の鳥居がこのラインの上にあったことを発見しました。また、北東端に位置する信濃国分寺のさらに北東側にラインを伸ばすと、 最近発掘作業がはじまった国分尼寺の中心点に当たることも発見しました。
**諏訪大社と同じ「御柱祭」が伝わる上田の生島足島神社。ご神体はこの土地そのものとされる。 GPSが示す夏至の日の出の方向にほぼ沿った参道。若干のズレがあるのは、前方に山があって、日の出が少し遅れるためで、 実際に光が射すときは、この参道に沿う形となる**
残念だったのは、この周辺は戦後に農地整理、区画整理が進んでしまって、 昔の街道や道祖神などが別の場所に移動されてしまっていたことでした。
何故、夏至の日の出や冬至の日の入りを示すラインがあるのか、 それを意識した配置の神社などがあるのか? 一般的には、それは農事に結びついたもので、カレンダーとして用いられたと説明されます。でも、 カレンダーならばこんなに大規模な「仕掛け」は必要ありません。
太陽信仰という観点から見ると、夏至は恵みをもたらす太陽がもっとも力を持つ日になります。 また冬至は、その日に太陽が死んで翌日再び蘇るちょうど境の日となっています。
夏至の日の出の光を呼び込むということは、 もっとも力を持ったその光を受けることで魔を払うことを目的としていました。そして、冬至の入り日を拝むということは、 死にゆく太陽に向かって、翌日確かに再生するように祈りを捧げる意味がありました。
じつは、日本中には、夏至、冬至、春分、秋分といった一年の切れ目であり、 太陽信仰にとって重要な日に太陽の光を呼び込むように配置された神社仏閣や遺跡がたくさんあります。
案外、身近な神社仏閣で、そんな日に、 神秘的な光景が見られるかもしれませんよ!
[参考]
■スーパーマップルデジタルver7
■レイラインハンティング
2006/09/13 カテゴリー: 06.ツーリズム, 08.スーパーネイチャー | 個別ページ | コメント (6) | トラックバック (0)
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じつに久しぶりのOBTコラムの更新。
今回から、 Typepadのシステムを利用して、blog形式で記してみることにした。というのは、 仕事でblogシステムを使ったコラムの執筆が多くなり、それをblogエディタを使って一括して行っているので、 それならOBTも同じエディタに統合してしまったほうが簡便だし、「他のblogを更新するついでにOBTも」と、 こちらのコラムを更新するモチベーションも高くなるのではないかと判断したからだ。
この数ヶ月は、 昭文社でのナビゲーターblogのスタート準備やら、 春からスタートした雑誌のルーティンワークやら、さらには先月は毎夏恒例の「ツーリングマップル」の取材と、いろいろ山積してしまって、 OBTやもう一つの個人的なライフワークともいえるLEYLINEHUNTINGの更新もずっと滞ってしまっていた。
いろいろプランはあるのに、 なかなか手が着けられず、ルーティンワークに追いまくられるというのは、かなりストレスが溜まる。 ようやく落ち着いた時間がいくらか持てるよううになってきたので、まずはOBTコラムから復活することにした。
「多忙」というと、 世間一般的には「仕事があるのはいいこと」とされる。まあ、仕事がまったくないよりはいいかもしれないが、ぼくのようなフリーランサーは、 いつ仕事を切られるかわからず、常に不安定な綱渡りをしているようなもので、特定の会社に束縛されるというのは、非常なリスクが伴う。
対クライアントでも、 自分が提案したり、あるいはクライアント側と一体になって練り上げていくような企画仕事とそれに伴う恒常的な仕事はいいのだが、 クライアント側に旧態依然とした「下請け」意識を持たれている仕事の比重を高めるのは、もっともリスキーだ。
個人であっても対等な意識を持って、互いを補い合うコラボレーション的仕事が理想的なわけで、 このところの忙しさの半分はそのような仕事だったから、その意味では、フリーランサーとしては、けっこう恵まれていたともいえる。だが、 それに対して、残り半分はクライアントの胸先三寸で、一番避けたい「下請け」意識がムクムクと……これでは、 モチベーションが下がってしまう。もっとも、この仕事に見切りをつけたおかげで、 今まで手がつけられずにいたOBTの新展開に裂けるようになったので、不幸中の幸いというべきかもしれないが。
登山専門誌でライター生活をはじめて20年あまりが経ち、いろいろ紆余曲折あったが、気がついてみると、 またアウトドアライターという仕事がメインになりつつある。フィールドに出かける計画を練り、 アウトドアやエコロジカルでサスティナブルな活動をしている人たちと会う仕事が増えてくると、ワクワクしてくるし、俄然元気も湧いてくる。 今さらながら、自分はアウトドアライターだったんだなぁと感じいっている。
