ずっと、自分のスタイルに合った手帳はないかと探し回り、あれこれと試してみたけれど、気に入るものが見つからなかった。
ある時期はFilofaxのシステム手帳に落ち着きかけ、 ある時期はPalmの端末ですべてを済まそうと頑張ったこともあった。でも、いずれも長く愛用するとまでいかなかった。
それが、2年前、ミドリというノートメーカーのWEBを見ていると、 シンプルで使いやすそうな手帳が目についた。タイのチェンマイでフェアトレードで作られた水牛の一枚革を使って、 中綴じのリフィルをゴムバンドで挟み込む、ごくごくシンプルなもの。 そのプロトタイプを世界のあちこちで風景の一部として撮した写真が添えられ、『トラベラーズノート』 と名付けられたその手帳に心ひかれた。
さっそく、このトラベラーズノートを手に入れて、自分でドローコードを足してリフィルを二部差しにしたり、 別売りで出て来たクリアポケットや色違いのドローコードで、自分のニーズと好みに合わせてカスタマイズしていった。
2年間使い込んだ水牛の一枚革はいい味が出てきて、その後、ミドリから様々なカスタマイズパーツが出されて、 より自分に合った仕様にアレンジできてきて、今では、このトラベラーズノートが、仕事でもプライベートでも、欠かせない相棒となっている。
タイムマネジメントや情報管理のために工夫を凝らした手帳がたくさんあるが、このトラベラーズノートは、シンプルさを突き詰めて、 使う人間が工夫する余地を最大限に与えてくれるのがいい。そして、サイトでは様々なユーザーが自分のカスタマイズや使い方を披露しあって、 それがとても参考になる。
付加価値ばかりが輝いて、それでコンシューマーを引きつけようという製品ばかりが溢れて、 逆にコンシューマーが離れていってしまう中、このトラベラーズノートは、大ヒットとなっている。こういった、本来、 当たり前な商品が世に出て来て、それが受け入れられるということは、世の中も少しは健全な方向に向かっているのだろうかと、 少し安心させられる。
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