夏に続いて、霧ケ峰周辺を巡ります。真っ盛りの紅葉は、明日お届けします。
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この数日、引っ越しでてんやわんやでした。
20年以上も住んだ2DKのアパートを出て、10kmほど離れた土地のアパートに移り住むだけなのですが、 20年の間によくぞこれだけものが溜まったと驚くほど。いや、それ以上に狭いアパートに段ボールで120個もの荷物が入っていたことに、 我ながらあきれました。
18歳のときに、バックパック一つ担いで東京に出てきて、裸電球一つの四畳半一間の下宿で住み始めたあの頃が、 なんだか妙に懐かしく、モノは増えたけれど、心はそれで満たされたのかといえば、はなはだ疑問です。
ブルース・チャトウィンは、数冊のモールスキン手帳とわずかな着替えを持っただけで、世界を旅して、 印象的な光景や人との出会いといったこの上ない「宝」をたくさん心に蓄えていきました。引っ越しを機に、 そんなシンプルな生活のスタイルにまた戻っていけたらな、と想ってしまいました。
同様のことを少し前のコラムですが、もっと端的に語っていますので、ここに再掲載してみます。
2006/10/25 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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前回、コールマンジャパンの新作展示会にお邪魔したことを報告しましたが、今回はその詳報です。
**会場へのエントランスは、コールマンの「顔」ともいえるランタンを並べて雰囲気を演出。今年は、 コールマンジャパン創立30周年にあたり、日本を代表するアーティストの「ランタンアート展」をギンザギャラリーハウスで展開中**
コールマンといえば、アウトドアの世界ではガソリンストーブやランタンのヘビーデューティなイメージが定着していますが、最近は、 オートキャンプだけでなく、ツーリングやバックパッキング、ライトなピクニックなどのギアにも力を入れて、 じつに多彩なラインナップを繰り出しています。
その中から、いくつか気になった商品をご紹介してみます。
**クッキングテーブル、食器ハンガー、ランタンハンガー、ストーブ台、シンクが一体となった 「シンク付コンパクトキッチンテーブル」**
**シンク部分はコンパクトに折りたためるPV素材のバケツ状構造。排水量を調節できるノブがあるので、 氷水を貯めて飲み物を冷やすクーラーとしても使える**
**新作のピクニックシリーズ。マット、クーラーバッグ、パーティークーラー、チェア、 カトラリーなどが淡いカラーリングで統一されている。いずれもコンパクトに折りたためるので、 セットで車に常備しておきたくなる**
**コンパクトに折りたためる焚き火台。頑丈な作りで、 重いダッチオーブンを載せてもびくともしない**
**コンパクトにキャンプしたいバックパッカー向けに開発されたシェルター「アビアーシリーズ」。 詳細は 「ツーリングウェーブ」にて**
今年のツーリングマップルの取材では、各地のキャンプ場でたくさんのファミリーキャンパーと出会いました。 かつてのオートキャンプブームの時のように、野放図で雑然とした雰囲気ではなく、 キャンプ慣れして落ち着いたファミリーキャンパーが増えたように感じました。
今年30周年を迎えたコールマンジャパンでは、多様化するキャンパーのニーズに応えて、 まだまだ続々と新製品をラインナップする予定だそうです。
また、2007年は「コールマン = キャンプ = 自然体験」というポジショニングを確立して、 自然体験プログラムなども数多く展開していく予定とのこと。昭文社のアウトドアサイトとも連動したイベントやプログラムも行う予定ですので、 どうぞご期待を!!
