昨日、つくばにある農村工学研究所を訪ねた。
以前、国交省所管の防災関連施設のコンテンツを手掛けたときのチームで、日本の自然にマッチした農村景観を3DCGで残し、研究用、 学習用に活用するプロジェクトに参画していて、その打ち合わせだった。
農村工学研究所農村環境部が導入した3Dドームビジョンに、テスト撮影された棚田風景や、 モーターパラグライダーによる空撮の第一人者矢野健夫氏による農村風景は、まだ微調整が必要な仕上がりとはいいながら、 前方270度の空間が3D映像で埋め尽くされて、その空間の中に放り込まれたような臨場感がある。
もう10年以上前、ゲームメーカーで同じような3DCG仮想空間の実験をしたことがあるけれど、あの頃と比べて、 遙かに大規模でありながら、HDの精細な画面に加えて動きはスムーズで、しかも低コストで実現できることに驚かされる。さらに、 この3D映像をCGと合成したり、そのデータを離れた同種のシステムに転送して、別なコンテンツと同期して再生したりと、 これは大きな可能性を秘めている。
レンダリング能力の限界や転送速度の限界で、リッチコンテンツを諦めざるを得なかった時代がまるで嘘のようだ。
このシステムに映しだされる農村景観は、ドームの中でこれを見る=3D空間を体験する人の気分や意識にどんな影響を及ぼすのか、 景観の「心地良さ」や「安心感」のポイントはどこにあるのか……そんな研究に利用されるとともに、 古来の日本の農村風景や海外のサステイナブルな農村風景、さらには里山で育まれる命の循環などのコンテンツが、自由に体験できるようになる。
ぼくは、ちょうど四国のGofieldやニュージーランド在住の友人リュウ・タカハシ氏とともに、「地球をもっと感じる・ e4プロジェクト」を発足させたばかりだが、このシステムは、自然とリアルに接する体験を補完したり、あるいは、 ミクロからマクロへ自由自在に視点移動が可能な「スーパーリアル」な体感からより深く自然を理解するためにとても有用なシステムとして、 e4とのジョイントもしていければと思っている。
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