2006/09/11 カテゴリー: 02.ライフスタイル, 11.近況 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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**コウモリ探しの秘密兵器「バットデテクター。 右上のダイヤルが周波数調節のためのフリクエンシーダイヤル、左がボリューム。 テープなどに録音するための端子とヘッドホン端子を備える**
**このモデルは、コンパクトタイプで、持ち運びも楽。操作もシンプルで、 だれでもすぐに使用できる**
最近のアウトドアは、登山、トレッキング、 マリンスポーツなどの従来からのオーソドックスなアクティビティに加え、ハイテクな道具を使った遊びがどんどん増えてきています。
なかでも、GPSを使って隠された「お宝」 を探すジオキャッシングは有名ですが(この遊びについては、後日詳しくレポートします)、他にも、 バットデテクティングといったものもあります。
BAT=コウモリ、DETECTING=検出、つまり「コウモリ探し」のこと。 意外に知られていませんが、コウモリは身近にたくさんいます。ぼくが住んでいるのは、東京の西を流れる多摩川の近くですが、この周辺では、 春から秋口にかけての夕方、黒い影がたくさん空を舞います。一見すると小鳥か蝶のようですが、これがまぎれもなくコウモリ。 身近でも夕方から夜に掛けて、バットデテクティングが楽しめるというわけです。
肉眼だけでも注意して観ていれば、コウモリが昆虫を補食する瞬間が観察できますが、 相手はは暗闇の中を超音波を頼りに自在に飛び回っていて、しかも空中で機敏に反転したりするので、注目し続けていると疲れてしまいます。
そこで登場するのが「バットデテクター=コウモリ検出機」です。これは、 コウモリが出す超音波を可聴音に変えて、その飛んでくる方向と距離を測るものです。
バットデテクターを空に向け、フリクエンシーを調節します。すると、 コウモリが出す断続的な超音波が可聴音として聞こえてきます。距離が近ければ音は大きくはっきりと聞こえます。これをレーダー代わりにして、 コウモリが飛んでくる方向を見極めて、そこに注意を向ければ効率的に観察ができるというわけです。
日本には30種類以上ものコウモリが生息しているといわれますが、 それぞれが固有の周波数の超音波を出すので、バットデテクターを使えば、どの種類のコウモリが飛んでいるのかもわかります。
満月の夜にでも、バットデテクターとコウモリ図鑑持参で、空を眺めてみるのも、また面白いですよ。
[参考]
■コウモリの会
http://mail2.nara-edu.ac.jp/~maedak/bscj/
*写真のバットデテクターは、今のところ、国内での取り扱いはありません。 筆者が個人輸入でイギリスの自然観察用品販売店から購入したものです。
2006/09/10 カテゴリー: 01.アウトドアライフ, 06.ツーリズム | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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■アウトドアギアの概念を次々に塗り替えるエクストリームギアメーカー■
finetrack -ファイントラック-
**finetrackのめちゃくちゃアクティヴで明るい面々。中央が社長の金山氏で、 匂いや味からアパレルや各種ギアの素材を分析してしまうという凄い特技!?を持つ。左が営業の上野氏、右がマーケティングの橋本氏。 三人ともトップクライマーであり、ホワイトウォーターカヌーやシーカヤックの第一人者であり、 なんといってもアウトドアが大好きというエクストリームプレーヤー。「自らが必要とするギアを自らで生み出す」というポリシーの元、 凄い性能のギアを次々と生み出している。ちなみに、この夏の社員旅行は、 知床半島一周シーカヤッキング**
今、世界的に注目を集めているアウトドアメーカーが神戸にあります。
ベースレイヤー=肌に密着する第二の皮膚ともいえるアンダーウェア(finetrackでは従来の 「アンダーウェア」という用語を用いず、ウェア内気象を機能分けして、「ベースレイヤー」「ミッドシェル」「アウターレイヤー」と呼ぶため、 一般的なアンダーウェアという言葉はつかいませんが、ここでは、あえて馴染みのある言い方をしています)に、 撥水性のあるポリエステルメッシュを用いて、吸い出された汗がまた肌に戻ってくる「濡れ戻し」という現象を解消して、 まさにアウトドアウェアに革命をもたらしました。
冬山などの厳しい気象条件の下では、
1.肌を常にドライに保つ=アンダーウェア
2.アンダーウェアから効率的に汗を吸い上げ、外に排出するとともに、 乾いた暖かい空気層(デッドエアー)を保持する=インナーウェア
3.冷たい外気をシャットアウトし、デッドエアーが排出されるのを防ぐ=アウターシェル
