数日前のエントリーでも紹介した『レイラインハンター』の見本誌があがってきた。
編集サイドでは、WEBサイトと同じ『レイラインハンティング』というタイトルを薦めていたが、ぼくは、あえて人間にこだわって、 このタイトルを推した。
人間にこだわるといっても、自分を主人公として自己主張をしたかったわけではない。この本を手にとってくれた人が、 ぼくが辿ってきたレイラインを巡る旅を想像して、そこに、古代から受け継がれてきた自然と共生するための叡智としてのレイラインを実感し、 自分でも実際に「レイラインハンター」として現地に赴いて、その場の雰囲気=地霊を実感する気になってもらいたいと考えたからだ。
長い間、自分がレイラインを辿る旅を続けてきて、いつも思うのは、レイラインを構成する「聖地」に、特定の日、 特定の瞬間に身を置いて、そこでその瞬間にしか出会えない光景と向き合う感動を多くの人に味わってもらいたいということだ。
春分秋分、夏至、冬至といった一年の節目の日、レイライン上に位置する「聖地」は、この日の朝日を迎え入れたり、 夕日を拝するための装置として機能する。
太平洋の水平線を割って登った朝日が、東を向いた参道を真っ直ぐ伝って神社へと導かれ、一の鳥居の影が二の鳥居の下を潜って、 次なる聖地を指し示す。夏至の朝日が夫婦岩の間から登り、その光が岸辺の猿田彦を祀る神社を貫き、 さらにアマテラスを祀る神社へと導かれて行く。冬至の朝日を長大な参道から迎え入れる神社や、 鳥居の真ん中に沈む冬至の夕日に向かって祈りを捧げる神社もある。
そんな瞬間にその場に居合わせたとき、目の前で展開される光景にただただ息を飲み、そして、 自分がこの自然の営みによって生かされていることを思い知る。
そんな光景を見せる聖地を「暦」だとする人もいる。たしかに暦としての機能も兼ねてはいるが、GPSを携えてその場に位置して、 太陽が指し示す方向の遥か彼方に、さらに多くの聖地が並んでいることを確認すれば、単なる暦などではないことがわかる。
それは、一年のある特定の日のある瞬間の太陽によって活性化する聖地のネットワークだ。
そのネットワークがどんな機能を担っているのかはわからない。でも、その日、その瞬間に、その場に居て、 自分自身が荘厳な光景の中に含まれれば、自分が大自然の一部であることをはっきりと感じ取ることができる。
さらに、こんな装置=システムを築いた昔の人達は、ぼくたちが今漠然と感じる自然との一体感といったようなものだけでなく、 もっと根源的にイマジネーションを喚起する「何か」をこの瞬間に感じていたのだろうと思える。
古代人たちが感じた「何か」が何であるのか想像もつかないのは残念だけれど、 そうした淡いというかフラジャイルなものの存在を感じられることで、まだ自分の中にも古代人と同じセンサーが眠っていることに気づかされる。 それはとても貴重な体験だ。
ぼくがこの本で(WEBサイトでも)伝えたいのは、レイラインや聖地の情報ではなく、その場に行って体感することの重要性だ。
膨大な情報が溢れ、様々なことがバーチャルに体感できる今でも……いや、そんな今だからこそ、体を運んで、 全身で感じることの大切さを実感してもらえたらと思う。
>ゆめさん
『アウトドア百科』までご購読いただき、ありがとうございます。
こちらのほうは、装備などが10年以上経ってだいぶ古い話になってしまいましたので、また新たに改訂しようかと思っています。
この一週間ばかり、気になるスポット巡りをしています。
今週も、後半はまた円空縁の場所を訪ねようと思っています。
投稿情報: uchida | 2010/10/04 18:47
『レイラインハンター』の言葉の意味わかりましたよ〜。
GPSとデジタルマップとバイクを駆使して地霊を探訪される・・・。
レイハンターより、やはりレイラインハンターがぴったりです♪
今のように物が溢れていない時代、自然や神々を敬い暮らしていた人々の直感力はとても優れておられたのだなぁ〜と思いました。
まだまだ読み始めたばかりですが暫くは楽しい時間に埋もれていられそうです。
『アウトドア百科』も読ませていただきました。
イラストや写真が綺麗で解説も非情に分かり易く、登山経験の無い私にも楽しい世界でした。
投稿情報: ゆめ | 2010/09/27 21:59
>Kさん
こちらこそたいへんご無沙汰しております。
能登のことなど、いろいろいお話したのもずいぶん前のことですね。
本書でも、能登の話をだいぶ書いてますので、ぜひお読みになってください!
今年はまたレイラインハンティングを本格再開しますので、どこかでご一緒いたしましょう!
投稿情報: Dcl_issey | 2010/04/21 10:21
大変ご無沙汰しております。
金沢のKです。
本当に久しぶりにHPを開いたらこの朗報。
とうとう1冊の本にまとまったのですね。
おめでとうございます。
必ず本を求めます。
投稿情報: 花がたみ | 2010/04/20 16:09
NZは、マオリが移民してきてからたかだか1000年、ヨーロッパ人が入ってからは170年ほどの若い島で、古代建造物とかもありませんから、レイラインはどうですかねぇ?
それでも古いマオリ居住地なんかは、レイラインで繋がるんですかねぇ???
まだ誰もやってませんよ、きっと。
ぜひともやってください。
投稿情報: Ryu | 2010/04/19 04:12
>chigusaさん
ありがとうございます!!
その件で、ちょうどご連絡しようと思ってました(笑)
投稿情報: uchida | 2010/04/15 19:46
おめでとうございます!すごくうれしいです。
出版記念トークライブぜひお願いします(^^)
投稿情報: chigusa | 2010/04/15 19:41
>Ryuさん
ありがとうございます。
もう10年も経ちますか……GPS持参でNZにも行かなければいけませんね、今年こそ!!
投稿情報: uchida | 2010/04/15 09:13
おめでとうございます。
長年の研究成果がこうやって結実するのって、ホント素晴らしいですね。
10年近く前にuchidaさんの事務所で初めてレイラインを見せていただいたときの驚愕と感動を思い出しました。
投稿情報: Ryu | 2010/04/15 04:24