物事に迷ったり、転機のときに紐解く本が何冊かある。この数日、大部だけれど、持ち歩いて読み直している「複雑系」も、
そんな本の一冊だ。
話題は、80年代半ばに創設されて、知の革命を起こしたサンタフェ研究所に集った革新的な科学者たちの物語。
もう20年以上経過しているが、いまだに、複雑系は知の最前線にあって、地平を切り開き続けている。
ドグマに囚われず、透明な眼差しで世界を見渡して、既成概念からは外れたように見える事柄、
それが気になってとことん追い求めてしまう……そんな好奇心に忠実な科学者たちの姿から、自分を信じて進めば、
必ず道が開けるという元気をもらえる。
カオス、創発性、自己組織化……ここに登場するどの概念も、改めて読んでもワクワクさせられる。
ほんの些細な変化が波及効果によって巨大な変化を巻き起こしていく……それは、
錬金術師が唱えるCorrespondenceという概念とだぶる。「心に思い描けば、それは現実となる」錬金術や魔術では、
そうした言い方もするのだが。
今日は、午後に定期検診で両国の病院へ行き、その後、秋葉原で友人のデザイナーと打ち合わせをした。そして、
いろいろと斬新なアイデアで盛り上がって、彼は今、自転車に凝っているのだが、ショップ巡りをするというのでついていった。
その道筋で、なんと、今日の午前中にmailを出したSさんの事務所兼ショールームを発見した。近々、ご挨拶に伺って、
商品を確かめさせてほしいとmailしたのだが、まさか今日、出くわすとは……。しかも、ショールームには、残業でSさん本人がいて、
思わず、懸案の打ち合わせがその場で進んでしまった。
この会社とは、長いお付き合いをさせていただいているのだけれど、ぼくを担当してくれていたOさんという方が退職されて、
会社も移転したりして、少し縁が遠くなっていた。そんなわけで、新しい移転先を訪ねたことがなかったので、まさに偶然行き着いたというわけ。
しかも、友人のデザイナーは、このショールームを何度も訪れているという。その上、デザイナーとコラボレーションする話の一つが、
この会社の仕事だった……。
ときどき、こうしたSynchronicityが起こることがあるが、どうも、そのきっかけは、「複雑系」
を読んでいるがためという気がする。
最近のコメント