2012年7月から配信を開始した『聖地学講座』もちょうど4年目。まもなく100号を迎えます。
これまでのバックナンバー95号の内容紹介です。
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『レイラインハンター内田一成の聖地学講座』
http://www.mag2.com/m/0001549333.html
◆◆聖地学講座バックナンバー紹介◆◆
【聖地学講座第1回】
聖地とはいったい何でしょうか?
世界には様々な聖地があり、それぞれ独自の成り立ちと人との関わりがあります。
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1 聖地とは何か
・特定の自然条件において成立した聖地
・人為的条件によって成立した聖地
2 コラム
・「風水とレイライン」
3 お知らせ
・『祈りの風景』まもなく刊行
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【聖地学講座第2回】
聖地には独特の雰囲気が漂っています。
古代ローマの兵士が感じたゲニウス・ロキ(地霊)から、日本の聖地に漂う雰囲気の源泉を考察します。
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1 聖地に漂う「雰囲気」
・ゲニウス・ロキと第一行
・女神の聖地・花の窟
・女神の聖地・斎場御嶽と久高島
・熊野と琉球との繋がり
2 コラム
・シンクロニシティ
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【聖地学講座第3回】
人はいったいいつから聖地を意識し始めたのでしょうか?
洞窟壁画の時代から巨石文化時代さらに近代までを概観し、人がどのように地霊(ゲニウス・ロキ)をとらえ、それとどう関わってきたのかを考察します。
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1 聖地の歴史
・化石人類から円空へと続くゲニウス・ロキの表象
・自然聖地としての洞窟から人工聖地の巨石文化へ
2 コラム
・聖地を活かした町興し
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【聖地学講座第4回】
人がイメージすることが現実に起こると考える「魔術的志向」、それは果たして迷信なのでしょうか?
複雑系を元にしたフラクタル理論などは、些細な起動因が大きな波及効果を及ぼす現象があることを物語っています。
「魔術的志向」を現代的に解釈すると展開してくる世界、さらに、シャーマンの資質と感性について考察します。
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1 聖地とシャーマン
・魔術的思考と先端科学
・聖地を感じるシャーマンの資質
2 コラム
・金峯山寺友の会
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【聖地学講座第5回】
聖地と関わりが深く、魔術的志向を操るシャーマン。
シャーマンは聖地や精神世界を司り、人を変性意識(アルタードステイツ)へと導くエキスパートです。
ネイティヴアメリカン、アボリジニ、日本のシャーマンの例から、シャーマニズムの本質や効果について紹介します。
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1 聖地とシャーマン その2
2 コラム 空飛ぶうつろ舟
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【聖地学講座第6回】
聖地とシャーマンの関係を掘り下げる三回目は、奈良時代に「土地鎮め」のエキスパートとして活躍した泰澄に焦点を当てます。
さらに泰澄から連なる歴代のシャーマンの系譜を追ってみました。
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1 聖地とシャーマン その3
「泰澄とその系譜」
・「土地鎮め」の痕跡
・十一面観音と神仏習合
・泰澄の系譜
2 コラム 夏風邪をひきました
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【聖地学講座第7回】
地質調査を仕事とする人は、昔から活断層上に神社仏閣が並んでいることに気づいていました。
そんな話を糸口に、活断層や地磁気の異常などが人間に影響を及ぼし聖地の成立に繋がるエピソードを紹介します。
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1 磁場、活断層と聖地
・活断層に沿って並ぶ温泉
・磁気異常
2 コラム
・駒ヶ根の火祭り
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【聖地学講座第8回】
この講座の第2回では、この世とあの世を結ぶ場所として、花の岩屋に代表されるような地下世界(黄泉の国)とへ向かう道を紹介しました。今回は反対に天に繋がる道を考えます。
太古から神(天)と人とを結ぶ「装置」として「柱」が建てられてきました。柱に託された人々のイメージとは何だったのか、今に残る「柱」の意匠に込められた意味を探ります。
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1 この世とあの世を結ぶ場所「柱に秘められた意味」
・巨岩と黄泉の国
・標山と神社
・柱を中心にした儀式
・柱から見た天津神と国津神の違い
2 コラム
・死が身近にある?
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【聖地学講座第9回】
古代メソポタミアのギルガメッシュ叙事詩と日本神話を比べてみると、そこには多くの共通する冥界のイメージが現れてきます。
とくに、冥界の使者としての「蛇」の役割はとてもよく似ており、さらに蛇を祀る聖地の共通性も立ち現れてきます。
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1 この世とあの世を結ぶ場所 2
「蛇の信仰」
・ギルガメシュ叙事詩に現れる冥界への入り口
・あの世とこの世を結ぶ「蛇」
・蛇を祀る聖地
2 コラム
・ダウジングで発見された温泉
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【聖地学講座第10回】
「この世とあの世を結ぶ場所」というテーマで考察してきた第三回は、私が体験した冥界との遭遇とも言えるような夢の話をご紹介します。
さらに、それを元に、日本人の死生観である「山中他界」や「三途の川」ののイメージの源泉を考察しています。
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1 この世とあの世を結ぶ場所 3 「身近にある冥界への入口」
・祖母の夢
・日本人の死生観
・異界へと通じる寺社
2 コラム
・「神道とイスラム--偶像崇拝否定の二つの方向」
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【聖地学講座第11回】
大化の改新の立役者である中臣鎌足は鹿島神宮の神官に連なると伝えられながら、なぜ地元ではあまり語られないのか?
そんな疑問から出発して、大きな政治変動があった飛鳥から奈良の時代を考察すると、日本神話に秘められた意図が見えてきます。
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1 伊勢神宮・天照大御神とは何か
・天照大御神は祟り神
・天照大御神は持統天皇?
・藤原=中臣の素性
2 コラム
・百聞は一見にしかず
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【聖地学講座第12回】
一般に、クリスマスはイエス・キリストの誕生日とされていますが、実際はキリストはクリスマスの生まれではありません。
それはバチカンも認める事実であるのに、なぜそういう勘違いが起こったのか。
本来のクリスマス=冬至祭に秘められたものを西欧だけでなく日本の例も挙げながら考察します。
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1 冬至と太陽信仰
・キリストは本当にクリスマスに生まれたのか?