■コールマンジャパン
http://www.coleman.co.jp/index.html
2006/10/22 カテゴリー: 12.グッズ、ギア | 個別ページ | コメント (3) | トラックバック (0)
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「地図」というと、方位や面積を正確に表現したものというイメージがありますが、最近、 様々な事象をわかりやすく表現するためのツールとして用いられることが多くなってきました。
下の写真は、世界地図を野菜の輸出入量という観点から、統計データをベースに地図の面積を変形して表現したものです。 「野菜の輸出量」では、日本は微かな糸のような形になってしまいますが、逆に輸入量では肥大した形になっています。
地図上に様々なデータを載せて表現する方法をGIS(Geographic Information System)と呼びますが、 この統計データを元にした地図表現の方法、「エリアカルトグラム」も一種のGISといえます。
この統計データは欧米の研究者が中心となって研究を進めている"Worldmapper"というサイトで公開されています。 「人口」や「女性の教育」、「移民」、「観光客」等々、様々な観点から表現された地図が公開されています。
秋の夜長に私たちの地球の様々な姿を見つめてみるのもいいかもしれません。
■Worldmapper
http://www.sasi.group.shef.ac.uk/worldmapper/index.html
2006/10/18 カテゴリー: 02.ライフスタイル, 10.天災 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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11~13日にかけて、白馬で取材やら打ち合わせやら。低気圧が通り過ぎた後、
息を飲むような景色を見せてくれた白馬三山。しかし、数日前にはここで九州から来たパーティ4人と東京からの単独行の登山者、
合わせて5人の命が失われた。
先週、白馬岳の頂上付近で、一度に4人の命が奪われた。
九州からやってきた7人のパーティは、白馬岳の西麓にあたる祖母谷から登りはじめた。途中で雨になり、さらに稜線に出ると、 急激に発達した低気圧による激しい吹雪に見舞われた。
祖母谷から白馬岳へのルートは10時間あまりのアプローチとなる。普通、このルートは下山路として用いられることはあっても、 登山路に選ぶパーティはない。白馬村の山岳関係者は、まず、このルーティングに問題があったと指摘する。
白馬村側からは、いくつものルートがあり、それぞれ4~5時間で白馬岳の頂上に立つことができる。どうして、遭難したパーティは、 わざわざたいへんなルートを選んだのか?
彼らが行動を始めてから、雨が降り出した。そして、稜線に向かううちに体は濡れていった。急に吹雪きとなったら、 汗で濡れていただけでも急速に体温を奪われてしまう。それが雨でびしょ濡れのところに、温度が一気に下がり、 吹雪に見舞われれば致命的になりかねないことは、わかっていたと思うが……。
長く苦しい登りに耐え、その上、雨で体力を消耗していた彼らは、再び長い下りを撤退することを選びたくなかったのだろう。 それは人情としてわかるが、仮にも、山岳ガイドが付いていたのだから、彼は、客を説き伏せて、 目の前かもしれないが稜線の上にある小屋を目指すよりは下山したほうが得策だと説得すべきだった。
いや、それ以前に、天候が急変することは予想できたはずだから、登山を中止すべきだった。そのいずれもしなかったということは、 ガイドが少なくともこの山域にかけては未熟だったということだろう。
白馬岳といえば、夏にはお花畑が美しい、たおやかな女性的な山容だ。北アルプス南部の穂高や剱、立山などと比べると、 急峻な岩場もなく、容易に登れる山という印象がある。
だが、地元白馬の山岳関係者は、10月、11月の白馬は、天気次第で、相当なベテランでも危険な山となるという。
吹きさらしの尾根は、今回のようにはじめに雨が降って、それから吹雪となるような場合は、ガチガチに凍って、 アイゼンもピッケルも歯が立たなくなるという。そんなところで突風が吹き荒れれば、瞬く間に谷底へ滑落してしまう。かえって、 まとまった積雪がある厳冬期のほうが、こと登降に関しては容易だし、いざというときには雪洞を掘ってビバークできるので安全だという。
パーティのうちの二人は、山小屋からわずか400mの地点でビバーグしたまま凍死してしまったが、ツェルトは強風で飛ばされ、 ザックを風からの盾にしていたものの、防寒用の装備はフリース程度しかなく、到底持ちこたえられるものではなかったという。
生き残った山岳ガイドは「一生を掛けて亡くなった方たちに償う」と会見したそうだが、いったい、 何をどうやって償うというのだろう?
