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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
vol.177
2019年11月7日号
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◆今回の内容
○ストーンサークルの秘密
・ストーンサークルと聖山と太陽
・ストーンサークルと神社
・ストーンサークルは通信装置?
・
◯お知らせ
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ストーンサークルの秘密
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ストーンサークルといえば、イギリスのストーンヘンジを思い浮かべますが、日本にもたくさんあることはあまり知られていません。とくに関東甲信から東北、北海道にかけては数多くのストーンサークル(日本では「環状列石」という呼び方が一般的ですが、本稿では世界共通のストーンサークルを使います)が存在します。
それらは、いずれも縄文時代の祭祀遺跡と考えられていて、二至二分の太陽の出没に合わせて正確に石が配置されていることから、縄文人が高度な測量技術を持っていたことがわかります。さらに、それらの規模の大きさから、高度な土木技術も合わせ持っていました。
ちなみに、日本の西のほうにはストーンサークルがほとんど見られませんが、これは弥生人やその後の渡来人が縄文時代の祭祀遺跡の上に新たな祭祀場を作り、その時にストーンサークルが破壊されたものだろうと考えられています。関東以北は、かなり後の時代まで縄文的な文化が生き残り、また自然が色濃く、都市化があまり進まなかったために多くが現存したのでしょう。
ストーンサークルは、日の出とともに活動を開始し日没とともにねぐらに戻る生活をしていた縄文人たちの身近にあって、日頃からストーンサークルの配石の間を太陽の出没が移動していくのを目にしていたでしょう。季節の節目である二至二分には祭りが行われ、日の移ろいを見やりながら祭りを心待ちにしていた者もいたでしょう。
私も各地でストーンサールに出会ううちに、縄文人たちのように日の移ろいを日常的に感じるために、身近にストーンサークルを置きたいと思うようになりました。といっても、大きなストーンサークルを設置するスペースもないですから、卓上サイズのミニストーンサークルでも作ろうかと考えていました。
最近、そんな構想を商品化するパートナーが見つかり、俄然、具体的な話になってきました。
太陽の出没方位は、緯度によって変わるだけでなく、周囲の地形によっても変わってきます。そこで、居住地における二至二分の太陽の出没方位をシミュレーションし、さらに他の要素も入れて、その人だけのパーソナルなストーンサークルを作れるキットにしようというわけです。
そのサンプルとして、今、私が住んでいる場所のシミュレーションを行いました。すると、ここは、冬至の日没が富士山頂ぴったり重なる場所だったことがわかりました。まさに灯台下暗しの典型です。自宅から富士山までは直線距離で180キロメートル以上あり、間には障害物もあるので、今では富士山を目視することはできません。しかし、縄文時代にこのあたりに住んでいた人たちは、遠くに特徴的な富士山の山影を認め、それが冬至の日没と重なる光景を見ていたことでしょう。そして、ストーンサークルを築いていたかもしれません。
そんなことを知った後では、自分が富士山をランドマークとするストーンサークルがあった場所に住んだことで、太古の土地の記憶に触れたのかもしれないとも思えてきます。だから、ストーンサークル熱が再燃するとともに、具体的な計画に結びついてきたのではないかと。来月の冬至には、自宅上空にドローンを飛ばして富士山への日没を確認しようとも思っています。
ということで、今回は、ストーンサークルに焦点を当ててみることにしました。
●ストーンサークルと聖山と太陽
私の自宅が冬至の日没と富士山が重なる位置にあるように、ほとんどのストーンサークルは、その地方でもっとも特徴的な山岳と二至二分の太陽の出没が重なる場所に置かれています。
地図上に私の自宅と富士山を結ぶラインを引くと、それは東京の多摩丘陵を横切ります。そこには、立川市の向郷遺跡、日野市の七ツ塚遺跡、八王子の捫田遺跡といったいずれもストーンサークルを擁する縄文遺跡が並んでいます。これらの遺跡からは、富士山が目視でき、いずれもその方向を意識した構造になっています。富士山の噴火史を辿ると、縄文時代後期に爆発的噴火を繰り返していましたから、これらの場所にストーンサークルを設置した縄文人たちは、当然、富士山を畏敬スべき聖山として意識したでしょう。噴煙を上げる富士山とその山頂に冬至の太陽が重なったときは、当然、盛大な祭祀が執り行われたでしょう(七ツ塚遺跡からのシミュレーションは、聖地学講座第177回「ストーンサークルと太陽信仰」図版資料=https://obtweb.typepad.jp/obt/2019/11/holy177data.html 図01-03参照)。
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