・ユール(北欧の冬至祭)に見られる太陽信仰
・朔旦冬至と星供(星まつり)
2 コラム
・まもなく人類は滅ぶ? マヤ暦について
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【聖地学講座第13回】
2013年のスタート号である今号では、今年の私の聖地探訪の予定やテーマを紹介します。
さらに、アメリカの人気テレビシリーズ『LOST』は、南海の謎の島=聖地を舞台に様々な現象が起こりますが、これを例に、聖地の特性について考えます。
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1 2013年のテーマなど
・チベット仏教の聖地ラダックへ
・明日香に呼ばれる
・TVシリーズ『LOST』の聖地
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【聖地学講座第14回】
聖地を探索するレイラインハンティングの旅をしていると、しばしば「聖地に呼ばれる」としか形容しようのない体験をします。
そんな私の体験から、ミルチャ・エリアーデが解いた『聖なる空間と時間』の概念や土地と人との照応(コレスポンデンス)について考えます。
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1 聖地に呼ばれるために
・聖なる空間の発見
・啓示
・人体と大地の照応
2 コラム
・縄文クラブ
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【聖地学講座第15回】
これまでとは少々趣を変えて、私が実際に行なっている「レイラインハンティング」という聖地探索の方法論を解説します。
前編の今回は、文献資料、デジタルマップ、測量計算プログラムなどを使ったシミュレーション方法の紹介です。
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1 聖地の見つけ方 その1
・聖地を見つけるためのツール
・シミュレーション
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【聖地学講座第16回】
前回のシミュレーション編に続き、今回は実践編です。
明日香の調査をモデルに、GPSの使用法、さらに調査をフィードバックして検証する方法を紹介します。
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1 聖地の見つけ方 その2 「明日香フィールドワーク」
・王家の谷
・石舞台と酒船石
・明日香・吉野レイライン
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【聖地学講座第17回】
毎年3月2日に行われる「若狭・お水送り」の儀式に参加して今年で8年目。
奈良東大寺へ聖なる水「ご香水」を送るこの不思議な祭りの秘められた意味を紹介します。
さらに、若狭に伝わる「不老不死伝説」にまつわる人物、泰澄、空海、徐福、八百比丘尼やポイントを解説します。
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1 若狭お水送りと不老不死伝説再考
・お水送りという儀式
・お水送り・お水取りにまつわる人物
2 コラム
・神無月は醸成月
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【聖地学講座第18回】
伊豆半島には、独自の神話体系があります。
それは、南海の島嶼がフィリピン海プレートに乗ってやってきて日本列島にぶつかる地球物理的な壮大な歴史に始まり、火山信仰、海から神が上陸してくる来宮信仰、そして奈良時代に確立された修験の伊豆山信仰の三つが織りなしています。
伊豆半島に取材し、個性的な神々を巡ったレポートです。
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1 伊豆東海岸フィールドワーク その1
・伊豆の国焼神話
・地質学的側面
・八幡宮来宮神社
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【聖地学講座第19回】
伊豆半島でのフィールドワークの二回目。来宮信仰と三島信仰が意味するもの、現代でも生み出され続けている神話などについてご紹介します。
またコラムでは、鎌倉に典型的な結界を紹介します。
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1 伊豆東海岸フィールドワーク その2
・河津来宮神社
・下田白濱神社
2 コラム
・鎌倉フィールドワーク
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【聖地学講座第20回】
前回コラムで紹介した鎌倉の結界の詳細です。
鶴岡八幡宮を中心とした鎌倉結界の構造とその意図。
さらに、明治政府が創建した鎌倉宮が北条氏の結界を破るように設けられた意図などを解説します。
コラムでは、柳田国男も触れている加賀の殿様の秘密ルートを紹介しました。
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1 鎌倉の結界
・鶴岡八幡宮
・鎌倉守護の御霊
・鎌倉宮創建の意図
2 コラム
・加賀様の隠し路
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【聖地学講座第21回】
シャンバラ、エルドラド、桃源郷……人間は古来から不老不死で幸せに生きられるこの世の楽園にあこがれてきました。それらは現実にあるものではなく、心の中に構築するものだという信仰があります。
そうした心の中のシャンバラへ至る道を開拓しようとしたパイオニアであるミルチャ・エリアーデや鈴木大拙の思想を解説します。
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1 心の中の「シャンバラ=聖地」へと至る道
・シャンバラ幻想
・ホーニヒベルガー博士の秘密
・禅の境地
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【聖地学講座第22回】
現代は、地球全体をくまなく監視する衛星が宇宙を飛び交い、Googleの全方位記録車両が世界中の路地を隈なく巡って、ネットに繋がったPCさえあれば、世界中のどんな秘境でもマウスをちょこちょこっと動かすだけで、そのディテールを眺めることができます。何でもかんでも手軽にあからさまになってしまい、夢の乏しい世界になったような気がしてしまいますが、そんなハイテクが世界を網羅する時代になっても、じつはまだまだ新たな聖地が発見されています。
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1 ユーラシアの未知なる聖地
・遊牧騎馬民族の舞台
・ステップルートの遺跡群
・世界最初の文明が生まれた場所
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【聖地学講座第23回】