の三つを組み合わせて、快適な行動条件を保ちます。
これをレイヤード(重ね着)というわけですが、つい最近までのレイヤードシステムは、 クロロファイバーなどの吸水蒸散性の高いアンダーウェア+水分の蒸散性が高くデッドエアーをためやすいフリースあるいはダウンのインナーウェア+ゴアテックスファブリクスなどを使用した耐候性の高いアウターシェルという組み合わせが一般的でした。
**ベースレイヤーに革命をもたらし、次々に大手が追従する製品を送り出してきた「フラッドラッシュスキン」をさらに軽く、薄くして、 限りなく皮膚に近づけた「フラッドラッシュ・スキン・メッシュ」。非常に伸縮性が高く、激しい動きもまったく妨げない。例えば、 シーカヤッキングで転覆してもシャワークライミングで滝に打たれても、 外はいくら濡れても肌はドライに保たれる**
この今までのレイヤードシステムでは、確かに暖かさは確保できるのですが、 このままクライミングやバックカントリースキーなどの激しい動きを行うと、大量の汗をかいて、 それがインナーウェアの部分で飽和状態となってしまい、肌が濡れる「濡れ戻し」が起こってしまいました。
これを防ぐためには、こまめにインナーウェアを脱ぎ着する必要がありました。 ところがエクストリームなアクティビティの最中に……例えば微妙なバランスで立っている氷壁の途中など…… ウェアを脱ぎ着するのは大変な作業であると同時にとても危険でもあります。しかも、肌が濡れたままにしていては体温を急速に奪われ、 あっというまに体力を失ってしまいます。
finetrackのベースレイヤーである「フラッドラッシュスキン」は、 極薄のポリエステルメッシュに撥水加工されているために、この肌に戻ろうとする水分をまさに「薄皮一枚」のところでシャットアウトして、 体温を奪われるのを防いでくれるわけです。
**finetrackのレイヤードシステムで構成された厳冬期のレイヤード。 ベースレイヤーにフラッドラッシュスキンメッシュ+スパイルフィル、サーマルレイヤー(インナー)にドラウトセンサー、 そしてミッドシェル(アウターシェル)にブリーズラップ。見た目、夏山装備にも見えるこの組み合わせで、 氷点下25℃の環境でも快適に行動できる。これらトータルの重さは599g……ボトムは別、 驚異的に軽い!! しかも全てのアイテムが高い伸縮性を持っているので、 激しい動きもスポイルされない**
finetrackはこうしたベースレイヤーに特化したメーカーではなく、 レイヤード全般を視野に入れた開発を行っています。社長の金山氏は長年大手メーカーで新素材を中心としたクライミング、マリンギアを手がけ、 自身が様々な記録を持つトップクライマー。その金山氏が、 より極限を目指す自分や仲間たちのために納得のいくギアを作りたいという情熱をぶつけたメーカーがfinetrack。 その最初のプロジェクトがレイヤードシステムの刷新だったわけです。
まず、冬山という厳しい環境で、このレイヤードシステムは威力を発揮しました。何しろ、薄く、軽く、 活動しやすい。しかも保温性にも優れているのですから、クライミングやバックカントリースキーにも最適です。 ぼくも冬の北八ヶ岳でこのレイヤードシステムを試し、周囲の人たちがフリースやダウンをインナーに着込んでもこもこなのに、 こちらは夏山同様の薄さで、しかも誰よりも涼しい(暖かいといったほうが正解ですね)顔していたものですから、「おまえは超人か!?」 と驚かれたものでした。
また、「肌が濡れるのを防ぐ」という特性は、マリンスポーツでも威力を発揮します。
シーカヤッキングやホワイトウォーターカヌー、 シャワークライミングといったシチュエーションでは冷水でずぶ濡れになることも多々あります。そんなときでも、水中から出ればたちまち排水・ 撥水、乾燥されてしまうので涼しい(暖かい)顔をしていられます。
**マリンスポーツで絶大な威力を発揮するフラッドラッシュシリーズ**
今年の展示会では、従来のラインナップの性能を強化したものの他に、 来春にリリースを予定している秘密兵器も見せてもらいました……この秘密兵器は、クーリング性能が際だつ、 まさにクールビズ向き!?の製品です。とりあえず、季節的には「ウォームビズ」ならぬ「ウォームアウトドア」、 まさにfinetrackはうってつけです。
**左は繊維の揃ったメリノウールにポリエステル糸をスパイラルした「スパイルフィル」。 高い吸汗拡散性をそなえる。真ん中は吸汗拡散性とともに高い保温性をそなえた「ドラウトセンサー」、 そして軽くストレッチ性の高い防風透湿素材を用いた「ブリーズラップ」。 レイヤードシステムの中核アイテム**
**finetrackはウェアだけでなく、クライミングロープ、フローティングロープ、 ツェルト(簡易テント)、タープなどもリリースしている**
[参考]
■finetrack
http://www.finetrack.com/index.html
