先週末、若狭にシーカヤッキングに出掛けた友人が、突然の天候急変に見舞われ、危うく岸に待避して難を逃れた。
午後から雨の予報ではあったが、毎年、今の時期なら午後遅くなってから夕立が来るので、 15時くらいまでは十分に時間は確保できると考えていたらしい。天気図を見ても、観天望気をしても、 今まで何度も同じ土地で漕いできた経験から、その読みはほぼ間違いないと思っていたそうだ。
ところが、昼を過ぎてしばらくしてから、積乱雲が異常な勢いで発達し、凄まじい雷雨と突風になったのだという。
彼は、空を見上げていて、積乱雲が見えた時点で、「こんなに早い時間に雲が立つのは異常だ」と感じて、すぐに待避行動に移った。 それでも、岸に非難するのと嵐が襲ってくるのがほぼ同時だったという。
この日、残念なことに海で遭難者が出てしまい、陸でも突風の被害で死傷者が出た。
シーカヤックで海に出た彼は、ベテランのシーカヤック仲間ばかりでチームを組み、岸にサポートがいた。岸のサポートが、 彼らが命からがら待避したことを知らず、海上保安庁に連絡して、嵐が通り過ぎてから、岸に非難している彼らを見つけた。
まだ海上にうねりはあったが、自力でエントリー地点まで戻れると判断して、捜索に来た巡視艇に見守られながら、無事帰還したという。
海上保安庁のほうでも、当初は、天候の推移を彼らと同じように予測していたという。そして、 彼らがシーカヤックのベテランである上に、この土地の環境を熟知していたからこそ、回避が可能だったと評価したという。
神戸では、街中を流れる川を鉄砲水が襲い、尊い人命が損なわれた。
先日のエントリーで、廻り目平の白樺林の惨状を報告したが、近年、 今までの気象常識があてはまらない異常気象による災害を間近に目にするようになった。また、自分でもそんな状況に遭遇することも多くなった。
こうなってくると、アウトドアアクティビティを気軽に人に勧められなくなってしまう。なにしろ、 街中の子供たちの遊び場である親水公園で命を落としてしまうのだ。近海で楽しむシーカヤックであれ、ちょっとしたトレッキングであれ、 フィールドから無事に帰還するためには、気象から生理、サバイバル技術といったスキル知識をしっかりと身につけていて、なおかつ、 豊富な経験が必要となってしまうのかもしれない……。
>モリさん
アプローチが良くなって、手軽に登れるのはいいですが、たしかにセオリーを無視した……もしくは、セオリーを知らずに行くのは論外ですね。
白馬のツアーというと、一昨年のあの悲惨な事故を思い出してしまいます。
息子さんがバイクに乗られるのなら、まずお父さんが率先してオフロードでみっちり仕込まれるといいですよ(笑)
最近のビッグバイクのライダーで目に付くのは、オートバイをコントロールしているのではなく、『かろうじて』乗っているといったレベルの人たちばかりだということです。
意図的にスライドさせたり、最悪の時には自分からスリップダウンしてバイクを放り投げるなど、やはりアクティヴな技術を持っていないと、この乗り物は乗るべきではないと思います……。
今度、またじっくり伺います!!
着実に移住計画も進めておりますので、また相談に乗ってください!!
投稿情報: uchida | 2008/08/02 19:08
内田さんこんばんわ。
先週末は山も大変だったようです。
激しい雷雨で、知り合いの山小屋関係者は、多くの登山者の救助に奔走し疲労困憊で山を下りてきていました。
幸い遭難者も無事でヤレヤレでしたが、この時期に午後から山に登り始める登山ツアー企画があるのは私には信じられません。
雷の巣の稜線では全く逃げ場がありません。
ロープウェイの力で、午後出発でもアルプスの稜線に立つことが簡単にできる時代になりました。
近頃の異常気象下でのアウトドアフィールドでは何が起こるかわかりませんね。
最近、息子がオートバイに興味を持ちだしていて、「気をつけろ、スピードは出すな!」とか、いつしか前に私の親父から言われた言葉をそのまま言っている最近の自分です。(笑)
また、山にもお越し下さい。
お待ちしていま~す。
投稿情報: モリ | 2008/08/01 20:51
ぼくも、基本的には、リスクを伝えた上で、「どんどんやってごらん」といったスタンスなのですが、今回のようなことがあると、人にアクティビティを勧めるということに躊躇してしまいますよね。
例えば、オートバイにも乗りますが、これはぼくは人には絶対に勧めません。
オートバイは、リスクが高すぎます。いくら自分で注意していてももらい事故で簡単に死んでしまいます。
危険な目に何度も遭って、何度も怪我をして、自分の注意だけではどうにもできないことがあるのが身に染みていますので、「オートバイは楽しいよ」なんて口が裂けても言えません……。
唯一、クローズドコースで楽しむモトクロスくらいでしょうか、人を誘ってみたりするのは。
もう、アウトドアフィールドが舞台のアクティビティは、『プロ』だけに許された世界なのかもしれませんね……それでもいいのかもしれませんが。
投稿情報: uchida | 2008/08/01 11:03
よかったですねぇ。
気持ちとしては、昔から野田知佑氏がおっしゃってるように、「甘やかさずにやらせてみればいい」というのに賛成なんです。
でも長年プロとしてフィールドに出続けて、今回のケースのように予想外の天候急変に何度も遭遇している体験からは、uchidaさんのおっしゃるように、気軽にアウトドアを勧められなくなっているってのが本音です。
アウトドアってのは自己責任の世界ですが、自己責任がとれるようになるまでがけっこうな道のりであって、そこまでのレヴェルに到達するまでは、じゃぁ誰の責任なのか?という問題があって、そうなるとプロとしてはなかなか無責任に「楽しいですよ、おもしろいですよ、簡単ですよ」とは言いづらくなってきますね。
難儀な話です。
投稿情報: Ryu | 2008/08/01 07:14