奈良時代、伊豆半島の海岸線を辿って一周し富士山へと至る「伊豆辺路(いずへじ)」という修験ルートが開拓されました。
これは、伊豆山神社を両界曼荼羅の入り口として、富士山をその出口に見立て、この辺路を辿ることで生まれ変わるとされていました。多くの修験者たち(言い伝えではその中には空海も含まれています)が辿ったこの路は今では廃れてしまいましたが、伊豆に残る聖地の構造から、それを再現しようという試みです。
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1 伊豆半島の聖地
・伊豆山と富士山を結ぶもの
・来宮=木宮=紀宮
・伊豆の太陽信仰
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【聖地学講座第24回】
太陽信仰はもっとも古い信仰形態です。冬至は太陽が再生する日として、一年の終わりもしくは始まりとして位置づけられ、太陽再生の祭りが行われました。クリスマスもそうした太古の冬至祭がキリスト教に取り入れられたものです。
一方、太陽信仰おける夏至は、太陽の力がもっとも強まり豊穣の象徴として祈りが捧げられました。そんな夏至祭りに関して、レイラインと絡めて解説します。
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1 夏至のレイライン
・ヨーロッパの夏至祭
・日本の夏至ライン
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【聖地学講座第25回】
火山信仰もまた太陽信仰同様に非常に古い信仰の歴史があります。
近年、世界的に火山活動が活発化してきて、過去の火山活動なども注目されるようになってきましたが、太古からの火山信仰を見直すことによって、今まで知られていなかった火山災害や、それが神話に与えた影響などが見えてきます。
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1 火山を崇める聖地
・火山信仰と石
・火山を仰ぐ神社や地蔵
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【聖地学講座第26回】
都市計画のグランドデザインに風水が使われていることは有名ですが、鉄道の敷設や街道の整備では、レイラインを基準として設計されているものがたくさんあります。
今回はとくに鉄道事業に焦点を絞り、小田急、東武、伊豆急といった鉄道路線が意識するレイラインを紹介するとともに、これらの鉄道事業に関わった人間の思惑にも触れています。
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1 鉄道とレイライン
・白濱神社に守護される伊豆急
・小田急直線路
・日光と江戸を結ぶ龍脈に沿った東武鉄道
・五島、利光、根津を結びつけた「大東急」
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【聖地学講座第27回】
ふだん、私はデジタルデバイスを活用して聖地調査を行っていますが、しばしばデバイスの反応より先に体感が異常を察知するようなことがあります。また、ある聖地とほかの聖地との関係が、ふいに直観として浮かぶようなこともあります。
客観的なデータを元にしながらも、やはり現場で体感することの重要性をいつも感じています。そして、そんなときに人間が持つ秘められた可能性を実感するのです。
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1 人間の可能性について
・ロジックを越えた何か
・体感の重要性
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【聖地学講座第28回】
西洋の「錬金術」に対して東洋の「煉丹術」。丹は水銀のことであり、水銀をフィフスエレメントとして用いて不老不死の妙薬を調合できると考えたのでした。また水銀は金を精錬するのにも重要で、多くの「山師」たちが水銀を求めて深山に分け入っていきました。
空海もそんな水銀鉱脈を探す者の一人であり、最終的に高野山という大水銀産地を手中にしたのでした。
今回は、そんな水銀と水銀のありかを指し示す聖地について紹介します。
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1 水銀と聖地
・水銀の意味
・水銀と聖地
・不老不死への執着
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【聖地学講座第29回】
谷間の道を行く途中に褶曲した地層を見つけて、「これを古代の人たちなら、魔物が通り過ぎた跡だと見ただろうな」と思
い、近づいてみると、そこには古い祠が意味ありげに佇んでいます。たまたま通りかかった老人にその祠のことを聞くと、役行者が魔物を封じ込めたという言い伝えを教えてくれました。さらにそこは縄文時代の祭祀遺跡もあった場所で、子供の頃によく土器拾いをしたものだと。
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旅の途上から
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【聖地学講座第30回】
「聖地」と一口に言っても、そこに秘められた土地の雰囲気も歴史も様々です。また、聖地と人との関わり方という点でも、異なるでしょう。
聖地はそもそも「心地いい」場所なのでしょうか? いえ、そんなことはありません。峻厳と人を拒絶するような場所もあれば、沈鬱な空気が漂うような場所もあります。
そんな聖地毎にどうして性質が異なるのか? 聖地の多面性を紐解きながら解説します。
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1 聖地の多面性
・聖地は「心地良い」場所なのか?
・聖地の多面性
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【聖地学講座第31回】
日本の「二大聖地」などとも称される神宮(伊勢神宮)と出雲大社。日本神話に記された逸話からは見えてこない両社に秘められた歴史と意味が、方位に着目することで立ち現れてきます。
神宮が意識した天孫降臨神話を再現する配置や持統天皇を「現人神化」するためのシステム、出雲大社の祭神大国主命が「あの世」の方向である西を向けられている理由……秘められた日本の姿がそこにあります。
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1 伊勢神宮と出雲大社の方位観
・出雲大社の遷宮
・古代の俯瞰的な視点
・伊勢神宮の方位観
・出雲大社の方位観
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【聖地学講座第32回】
