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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
vol.60
2014年12月18日号
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◆今回の内容
1 神との対話--奉納舞--
フラ
巫女舞
2 お知らせ
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神との対話--奉納舞--
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先日、福島県いわき市にある「スパリゾート・ハワイアンズ」に伺いました。映画「フラガール」のプロデュースや環太平洋諸国の代表を招いたシンポジウムの開催、さらに様々なイベントを企画して、スパリゾート・ハワイアンズを盛り上げてきた総支配人の若松貴司さんにご招待いただいて、施設やいわき市内のポイントを視察しました。
私は、茨城県の鹿島灘沿岸の町の生まれ育ちですが、いわき市が位置する福島浜通りとは海岸で繋がっていて、言葉や文化もほとんど同じなので、故郷と言ってもいい土地です。
子供の頃は子ども会の遠足のような公式の行事でも、親に連れられてのレジャーでも、当時は「常磐ハワイアンセンター」と呼ばれていたスパリゾート・ハワイアンズへよく出かけたものでした。
今回は40年ぶりに訪れ、随所に残る昔の面影を懐かしく思うと同時に、プロジェクションマッピングやレーザーを使った現代的で洗練されたショーの演出に、やはりそれだけの時の流れを感じました。
いわき市は、3.11の際の地震と津波の被害に加え、福島県最大の水揚げ港である小名浜港は原子力災害のために未だに操業不能の状態が続いています。また、原子力災害による避難者の仮設住宅がたくさん建てられ、被災地の仮役場などが置かれているため、人口が一気に膨らんで、行政に大きな負担が掛かっています。
目先の課題が山積する中風評被害も深刻で、そうしたイメージの払拭や新たな産業の創出へ向けて、長期的な施策が並行して行われています。その一環として、レイラインハンティングによる聖地の調査と、その観光資源化のための視察が今回の目的でした。
「いわき市」は昭和41年に、14の市町村が合併して発足しました。その中心地はかつては「磐城(いわき)市」と漢字で表記されていました。私の子供時代は、まだ合併前でしたので、「いわき」と言えば漢字のほうの「磐城」が初めに思い浮かびます。
磐城とは、大きな磐座を指します。市内には大小の寺社がたくさんありますが、そのうちの多くは岩の岩盤がむき出しの磐座の上に位置していたり、あるいは磐座をご神体として祀っています。
蝦夷には、アラハバキ信仰という巨石信仰がありましたが、いわきはその巨石信仰の名残が色濃く、さらに平安初期まで遡由緒を持つ住吉神社や金毘羅神社があって、西日本の海人族がここに上陸して拠点を築いた痕跡も多く見られます。
さらには、東洋一の規模を誇った常磐炭鉱があり…スパリゾート・ハワイアンズは、その跡地に作られています…、鉱物資源に関わる神を祀った寺社が多いのも特徴です。
東北の古代信仰と海人族の信仰、さらに鉱山神と、神々のプロムナードといえる土地柄で、レイラインハンティングのフィールドとしてもとてもおもしろい場所です。
いわきのレイラインハンティングについては、また調査が進んだ段階で報告したいと思います。今回は、久しぶりにフラダンスを観て、強く印象づけられた「奉納舞」について触れてみようと思います。
【フラ】
スパリゾート・ハワイアンズのフラダンスショーを観ていて、あらためて思ったのは、フラは神に奉納する宗教的なダンスなんだなということでした(「フラ」はそもそも「ダンス」という意味なので「フラ」だけで正式です。以下、「フラ」で表記します)。
フラには、フラ・カヒコとフラ・アウアナがあります。フラ・カヒコはヘイアウと呼ばれる聖域でメレと呼ばれる詠唱に合わせて踊られ、またイプヘケと呼ばれるヒョウタンや、鮫の皮で作られたパフドラムという太鼓に合わせて、ダンサーがイリイリと呼ばれる石のカスタネットや、竹を使ったカラーアウと呼ばれる棒でリズムをとって踊るまさに奉納舞です。
フラの動きは、風や海の波、雨、陽の光、草の動き、動物の息遣いなど、自然界の事象を表しています。文字を持たなかったハワイ人は、口承の祝詞であるメレを歌い、さらにそれをフラで補足することで、この世の成り立ちや移ろいを表現し、創造主への感謝や願いを伝えたのでした。
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