昨年の夏、写真家の石嘉福さんに誘われて、中国新疆自治区政府の招きで、 20年振りにシルクロードを巡った。
そのとき、ウルムチからカシュガルまで1週間あまり、同じバスで旅をしたパキスタンの旅行会社「Cox & Kings Pakistan (Pvt) Ltd.」の社長Mr.Sajjad Hussain Shahと、日本人マネージャー白井真理子さんと意気投合し、 楽しい時間を過ごさせていただいた。
Shahさんは、日本に長く留学され、日本で山登りに目覚めて、祖国パキスタンへ帰ってからも、 カラコルムをはじめとする山々に登った。そして、ある時、パラグライダーに出会い、カラコルムの麓であるフンザをベースに、 7000m峰目がけて上昇気流に乗って空へと登っていくのが無上の楽しみとなった。
フンザは、宮崎駿の「風の谷のナウシカ」のモデルとなったところで、実際、世界の屋根に向かって吹き登っていく風が、 目に見えるところなのだという。
「フンザは、春がいちばんいいんだよ。来年は、春にぜひいらっしゃい、ぼくがパラグライダーで登らせてあげるから」
と、誘いを受けて、この春は、パキスタンを訪ねるつもりでいた。
しかし、パキスタンは、昨年の秋からアルカイダに率いられたテロが横行し、現地の観光業は壊滅的な打撃を受けてしまった。
白井さんは、会社の公式サイトを更新する傍ら、自信のブログで、パキスタンの魅力を伝え続けていたが、それも長く途絶えてしまった。
桃源郷のようなフンザの空へ、風をとらえて登っていく……そんなファンタジーの一シーンのような体験が実際にできるように、 パキスタンが平和を取り戻すのはいつのことなのだろうか。
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