「遍路」は、本来は「辺路」と表記され「ヘジ」と読まれていました。熊野古道には「大辺路」「小辺路」「中辺路」というルートがありますが、これが本来の用い方でした。辺路は「海辺に沿った道」を意味します。修験の行者が定められた起点を出発して、入り組んだ海岸線を辿りながら、ときには岩に波が刻んだ洞窟に篭って経を唱えて修行を重ね、最終目的地の聖地に達したあかつきに悟りを開くとされた修行路のことでした。時を経るうちに、海岸線を辿るルートだけでなく、修験者が修行をしながら辿る道のことを辺路と呼ぶようになりました。
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1 遍路・巡礼の意味
・遍路とは
・四国遍路とその他の巡礼路
・伊豆辺路の再発見
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【聖地学講座第33回】
鎌倉の観光コースでは定番中の定番ともいえる大仏は、誰がいつ造立したのかが不明なのです。今では吹きさらしの露仏となっていますが、かつては大仏殿に安置されていたことは記録に残っています。台風と思われる「大風」に煽られて大仏殿が倒壊し、再建されるもまた大風で倒壊、さらには津波が押し寄せて、大仏そのものが土台からズレたという記録も残っています。ところが、肝心の造立にまつわる情報は残されていないのです。
今回は、そんな鎌倉大仏のミステリーに迫ります。
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1 鎌倉大仏の謎
・鶴岡八幡宮と鎌倉大仏
・大仏造立の意図
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【聖地学講座第34回】
伊豆山の由来を記した 『走湯山縁起』には、伊豆山と富士山が、それぞれ両界曼荼羅の入口と出口に当たるという記述もあって、伊豆山と富士山との関係が深いことを物語っています。両者の位置関係をみると、ただ単に本殿が富士山を背にしているだけでなく、富士山と伊豆山神社本殿を結ぶ線上に、伊豆山神社の旧地である本宮神社も位置していて、明らかに有意であることがわかります。
伊豆の聖地の成り立ちは、これまで何度か紹介しましたが、今回は「伊豆辺路」の修行路に沿って並ぶ個々の聖地について解説します。
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1 東伊豆聖地巡り
・東伊豆のレイラインポイント
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【聖地学講座第35回】
古代日本の宗教界におけるスーパースターともいえる役小角。その役小角から始まる系譜には、「土地読み」ともいえる才能を持った宗教者が連なります。土地読みの宗教者とは? 役小角とはそもそも何者だったのか? 伊豆における役小角の足跡をたどりながら、様々に考察します。
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1 伊豆の役小角
・土地読みの系譜
・伊豆の役小角
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【聖地学講座第36回】
道教では、天上の神々が住まう正殿を紫宮と呼び、その南には朱宮があると考えます。紫宮に住まう神々は、南面して朱宮を見ています。朱宮はじつは死の世界にある宮殿で、黄泉がえりの場所です。天上の神々は不老不死であり、死んで朱宮に行くことはありません。これは常に紫宮に座しています。これは南北に並ぶ聖地が権威を象徴する裏付けです。一方、東西に並ぶ聖地は神に対して、人間の生と死の円環を表しています。
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1 聖なる方位
・アポロン軸とディオニュソス軸
・南北軸と東西軸の本来の意味
・蘇りの土地「熊野」
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【聖地学講座第37回】
「草木国土悉皆成仏」は、この世にあるすべての自然造物は有情であり、それぞれの意思を持っていると考えます。だから、何ものをも食してはいけないとしては、もちろん飢えて、人類は滅びてしまいます。そういう短絡思想に陥るのではなく、有情のものをいただくのだから、最大限の感謝の気持ちを持たなければいけない。さらに、山や川のような地形も有情であるのだから、これを無闇に改変すると自然界のバランスが崩れて災いが降りかかる。どうしても改変が必要な場合は、最小限に止めるべきであり、また、その改変によって崩れたバランスを取り戻すために、あらゆる配慮を払わなければならないとするのです。
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1 新年の抱負
・草木国土悉皆成
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【聖地学講座第38回】
白馬村の北部を斜めに横切る形で三体の地蔵が置かれています。一つは白馬岳の東にある小蓮華山の頂上に、もう一つはその麓の落倉集落に、そして三体目は白馬村と長野市鬼無里の境である柄山峠に安置されています。
この三体の地蔵は「風切地蔵」と呼ばれ、昔から地元の人達の間で、北から災害や疫病が侵入してくるのを防いでいると言い伝えられてきました。この三体の地蔵を結ぶと、きれいな直線になりますが、この直線は冬至の日の出と夏至の入り日を結ぶラインに一致します。
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1 風切地蔵から秦氏へ
・風切地蔵と神道天行居
・ユダヤと秦氏
・徐福伝説と秦氏
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【聖地学講座第39回】
日本には数多くの神社があります。中世に編纂された延喜式に記されている「式内社」に数えられているのが2861神社3132座、地方独自のかつて村社や郷社といわれたようなものまで入れると、その数は10万とも20万ともいわれています。そんな神社の中で、もっとも数が多いのが稲荷で、その数は3万5千社余りといわれています。
この稲荷を祀る一族「秦氏」をその信仰から渡来民としてのルーツを考察します。
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1 秦氏の痕跡
・稲荷の意味
・八幡宮
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【聖地学講座第40回】
世界を見渡すと、古代に生まれた文明が微かな痕跡を残すだけで消え去ってしまった例はたくさんあります。砂に呑み込まれて跡形もなくなったメソポタミア、同じく砂漠に埋もれた古代エジプト、密林に呑み込まれたアンコールワットや南米のオルメカやインカ、マヤ…それらと比較すると、日本の古代の遺跡が原型をとどめるばかりか、1000年前の寺社がいまだに繁栄し、人に安らぎを与え、貴重な思想を伝えているのは、稀有なことといえます。
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1 大雪にまつわる徒然
・現代文明への警告?
