一昨日は藤沢の朝日カルチャーセンター湘南で講義を持った。『レイラインハンター』を4月に上梓して以来、ありがたいことに、自分の成果を公に発表する場を相い次いでいただいている。
今回は、高校の頃からの友人で、今は産業能率大学の准教授である松岡俊がアレンジしてくれた。彼は朝日カルチャーセンターでは、もう17年も講座を持っているベテランで、「流石にレイラインハンターではカルチャーセンターのテイストに合わんからなあ」と、『方位思想研究者』なる肩書きを一緒に考えてくれたり、講義の進め方などのアドバイスをしてくれた。
また、同じ朝日カルチャーセンター湘南で占星術の講座を持たれている松村潔さんが、受け持ちの講座で『レイラインハンター』と、ぼくの講座を推薦してくれた。
そんなバックアップもあって、当日は相変わらずの猛暑の最中、20人以上の人が聴講してくれた。
これまで行ってきたトークライブでは、聖地を結ぶ不思議な直線「レイライン」という事例をもとに、まだまだぼくたちの身の回りには不思議なことが溢れていること、それを見つけ観察することの楽しさ「センスオブワンダー」を一人の体験者として素朴に伝えるというスタイルをとってきた。
今回は、体験談が主というより、聖地の成り立ちと、特定の場所が聖地とされるための条件などをレイラインをはじめ、巨石信仰や風水、陰陽道などの理論を援用して解くというスタイルを取った。
聴講してくれた人たちは、みんな熱心にノートを取り、質問の時間も足りなくなるくらい盛り上がった。
講義が終わり、町田で松岡と待ち合わせて二人で飲んだ。
彼は、『古文書を読み解く』という講座を持っているが、聴講者は60代後半から70代の男性がほとんどで、80代も二人いるとのこと。こちらは、30代から40代の女性が中心だったと話すと、「同じカルチャーセンターでも、えらい違いだな」と、羨望の眼差しを浮かべつつ苦笑した。
今回の講座では、世のパワースポットブームや神社巡りブームに逆らうというわけでもないが、あえて、そんな流行に対して否定的な話からはじめた。
今では、伊勢が日本の精神的な古里であり、天皇家の氏神として皇室からも篤い尊崇を受けているとされるが、歴史を紐解けば、かなりイメージが異なる。
伊勢に祀られるアマテラスは、はじめは朝廷の中に祀られていたが、様々な災厄の元凶として追放される。そして、畿内のあちこちを80年以上も彷徨い、ようやく伊勢に落ち着く。
その後、明治に至るまで、持統天皇を除き、天皇は伊勢に参拝していない。唯一参拝した持統天皇にしても、周囲の強硬な反対を押し切ったもので、また、持統天皇は伊勢を守る斎宮と同じ女性であった。
伊勢が賑わいを見せるのは、江戸時代に入ってからだが、それも、江戸と大阪の為替差益が広がったことで、江戸から上方への旅行がブームになったことが背景にある。毎日がつつがなく暮らせることのお礼をしに伊勢に行くという口実で『おかげ参り』に出かけた庶民の目的は、道中の物見遊山と伊勢参りの後の松阪での精進落としだった。
そんな話をすると、スピリチュアル好きな女性に嫌われてしまうかと思ったが、逆に、面白がってくれた人がほとんどなのが意外だった。
もちろん、伊勢はそんな否定的な側面だけでなく、方位を意識して緻密に設計され、また、この土地がアマテラスの聖地とされた具体的な理由もある。そんなことも解説した上で、今のパワースポットブームのような裏付けを伴わない物事に振り回される虚しさを伝えたかったのだが…。
今後の予定は、 ■10月30日: 『聖地の成り立ちと神話の秘密』 ■12月 4日: 『聖地の秘密を探るテクニック』 ■さらに、松村潔さんとの対談を予定している。 興味のある方は、ぜひ。
☆朝日カルチャーセンター湘南 http://www.asahiculture-shonan.com/
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