ずっと空海のことを調べていて、その関連書籍や空海の著作ばかり読んでいた。
ここらで少し軽いものをと思い、何を読もうかと思いめぐらせたら、中島らもの「ガダラの豚」が無性に読みたくなった。
もう10年以上前に読んでいて、大まかな筋立ては覚えていたのだが、 改めて読み直してみると冒頭は真言僧の護摩供のシーンから始まっていた。
このシーンはまったく記憶に残っておらず、空海の流れがそのままガダラの豚に繋がったのが不思議でかつ面白い。たぶん、 潜在意識の中にこの冒頭シーンが眠っていて、それが空海=真言宗を追いかけることで意識しないうちに呼び覚まされたのだろう…… あるいは、 純粋なシンクロニシティか。
ともあれ、空海に絡めたストーリーを構想しているところにその実例が引き出されてきたわけで、 これは単純にエンタテイメントとして読んだときよりも、さらに面白く読み進められている。……「資料読み」 の続きのような気分になってしまったのであまり気分転換にはなっていない気がするが(笑)。
一巻は半日で読み終わり、今、二巻目に入ったところだ。
それにしても、この洒脱で、軽妙で、人を食った文章を書く中島らもが、破滅的にその生を終えてしまったということが、 とても信じられない。もっとも、一方で人生における苦悩を抱えていたからこそその正反対の作品を残し、 生きざまを見せていたといえるのかもしれない。
三巻目は、酒を飲みながら、らもさんとカウンターに並んで腰掛けているようなつもりで、じっくり味わいながら読んでみよう。
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