・大室山「五智如来地蔵の謎」
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【聖地学講座第41回】
水が穢れを洗い流すという考え方は、世界中にあります。キリスト教の洗礼も聖水で清める儀式がもっとも重要なものですし、ヒンドゥー教の聖地は聖なる川ガンジスの畔にあって、信者たちはガンジスの水で体を洗い清めてから聖地の内奥に足を踏み入れます。また、聖地から湧き出す水に不老長寿や癒しの効果があるとされる信仰も至るところにあります。環境省が音頭をとって「名水百選」を選出し、その百選はもとより各地の湧水を有難がって人が列を成す日本の光景も、水に秘められた特別な力を意識していることを物語っています。
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1 水と聖地
・十一面観音
・水の力と聖地
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【聖地学講座第42回】
奥出雲では古くから「たたら製鉄」が行われてきました。露天で行われるたたらの火が、山の中に点々と灯り、里の人たちはこれを八岐大蛇の目が輝く様子として恐れていました。製鉄民は古来から地下資源のある場所を見つけるスペシャリストであり、そのありかを示す場所や、他のものが入り込まないように張り巡らす結界のポイントを彼ら独自の聖地としてきました。
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1 奥出雲に見る聖地のネットワーク
・奥出雲の神話
・奥出雲の神社ネットワーク
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【聖地学講座第43回】
想像を絶する広がりを持つタクラマカンの砂の海と、初めて向きあった時、私は、何故か深い郷愁を感じました。ちょうど久保田早紀の『異邦人』という曲が一世を風靡している頃で、ウォークマンに入れたこの曲を聴きながら一面の砂の世界を眺めていると、自分がかつてこの砂漠の中のオアシスに暮らし、月夜の晩にはラクダのキャラバンの一員となって砂丘を越えていたイメージが、デジャヴュのように湧き上がってきます。そして、懐かしい故国に帰り着いたような、深い安心感に包まれるのです。
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1 砂漠の文明
・タクラマカン砂漠
・母文明の記憶
・徐福の出自
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【聖地学講座第44回】
徐福の故国だった斉には、海上神仙思想がありました。これは不老不死の妙薬を作り出すための技術とされた煉丹術の担い手だった方士(煉丹術師=呪術師)に取り入れられ、海の彼方に蓬莱、方丈、瀛洲という三つの神仙郷があり、そこには不老不死を獲得した仙人が住むという具体的な話になっていきます。さらに、その神仙郷に渡れば、仙人から不老不死の妙薬を譲り受けることができると喧伝されるようになります。
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1 徐福伝説再考
・徐福の出自再考
・徐福の足跡と日本神話の関連
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【聖地学講座第45回】
先に、若狭の「お水送り」と奈良東大寺の「お水取り」という二つの火祭の様式を整備したのが、ペルシアからの渡来僧であり、ゾロアスター教の神官だったと思われる実忠だと紹介しましたが、サーサーン朝崩壊後のゾロアスター教徒の足取りは、まさに実忠に重なります。
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1 出会いやら計画やら
・パーシー族
・上田の土地起こし
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【聖地学講座第46回】
日本に限らず、世界中に蛇にまつわる神話や信仰はたくさんあります。アステカでは、ケツァルコアトルという羽毛を持つ蛇が農耕神として祀られ、マヤでもククルカンと呼ばれ、最高神の一つとされていました。メキシコ中部のチチェン・イッツァのピラミッドでは、春分と秋分の日に太陽の光がククルカンの姿を浮かび上がらせ、春分には種まきの時期を、秋分には収穫の時期を知らせます。
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1 蛇信仰と聖地
・蛇信仰の意味
・神事に秘められた蛇信仰
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【聖地学講座第47回】
聖地と関わりが深く、特別な能力を持っていた人物として、まず私が思い浮かべるのは白山を開山した泰澄です。レイラインハンティングのサイトでも取り上げていますが、泰澄は地下に眠る魔物を調伏する呪術を行ったことで有名です。そして、その場所が活断層に沿っていることが、近年になってわかりました。
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1 聖地を見分ける能力の源
・聖者と命の危機
・修験道とアルタード・ステーツ
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【聖地学講座第48回】
元々、トポスは「場所」という意味のギリシア語で、数学や論理学の術語と並行して、本来の意味に近い空間的な場所としても使われています。ただし、トポスを「場所」という意味で用いる場合、それは、地理学的な特定の空間というだけではなく、その場所固有の目に見えない性質まで含んでいます。そんなトポスの概念が、聖地を語る際には都合がいいのです。
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1 「場所」の意味
・人と「場所」
・聖地と人間
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【聖地学講座第49回】
奈良盆地に点在する巨大古墳の謎の一つに、古墳が向く方位がまちまちなのが挙げられます。南北、東西、それに夏至や冬至の太陽の運行線を指すというレイラインではポピュラーな法則が当てはまるのはごくわずかで、数百もある古墳の大半は、レイラインや風水の理屈に合わないいい加減な方位を向いているのです。
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1 箸墓と邪馬台国
・箸墓古墳
・邪馬台国
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【聖地学講座第50回】
1970年代初期、奈良市在住の写真家小川光三氏が、ライフワークとする古寺や仏像の撮影をしている最中に、伊勢斎宮
から奈良の中央部を横断して淡路島に至る北緯34度32分の緯度線上に聖地が並ぶことを発見したことをきっかけに、レイラインという概念が聖地研究において用いられるようになりました。
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1 太陽の道の聖地
・太陽の道とは
・室生寺と聖水
・長谷寺と都祁王国
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【聖地学講座第51回】
キリスト教もユダヤ教もイスラム教も、そして仏教や神道も「自然現象に対する畏怖」という同じ根っこから成長したものです。ところが、それぞれの宗教の「神」は違った形のものとなり、今のキリスト教社会とイスラム原理主義との戦いのように、極端に排他的な位相に置かれてしまったりもします。
そんな相克を乗り越え、新たな「神性」を打ち立てようとしたのが、ドイツの宗教哲学者、ルドルフ・オットーでした。
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1 ヌミノーゼと土地
・ヌミノーゼ=神的なるもの
・土地に漂うヌミノーゼ
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【聖地学講座第52回】