少なくとも生き残った者として、同じような事故が起こらないよう、克明に遭難にまで至るプロセスを発表しなければならない。
2006/10/16 カテゴリー: 01.アウトドアライフ, 09.生命 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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麦秋を迎えた里と中腹の紅葉、そして白く染まった稜線。鮮やかな「三段染め」を見せる白馬三山。
この稜線で悲劇が起こっていたとは思えない表情
先週、11日から13日にかけて、取材で長野県の白馬村に行ってきました。
以前にこのblogで紹介した「風切り地蔵」 に関する調査とテレビ収録が主で、前回のblogに情報を書き込んでくださったモリさんや地元の歴史や山に詳しい方々にたくさんお会いして、 とても面白い取材となりました。
風切り地蔵に関しては、またもう少し取材を進めた時点でご紹介しようと思っています。今回は、 ちょうど白馬に向かう数日前に起こった大量遭難事故について少し触れてみたいと思います。
7日の午後、太平洋にあった低気圧が台風並みに発達して、海や山は大荒れの天気となりました。このとき、 九州からやってきた7人のパーティが白馬岳直下の稜線で激しいブリザードに巻き込まれ、4人が凍死するという悲劇が起きてしまいました。
八方尾根・黒菱平から白馬三山。ここまで来ると、厳しい冬山の表情をしていることがよくわかる
じつは 、来月に風切り地蔵がある小蓮華山という白馬岳に連なる山の稜線に登る予定で、 その計画を練るのも今回のぼくの白馬行きの目的だったのですが、この遭難事故が話の引き合いに出て、 いかに本格的な冬山に入る直前のこの山域が危ないかという話になりました。
白馬岳で起きた遭難事故は、地元の人にとっては、避けられたはずの初歩的な判断ミスの数々と、この時期の白馬岳周辺の「天候生理」 を知らないことによる多重ミスと映ったようです。
まず初歩的なミスとしては、ルートの設定に無理があったこと。
ふつう、白馬岳方面に登る際には、東側の白馬大雪渓や八方尾根、栂池などのルートを使います。 こちらはアプローチが3~4時間と比較的短く、悪天候に見舞われた際にも、そのまま撤退すればすぐに安全地帯まで下りることができます。
ところが、遭難した九州のパーティが選んだのは、 普通は下山ルートに使うことはあっても登りには使わない西の祖母谷からのルートでした。 こちらは白馬岳に出るまでに10時間以上のアプローチがあり、吹きっさらしの稜線を延々と辿らなければなりません。 これを一日で登り切るには、相当な体力がいります。そして、このルートでは他に派生ルートがなくエスケープができません。
九州のパーティは、この長い祖母谷ルートを登りはじめ、ずっと雨に打たれていました。そして、 稜線を辿るうちに激しいブリザードとなって、冬山装備も持たなかったため、次々と体温を奪われて、身動きできなくなっていきました。
結局、白馬岳の山小屋までたどり着いたのは、ガイドとそのアシスタント、そしてお客さんのうちの一人だけでした。 なんとか頑張って白馬岳直下までたどり着きながら力尽きた二人は、山小屋からわずか400mの位置で遺体が発見されました。
じつは、この日、白馬岳周辺では他にも遭難寸前まで行って、山小屋関係者に助けられた登山者がたくさんいたそうです。 白馬岳周辺の稜線は、難しいロッククライミングを強いられるような場所はありませんが、今回のように先に雨が降って、 急速に気温が下がってブリザードになると、アイゼンやピッケルでも歯が立たないほどに地面がクラストしてしまうそうです。そして、 この稜線で滑落したら、そのまま谷底まで数百メートルは遮るものもなく、転落することになります。
「10月、11月は、ほんとに怖いんですよ。かえってその後のしっかり雪がついた季節のほうが、安心して登れるんです」
と、地元の山に詳しい人は言います。
白馬岳といえば、北アルプスの中でも、ゆったりした山容でコースも険しくなくて人気ですが、一度、牙を剥けば、 紛れもない3000mクラスの本格山岳の厳しさを見せつけてきます。
自然と対するときは、常に謙虚で畏れを持ってあたらなければならないと思い知らされた事件でした。
2006/10/15 カテゴリー: 06.ツーリズム | 個別ページ | コメント (4) | トラックバック (0)
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標高2150m、硫黄岳の山腹に位置する本沢温泉は、通年営業の温泉としては日本最高所にあります。なかでも、 硫黄岳の爆裂火口の下にある野天風呂は、ワイルドそのもの。
紅葉のトンネルを潜って野天風呂へ向かうとカモシカが迎えてくれた
本沢温泉に到着して、少し休憩した後、八ヶ岳の稜線、夏沢峠に向かいます。その途中で道を左に分けて野天風呂へ。 色づいたナナカマドや紅葉のトンネルを抜けて、硫黄岳の展望が開けると、硫黄の臭いが鼻を突きます。
黄色い硫黄が析出した斜面を下りていくと、前方の斜面に動く、黒い大きな影……。
「熊!?」