■アウトドア・ベーシック・ テクニック テクニック編 ウェアリング
http://obtweb.com/technic/step03.html
2006/09/07 カテゴリー: 11.人, 12.グッズ、ギア | 個別ページ | コメント (2) | トラックバック (0)
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いつのまにか9月に入り、 夕暮れも早くなって秋を感じるようになってきました。今年の夏は夏らしい日が少なかったせいか、少々物足りなかった気がしますが、その分、 個人的には涼しい秋にフィールドでいろいろと楽しもうと目論んでいます。
また、秋はアウトドアにベストなシーズンであるとともに、 涼しい夜長に読書にふけるのもいいものです。そこで、今回は、一冊の本とともに、日本の「森」について少し触れてみたいと思います。
白洲正子著の「木」(平凡社)は、様々な樹相を持つ日本の自然を、 その多彩な樹木の代表的なものを取り上げて、 一つ一つに自分の思いと歴史や文化にまつわるエピソードを交えて紹介する白洲さんならではの繊細なエッセイです。
この中では、檜、柳、桐、松といった日頃馴染みのある樹木から、 樫、シナノキ、栃、楠、楮(こうぞ)、朴といった山に入らないとなかなか見られない樹木まで、多彩に紹介されています。
その中で、ぼくは、最初に紹介されている檜にまつわる話に、 心をひかれました。
木曽の中津川から西に入ったところに付知(つけち)という地域があります。ツーリングマップルの 「中部北陸」取材担当のぼくは、そのあたりは、富山方面へ抜ける際によく通るところなのですが、この本を読む前から、 このあたりの山の美しさに惹かれていました。
木曽は古くから林業が盛んな土地で、 檜や杉の林が今でもよく手入れされて美林を成しています。自然そのままの森の美しさもありますが、よく手入れされた森は、 それが人の営みと心の繊細さを見せるようで、どこかなじみ深い美観を持っているものです。そんな木曽の中でも、付知のあたりの檜林は、 特に念入りに手入れされていて、うっとりするような森林美を見せてくれます。
「木」の中では、そんな付知の美林の秘密を教えてくれます。 ここで紹介されているのは、付知の中でももっとも山奥に位置する一般の目には届かない森ですが、それは付知の森のコアになっていて、 その周囲にももちろん影響を与えています。
その付知のコアに当たる森は、「神宮備林」と呼ばれています。 神宮とは、伊勢神宮のことで、この森は20年に一度、社を新しく建て替える「式年遷宮」のために、 その建材として用いられる木材を供給するための森なのです。白洲さんは、その備林に足を踏み入れて「神山」 の雰囲気に包まれたと形容していますが、そんな由来を知らなくても、敬意を持って育てられた静謐が支配する森には、 神性がみなぎっているように感じられます。
伊勢神宮の建築様式は、「神明造り」と呼ばれるもので、 柱を堀り立て、茅葺き屋根の上に千木、樫木を置いて、切妻式となっています。この建築様式は檜の白木にとても合い、 建築全体の清潔な神々しさと檜の凛とした美しさが引き立て合っています。「ブルーノ・ タウトが世界中でもっとも単純でもっとも美しいと絶賛したことは有名だが、それも木曽の檜に負うところが多い」と、「木」 の中では語られています。
この夏のツーリング取材では、できればその「神宮備林」 にもっとも近い場所まで行って、そのコアの場所から流れ出てくる濃い神性の息吹を感じ取ってみたいと出かけていきました。
でも、残念ながら、 その手前で長雨による道の崩落に行く手を阻まれてしまいました。 代わりに、山向こうにあたる王滝や御嶽の北側、通称「裏木曽」のほうを巡ってきました。
この秋は、リベンジというわけでもありませんが、 あらためて付知を訪ねて、付知峡のあたりから、神宮備林に迫ってみようと思っています。
別に何かのアミューズメントやアクティビティがあるわけでもなく、 また開けた景色が楽しめるわけでもありませんが、ただ森や林に、そこの空気に浸りにゆくというのも、なかなかいいものですよ。
**伊勢神宮は20年に一度の式年遷宮で知られている。内宮の本殿はもちろん、外宮も含めて内外の摂社まですべて建て替えられる。 写真は右から"内宮入り口にあたる宇治橋"、"内宮奥宮"、 "奥宮の隣に置かれたミニ社は次の遷宮の土地であることの目印"。ちなみに、 遷宮にあたって解体された旧社の材は、縁の神社に回されて、そこで新たに建材として使用される。木材の生産からその再利用まで、 昔からエコサイクルが考慮されていた**
2006/09/05 カテゴリー: 01.アウトドアライフ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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