8月14日の新聞各社関西版のトップは明日香で見つかったピラミッドの記事が掲載されました。その内容は、明日香の石舞台古墳の近くにある都塚(みやこづか)古墳の発掘調査で、この古墳がピラミッドに似た石積み構造を持っていることがわかったというものです。そして、このピラミッド様古墳に葬られたのが、6世紀から7世紀の大和朝廷で権勢を奮った蘇我氏の礎を築いた蘇我稲目ではないかと推定されています。
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1 徒然の話
・日本のピラミッド
・大阪のレイライン
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【聖地学講座第53回】
広島市宇佐南区で起こった土石流は、100人余りの人の命を奪いました。中でも、八木地区では山の上部から大きな岩がいくつも崩れ落ち、多くの家屋が押しつぶされる惨状となってしまいました。かつて、このあたりは「八木蛇落地悪谷」と呼ばれていて、今回のような土石流がしばしば発生していたというのです。
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1 地名について
・土地の性質を表す地名
・聖地に見られる地名
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【聖地学講座第54回】
大阪朝日放送で、「ビーバップ・ハイヒール」の収録がありました。関西ローカルの深夜番組ですが、もう10年以上も続き、視聴率もかなりいいのだとか。ハイヒールのお二人が司会で、吉本の芸人さんたちと、筒井康隆氏、江川達也氏がメイン出演者で、様々な話題を楽しく掘り下げていくという内容です。今回は、「歴史都市伝説」というタイトルで、明日香の古墳、近畿の五芒星やご来光の道、さらに法隆寺や四天王寺にまつわる話から、京都の寺社にまつわる不思議な話をテーマに、楽しくスタジオで語り合いました。
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1 歴史都市伝説
・法隆寺移築説
・四天王寺の鷹
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【聖地学講座第55回】
1603年、徳川家康は江戸に幕府を開きます。その頃の江戸は太田道灌が江戸開府の150年前に築城した江戸城を中心にして、その周辺に寺社や武士の住まいと練兵場がある程度のこじんまりした規模の街でした。江戸城の東は湿地帯が広がり、その先は海で南北と西側には荒野が広がっていました。京の都から見れば僻遠の地ともいえるこんな場所に家康が幕府を開いたのは、そこが朝廷の力が及びにくい場所であると同時に、かつて朝廷に反旗を翻した平将門が眠る土地だったからでした。
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1 江戸の風水とレイライン
・江戸の風水
・鹿島-富士レイライン
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【聖地学講座第56回】
鬼界カルデラは鹿児島県の南、薩摩半島から約50km南の大隅海峡にある海底カルデラです。北西から南東にかけて約25km、北東から南西にかけて約15kmの楕円形を成し、底部の水深は400-500m、今でもその中で複数の海底火山が活動を続けています。鬼界カルデラは、7300年前の縄文時代早期にこの場所にあったスーパーボルケーノの噴火によって生まれました。このとき、南九州の縄文文明は一瞬にして壊滅し、九州全域から西日本に至る広範囲の地域で、大量の降灰によって人が住めなくなりました。
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1 火山信仰の起源
・御神火
・浅間信仰
・南九州を壊滅させたスーパーボルケーノ
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【聖地学講座第57回】
F.フクヤマの最新刊『政治の起源』では、「人口密集は国家形成の目標(目的因)ではなく、国家形成の媒介要素であり、まだあきらかにされていない要素の産物である」と書いていますが、フクヤマが暗示する「あきらかにされていない要素」の一つには、人々の信仰という要素も含まれています。私たち日本人にとっては、「都市のはじめに信仰ありき」と言ったほうが馴染み深いともいえます。
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1 聖地が都市になる--「聖都」の成り立ち--
・宗教都市
・代表的な聖都
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【聖地学講座第58回】
古代から中世にかけての日本史を紐解くと、朝廷や地方豪族、さらには戦国武将や幕府の影で、彼らの富を支えていた特別な技能集団がいたことに気づきます。たとえば、奥州藤原氏は朝廷に莫大な金を献上し、さらに自ら北東北に「黄金文化」の独立王国を築いていましたが、この栄華を支えたのは「金掘り」と呼ばれる鉱山開発のエキスパートたちでした。
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1 謎の職能集団
金売吉次
金山衆と穴太衆
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【聖地学講座第59回】
旧暦である太陰太陽暦では冬至の日が含まれる月を11月と定めていました。太陽暦では冬至や夏至春分秋分といった季節の区切りの日はズレても一日か二日ですが、旧暦では毎年大きくズレていきます。11月1日が冬至の日に当たる年が朔旦冬至の年ですが、それを出発点として、毎年ズレていき、19年目には11月を外れてしまいます。そこで19年めの冬至の日を11月1日としてカウントし直すのです。朔旦冬至は冬至の中でも特別な日とされるのです。今回は、そんな朔旦冬至を劇的な光景とともに迎えられる場所をいくつか紹介してみたいと思います。
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1 冬至のポイント
伊豆白濱神社
生島足島神社と戸隠奥社
坐摩神社と住吉
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【聖地学講座第60回】
眩い光の中で巫女が舞う姿は、古代から続く巫女と地母神との交歓をありありと感じさせました。さらに、この巫女の祈りは、唯一開いた頭上の空間から天へと突き抜け、その祈りのバイブレーションが宇宙を震わせているのだと感じました。フラも、巫女舞も、さらには能や神楽や、さらに世界中で見られる宗教的な要素を含んだ舞は、それが神あるいはもっと広くておおらかな「スーパーネイチャー」のようなものに捧げられるものとして見ると、舞の中に込められた意味や願いが、理解できるようにな
ってきます。
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1 神との対話--奉納舞--
フラ
巫女舞
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【聖地学講座第61回】
パターン認識には、カオス解析やベイジアンフィルタといった高度なアルゴリズムやシステムがたくさんありますが、その基本的な方法論は意外に単純です。それは、「特徴抽出」、「次元削減」、「事前の知識」、「経験則」という異なるフィルタ
で、データをふるいにかけていくというものです。レイラインハンティングという聖地探索・分析の手法も、やはりこうしたパターン分析に基づいています。
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1 パターン認識
・次元の呪い
・パターン認識の方法論
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【聖地学講座第62回】
水神は、農作物に必要な水をもたらす恵みの神であり、また、ときに川を決壊させて作物も人も飲み込む祟り神でもあります。そうした水神の恵みに感謝し、怒りを鎮めるために祭りが行われます。鞍馬寺で行われるウエサク祭は、龍神の住む池の水を汲み、それに月を映すことで、龍神=魔王尊と月輪=千手観音、月に反射された太陽の光=毘沙門天を一つにする「尊天の三位一体化」が象徴されているわけです。
