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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
vol.111
2017年2月2日号
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◆今回の内容
◯魂振りと呪物信仰
・魂振りの呪物
・水鳥と魂振り
・見る力と魂振り
◯お知らせ
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魂振りと呪物信仰
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このところ全国的に厳しい寒さが続いていますが、ふと道端の木々を見ると花芽が膨らんで、もうしばらくすれば春が訪れることを予感させてくれます。
春といえば花見。毎年、各地の桜の名所では賑やかな宴が催されますが、この花見は、「魂振り(タマフリ)」という神聖な意味合いを持っていることをご存知でしょうか?
魂振りとは生命力や霊力を意味する「タマ」を振り動かして活力を与える呪術を意味します。古来、春に花見をしたり、初夏に新緑の燃え立つ山を見る「山見」をすることは、自然の生命力をもらって「自分の生命力を躍動させる=魂を振り動かす」意味を持っていたのです。
今回は、そんな「魂振り」の信仰とこれにまつわる聖地の話です。
【魂振りの呪物】
神社でお祓いを受けるときに、神主が御幣を振りますが、これは魔除けであると同時に、生命力を振るい立たせる魂振りの意味が込められています。今の御幣は榊の枝または白木の棒の先に紙垂(しで)をつけたものですが、昔は青々とした葉をつけた榊が用いられていました。
御幣を振るときの「サッ」という音とその動きを表す「フッ」という音には魔除けの意味があり、さらに葉の茂った榊は強い生命力を持っていて、これを参拝者の頭上で振ることによって、その生命力を移すという意味が込められていたのです。
古代に祭祀を司った物部氏の氏神である奈良の石上神宮は、正式には「石上坐布都御魂神社(イソノカミニマスフツノミタマジンジャ)」と「石上坐布留御魂神社(イソノカミニマスフルミタマジンジャ)」の二つの名を持っています。この神社の祭神は「フツノミタマ」と呼ばれる宝剣で、「フツ」は剣を勢い良く振るときの「フッ」という音を表したもので邪気を祓う意味を表しています。そして「フル」のほうは、石上神宮のご神体山である布留山を指し、文字通り生命力を高める魂振りの意味を表しています。
魂振りには榊以外にも、様々な呪物が用いられます。それがどのようなものであるかは、記紀神話の中の天の岩戸隠れの場面に端的に見られます。
天岩戸神話は、冬至の季節を迎えた太陽の力が弱まり、これを回復するために行われた魂振りの儀式を神話として物語ったものです。天照大神が弟神の素戔嗚尊の狼藉にすっかり呆れ果てて、天の岩戸に隠れて世の中が真っ暗になったとき、神々が集まって、種々の呪物、呪法を奉ります。
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