一瞬、立ち止まって、身構えると、むこうもこちらをゆっくりと振り向きました。
それはカモシカでした。成獣で、大きさは小牛くらいあります。熊でなかったことに安心しましたが、それでも下手に刺激して、 こちらに突進してこられたらひとたまりもないことに変わりはありません。
しばらくそいつとにらみ合っていると、フッと向こうの方がこちらへの興味をなくしたように力抜き、方向転換すると、 傍らの木の葉をムシャムシャと食べ始めました。かくして、谷の下では人間が風呂に浸かり、 そこから20mほど離れた斜面ではカモシカがのんびりと食事…… といういかにもナチュラルライフな光景が展開することとなりました(笑)
この野天風呂は白濁した硫黄泉で、湯温は適温。ゆっくり風景を楽しみながら浸かることができます。小さな湯船が一つきりで、 脱衣場もなく、いかにもな「山のいで湯」です。
本沢温泉から夏沢峠へは、 苔むした北八ヶ岳らしい登山道が続く
野天風呂を後にしたら、登山道に復帰して、傾斜を増した北八ヶ岳らしい苔むした道を淡々と登っていきます。 本沢温泉から八ヶ岳の稜線に位置する夏沢峠までは1時間あまり、車を降りてから稜線に出るまではトータル2時間半。 本格的な山岳である八ヶ岳の稜線を踏めるルートとしては、危険箇所もなく、もっともお手軽なコースです。
夏沢峠からは硫黄岳の頂上まで足を伸ばす予定でしたが、残念ながらガスの中。これでは展望も期待できないので、 今回は夏沢峠でゆっくりと昼食をとって休憩することにしました。
平日ながら、北八ヶ岳のプロムナードということもあって、他にも稜線を辿ってきたり、 反対側の夏沢鉱泉のほうから登ってくる人がいたり、けっこう賑やかです。この峠には山彦荘と夏沢ヒュッテ、二つの山小屋があって、 宿泊はもちろん、悪天候の際はその中で休憩することができます。
さて、下りはいとも簡単に本沢温泉に。20年前に訪れたときは小さな山小屋が一つあるだけでしたが、宿泊棟と温泉棟が増築され、 見違えるように立派になっていました。まず、野天風呂の入浴料600円を払い、さらに内湯の代金800円を払って、温泉棟に向かいます。
本沢温泉の内湯で登山の汗と疲れを癒す。 表の紅葉が湯船に映って、秋満喫気分
こちらのお湯はやや白濁した透明で若干熱めです。
窓の外には色づいた紅葉があって、それが湯船に映り、全身で秋を満喫できました!!
2006/10/11 カテゴリー: 01.アウトドアライフ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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先日、プランニング編とライブ編にてお伝えしましたが、 通年営業の野天風呂としては日本最高所にある本沢温泉に行ってきました。
本沢温泉は、まだ若かりし頃に訪ねて以来、じつに20数年ぶり。久しぶりの山のいで湯がどんな風に変わっているか、 とても楽しみでした。
10月3日、深夜に山歩 きの道具を調えて慌ただしく出発。中央高速を東京から一路西へと向かいます。 前日まで台風に刺激された秋雨前線の影響で残っていた雨もなんとか上がると見込んでの出発でしたが、 台風は通り過ぎても、 まだ前線は怪しいところにあって、残念ながら雨模様。R141沿いの道の駅 「南清里」で、翌日の天候回復を祈りながら車中泊。
翌4日、4時半に起床し、R141を北上。この時点では残念ながら小雨が降っていました。
海尻から西へ道を分けると、本来なら稲子湯を経由して本沢温泉へと向かう道が、途中で土砂崩れのために通行止めとなっていて、 迂回路に沿って、八ヶ岳高原カントリークラブ方面へ。
八ヶ岳高原カントリークラブの正門を通りすぎると、道はコースに沿ったダートロードに。 両側にクマザサが茂るこの道はけっこう荒れていて、普通車だと腹を擦らないように慎重な運転を強いられます。
ほどなくして八ヶ岳林道に合流。この道はダートながらフラットで、道幅もあり、安心して進むことができます。北にしばらく辿ると、 10台あまりの駐車スペースがある「本沢入り口」に到着。幸い、ここまで来ると雨は上がり、 夜が明けるとともに高曇りの空に少しだけ青空が覗きはじめました。
この先、4WD車なら本格的な登山道が始まる手前まで、さらに2kmほど登れますが、ぼくは、ここから歩き。身支度を調えて、 いよいよ登山開始です。
ここから本沢温泉までは1時間半ほどの行程。急なアップダウンはありませんが、傾斜の少ない単調な登りが続きます。でも、 山はちょうど紅葉が盛りに向かって進んでいるところで、その鮮やかな色と、時折、 雲の間に顔を見せる八ヶ岳の稜線が単調さを紛らせてくれます。
本沢入り口から、ちょうど1時間半のオンタイムで本沢温泉着。そこは、ぼくの記憶に残る小さな一軒の小屋だけではなく、 だいぶ立派な施設になっていました。
2006/10/10 カテゴリー: 01.アウトドアライフ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006/10/07 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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「月へひとりの戸は開けておく」