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1 京都の水神
・龍神を祀る鞍馬寺
・貴船と水神
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【聖地学講座第63回】
三島神という一柱の神の由来が、何故、静岡と愛媛という遠く離れた二カ所に分かれ、一方は火山神であり一方は山の神というまったく異なる性質を示しているのでしょうか。今回は、そんな三島神にまつわるミッシングリンクを埋める推論を展開してみたいと思います。
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1 三島神をめぐるミッシングリンク
大山祗神社
三島鴨神社と伊豆の三島神
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【聖地学講座第64回】
ヤマトタケルはレイライン的な「記号」あるいは「シンボル」の意味もあります。伊吹山の頂上にはヤマトタケルの像がありますがが、この像は、最後にヤマトタケルが目指した伊勢を向いています。WEBサイトに掲載している「近畿の五芒星」の一辺は伊勢と伊吹山を結んでいますが、この伊吹山のヤマトタケル像は、まさにこのラインを示しているのです。
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1 ヤマトタケルとレイライン
・伊吹山のヤマトタケル像
・碓氷峠と旧軽井沢
・上田・別所の夏至・冬至ライン
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【聖地学講座第65回】
西洋の錬金術では、重要なアイテムを指す際に、アルファベットを並べ替えるアナグラムを頻繁に使います。同様に、東洋では丹生を二鵜と表記するような、言葉遊び的な暗号をよく用います。こうした暗号のパターンを覚えておくことは、様々なシンボルの意味を知っておくことと同様に、聖地に秘められた意味を読み解くのにとても大切です。
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1 聖地にまつわる暗号
・二羽の鵜=丹生
・聖地にまつわる暗号
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【聖地学講座第66回】
前回は、漢字の読みに隠された暗号やシンボルの意味を読み解いて、それが聖地の性質を物語っていたり、儀式の本質を伝えていることを明らかにしました。今回は、そうした記号やシンボリズムの研究が古くから盛んなヨーロッパの例を取り上げて、シンボル学の面白さをご紹介したいと思います。
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1 キリスト教神秘主義の暗号
・キリスト教神秘主義
・聖杯
・ツール・ド・フランス
・サンティアゴ・デ・コンポステーラ
・テンプル騎士団
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【聖地学講座第67回】
大国主が大己貴と記される場合、単体ではなく少彦名(すくなびこな)とセットで祭神とされるケースがほとんどです。少彦名は『古事記』では神産巣日神(かみむすひのかみ)の子「少名毘古那神」と記され、『日本書紀』では高御産巣日神(たかみむすひのかみ)の子「少彦名神」と記されています。そして、いずれも共通に、親神の指の間から漏れ落ちた小人神であり、海の彼方から草で作られた小舟に乗って大国主の前に姿を現したとされています。さらに、大国主とともに各地に上陸し、そこで国を拓いたとされます。
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1 大己貴と少彦名
・西を向く大国主
・様々な名を持つ大国主
・タタラの火の粉を象徴する少彦名
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【聖地学講座第68回】
フリーメーソンやテンプル騎士団は、一般には「秘密結社」として位置づけられ、しばしば陰謀論などで語られますが、実際には、フリーメーソンは穏やかな紐帯で繋がる友愛団体であり、テンプル騎士団は近世までその系譜がほそぼそと引き継がれてはきましたが、今では途絶えてしまいました。ウンベルト・エーコの『フーコーの振り子』は、現代世界でテンプル騎士団の亡霊を追い求め、ありもしない陰謀論に振り回されていく人間の哀れさを描いた傑作でした。今回は、秘密結社としてもっとも名高い存在ともいえるフリーメーソンについて掘り下げてみたいと思います。
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1 フリーメーソン
・現代のフリーメーソン
・フリーメソン陰謀論
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【聖地学講座第69回】
現代のアメリカの自然観では、人が入り込んで、一部が生活の場になっているような自然を「フロントカントリー」と呼びます。若干ニュアンスが異なりますが、日本の里山ののイメージに近いもので、ソローが暮らし、こよなく愛したのは、そうした人間の生活に近い領域のフロントカントリーでした。フロントカントリーからさらに自然の奥に踏み込んだ世界は、「バックカントリー」と呼ばれます。バックカントリーは、人が住む世界ではなく、自然が無垢のままにあり、アドベンチャーの対象とするようなフィールドです。
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1 神(自然)のとらえ方
・アメリカ自然主義思想
・父性と母性
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【聖地学講座第70回】
箱根は伊豆山権現と合わせて「二所権現」と呼ばれた箱根権現(現在の箱根神社)があって、山岳信仰の中心地の一つであり、芦ノ湖に眠る九頭竜も祀られる自然信仰の色合いの濃い聖地なので、引き続き調べていました。そんな中、箱根山の開山にまつわる話から、関東を横断する新たなレイラインを発見しました。これは、私が長年疑問に思っていたあることの答えに繋がる発見でもありました。
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1 箱根山-鹿島神宮ライン
・箱根山開山
・鹿島神宮寺
・箱根山-鹿島神宮ライン
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【聖地学講座第71回】
伊藤聡は、『神道とは何か』(中公新書)の中でこう述べています。「現代の神道の姿が、一見素朴に見えたとしても、それは古代のプリミティヴな自然崇拝の残存ではない。それは、中世、近世、近代における神道の形成・展開過程において再解釈、再布置された結果として装われた「古代」なのである。なぜなら仮構された<固有性>への志向こそが神道の基本的性格なのだから」。
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1 神道を見直す
・じつは日本オリジナルではない「神道」
・密教と神道
・国学と神道
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【聖地学講座第72回】
大地に描かれた大きな図形といえば、ナスカの地上絵が思い浮かびます。最近の研究では、地上絵が単体で意味を成しているだけでなく、全体が一つのネットワークを構成して、太陽や月、星の動きを象っていることがわかってきたようです。今回は、日本で顕著な北斗七星を象った聖地の配置を紹介します。これまでに、他の記事の中で断片的に触れたものもありますが、それらも含めて、より詳細に検証してみたいと思います。
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1 大地に描かれた北斗七星
・妙見信仰と千葉の北斗七星
・将門の北斗七星と山王七神社
・入れ子になった北斗七星
・別所温泉を取り巻く北斗七星
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【聖地学講座第73回】
