「うちの田舎には何にもない」という人がよくいる。「めぼしい観光資源もなく、産業もない」と。
だけど、そこに人が住んでいれば、あるいはかつて住んでいたなら、そこには必ずそこ独自の「聖地」がある。
「聖地」は、その土地の性質を端的に表す場所であり、土地と共生してきた人にとっての心の拠り所だったからだ。
土地が荒み、人の心が荒れていけば、真っ先に聖地が廃れていく。
日本人の精神性がどうのとか、聖地が神が宿る聖なる場所だから大切にしなければならないなどといった精神主義やスピリチュアリズムなどとは関係なく、「聖地」はその土地の象徴だからこそ、ここが廃れれば、土地全体、その土地に住む人の心も虚しくなっていく。
ぼくが「聖地観光」あるいは「聖地工学」として取り組んでいるのは、各地の聖地を精査することで、そこにどんな歴史があって、古の人たちがどんな思いを伝えてきたのかを知ることによって、聖地に今一度輝きを取り戻し、その灯火から地域全体を輝かせる光を灯したいからだ。
それは、けして日本に限ったことではなく、世界中にそんなムーブメントを広げていきたいと思っている。
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