今日の月はまだ半月だが、岐阜県のとある酒蔵から送られてきた「秋のひやおろし」を、秋風と鈴虫の鳴き声を肴に傾けていると、 山頭火のそんな一句が浮かんできた。
世の儚さを痛いほど知って出家と放浪の道を選んだ山頭火は、一般には、常に寂しさを背負い、人恋しさを胸に秘めて、 自分をさいなめるかのように孤独に追いやっていたと思われている。
だが、この一句を味わえば、俗世の人恋しさなど超越して、もっと別な次元の「孤高の楽しみ」 といったような境地に達していたことがはっきりとわかるはずだ。
この夏から秋にかけて、ぼくは山や海を一夜の庵にしながら旅をしていた。
夏、昼間の酷暑からようやく解放されて幕営するとき、一人であることの寂しさなど微塵も感じなかった。でも、秋風が冷たさを増し、 ほかにまったく人影もなく、秋虫の声が立ちこめる幕営場での一夜は、無性に人恋しさを掻き立てた。
そんなときにも、「月へひとりの戸は開けておく」の一句が浮かんできた。
天幕の扉を月のほうに向けて、その冴え冴えとした光を導き入れると、何故か静かな心持ちになって、ゆっくり眠りにつくことができた。
もうすぐ、中秋の名月。
この夜は、どこか山中の湖の畔にでも幕営して、杯に月を映して「冷やおろし」を風雅に戴こうかと思う。
キリッと引き締まって、でも米の青さと、最後にほんのりと儚い甘い香りを残すこの酒は、まさに秋の満月を連想させる。 中秋の名月を映して、それを戴けば、まさにその蒼い月を戴いたような満足感に浸れるだろう。
2006/10/03 カテゴリー: 02.ライフスタイル, 11.近況 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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本来は、今頃、北八ヶ岳の麓、稲子湯にゆっくり浸かって、明日は夜明けと共に稜線を目指しているはずだった。
ところが、明日は前線が引いて晴れると思わせながら、なかなか南下せず、中途半端に止まったままで、天候がどうもよくない。 今回の山行は撮影が主なので、雨や曇ってガスがかかる天気では意味がない。そこで、 これも停滞している仕事のあれこれを待機の間にこなしながらタイミングを見ることになった。
先々週、毎年夏に恒例のツーリングマップルの取材が、これも秋雨前線の停滞や台風の影響で長い「晴れ待ち」の挙げ句に、 ようやく秋風が吹く次期になって、こなすことができたが、それにしても、今年は、天気に悩まされ続けている。
中秋の名月は、果たして顔を出してくれるだろうか?
2006/10/02 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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前回のエントリーで、日の出のラ イブ写真だけをアップしましたが、いったい何のことだろうと思われたかと思います。
これは秋分の太陽で(実際の秋分の日は9月23日でしたが、正確に昼と夜の長さが同じになるのは27日でした。 写真はその一日遅れの28日の太陽です)、千葉県の外房、上総一ノ宮の海岸から、太平洋に上った瞬間の太陽をとらえたものです。
この上総一ノ宮には「玉前神社」という古い創建の神社があります。この神社は東に参道が向いていて、秋分と春分の日に登った朝日は、 この参道を真っ直ぐ進んできて、東にある一の鳥居を潜り、さらに二の鳥居を潜って、真西へと進んでいきます。
玉前神社の二つの鳥居が朝日に結ばれる写真が二枚目のものですが、まさに、「インディジョーンズ」 の宝を指し示す光の光景と同じものがここで展開されるわけです。
そして、この太陽の光は、西へと進んでいきながら、神奈川県の寒川神社、富士山、七面山、琵琶湖に浮かぶ竹生島、宮津の元伊勢、 大山と結んで出雲大社に到達します。通称「御来光の道」と呼ばれるこのラインには、不思議なことに名だたる「聖地」が連なっているのです。 このラインを細かくみていくと、さらにたくさんの神社仏閣、遺跡が並んでいることがわかります。
あまり知られていませんが、冬至や夏至、春分、秋分を意識した配置になっている神社仏閣、遺跡はたくさんあります。
そこでは、今でも人知れず、インディジョーンズの一場面と同じ劇的なシーンが繰り返されているのです。
たまに早起きして、そんな場所を訪ね、不思議な光景を目撃してみるのも楽しいものです。また、早起きが苦手という人なら、 一年の節目に当たる日の夕日を様々なランドマークから眺めてみても、同じように劇的なシーンに遭遇することができるかもしれません。
2006/10/02 カテゴリー: 06.ツーリズム, 08.スーパーネイチャー | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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