自然災害といえば、やはり忘れられないのは3.11東日本大震災ですね。東北の太平洋沿岸の町を飲み込んでいった大津波の映像は、今でも脳裏に色濃く焼き付いています。巨大な魔物ともいえるあの津波から逃げた人の多くが、津波の浸水線の際にあった神社にたどり着いて命拾いしました。
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1 自然災害を警告する聖地
・北からの魔の侵入を防ぐ風切地蔵
・『生態智』を伝える聖地
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【聖地学講座第74回】
地元の人たちが自分たちの土地に息づくゲニウス・ロキ(土地が持つ独特の雰囲気=地霊)を具体的に意識し、それを活性化しようと自発的に動くようになれば、様々なシナジーが生まれ、どんどん盛り上がって、それが観光客を呼びこむことにも繋がっていきます。それは、なによりその土地のゲニウス・ロキの喜びだろうと思います。観光施策で間違っているのは、いきなり外に目を向けることです。まず住民である自分たちが自分たちの住む土地のことを知り、愛着を持つことから始めなければなりません。
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1 聖地と町興し
・デトックス&チャージ
・記憶を掘り起こす
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【聖地各講座第75回】
徳一という名は、あまり聞いたことがないという人も多いでしょう。徳一は、最澄や空海と同年代の人で、伝統的な南都仏教のエリートでした。顕教主流の法相宗徒の立場から、勃興しつつあった密教に対する疑念を呈し、最澄との間で仏教論争を繰り広げ、空海に対しても書簡を送って、空海を唸らせたことでも知られています。当時は、最澄と空海に並ぶ仏教界の三大巨頭ともいえる一人でした。
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1 東国に張られた結界と僧「徳一」
・「徳一」という僧
・筑波、いわき、会津に置かれたポイント
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【聖地学講座第76回】
新潟県上越市と長野県飯山市を結ぶ県道35号線は、冬の間は豪雪で通行止めになりますが、夏は標高1000mあまりの関田峠周辺は涼しい風がそよぐ草原となり、遠く日本海まで見渡せる雄大な風景が広がり、気持ちのいいツーリングコースになります。
峠から新潟側に少し下った光ヶ原高原の分岐路に、不思議な看板を見つけました。そこには、「人柱供養堂」と書かれています。今まで通ったことのない道の先に、その人柱供養堂があるようです。
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1 取材の徒然
・人柱供養堂
・泉鏡花が感じたもの
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【聖地学講座第77回】
原始神道での山籠りの習慣が廃れた後に登場してきたのが修験道でした。平安時代末期、日本的アニミズムである山岳信仰(原始神道)をベースにして、シャーマニズムや道教、密教がミックスされて、新しく出来上がった宗教形態でした。
修験道の祖とされる役行者は、『金峰山本縁起』によれば、藤の皮の衣を着て、松葉を食し、花の汁を吸って30余年にわたって孔雀明王の呪を唱えて山中で修行し、鬼神を使役したり飛行するなどの大験を得たとされています。これは道教の「仙人」そのものですね。
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1 修験道について
・修行で験力を身につける
・擬死再生と六道体験
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【聖地学講座第78回】
昨年、イギリスのストーンヘンジの地下に、地上にあるものよりもさらに大規模な遺跡が埋まっていることが地中探査によって確認され、大きな話題になりました。その興奮もまだ冷めやらないうちに、今度は、ストーンヘンジから北東約3kmにあるダーリントンウォール遺構近くで、ストーンヘンジの5倍の規模に相当すると思われる新たな遺跡が発見されました。
近年、こうした考古学上の大発見が次々に報告されるようになりました。その背景には、地質学分野や考古学分野に導入が進められている最先端のリモートセンシング技術があります。
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1 聖地探査の新しい方法
・新しい探査技術
・スマホを高性能探査機に
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【聖地学講座第79回】
聖地とされる場所には、いくつかの代表的なパターンがあります。例えば、太古の太陽信仰の祭祀場や巨石信仰の名残がある場所、活断層の周辺や磁気異常のような地学的に特殊な条件の場所です。いわきにはそうした聖地が成り立つためのファクターが明確に表れています。いわきは聖地の見本帳といってもいいような場所なのです。今回は、そんないわきの聖地を例に、聖地が成り立つパターンについて、あらためて考察してみたいと思います。
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1 聖地の基本を伝える「いわきの聖地」
・縄文の聖地から受け継がれる「岬聖地」
・龍燈と磁気異常
・活断層と聖地
・古代・中世の鉱山技術者の痕跡
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【聖地学講座第80回】
谷川健一は、「海の熊野」の中で、熊野はもともと山の信仰と海の信仰は別々であったものが、二つが出合うことで習合し、熊野三山の信仰となったのだと記しています。たしかに、同じ熊野三山に数えられていながらも、修験色の濃い熊野本宮と海岸部にあって海を意識している新宮速玉大社はまったく信仰の体系が異なり、その趣も、地味で厳かな熊野本宮と派手で華麗な速玉大社ではまったく対照的です。
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1 渡来民と土着の山の民
・大陸の記憶
・山の民の系譜
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【聖地学講座第81回】
三豊市は瀬戸内海に面した長閑な港町で、一年を通して日照時間が日本で最も多い気候を生かした製塩業で栄えました。太古には長閑な浦に人が暮らし、山を神と仰いでいました。古代には九州から畿内へと渡っていった渡来人たちが中継地とし、畿内や対岸の吉備との交流拠点となります。さらに中世から近世にかけてはこの地を本拠とする塩飽(しわく)水軍が全国を結ぶ廻船業に乗り出し、日本全国から情報や富が集まりました。そんな歴史を背景に、ここには様々な性格の聖地が開かれました。
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1 四国の聖地 vol.1 三豊市
・冬至・夏至を意識した聖地
・不老不死を体現する荘内半島
・空海の足跡を示すレイライン
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【聖地学講座第82回】
先日、『鈴木大拙と東京ブギウギ』という面白いタイトルの本を読みました。鈴木大拙といえば、禅の思想を欧米に紹介した日本屈指の仏教学者ですが、その鈴木大拙と軽妙な昭和歌謡がどうして並列されるのか、はじめは不思議に思います。でも、読み始めるとすぐにその謎が解けます。大拙には、アメリカ人の妻との間にアラン・勝という一人息子がいました。この息子が長じてポピュラーソングの作詞家となり、東京ブギウギの歌詞を書いたのです。
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1.鈴木大拙と神秘主義
・ビートジェネレーションと禅
・禅と神秘主義
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【聖地学講座第83回】
諏訪大社を構成する四社は、上社前宮、上社本宮、下社春宮、下社秋宮です。四社ともに建御名方神とその妃神である八坂刀賣神(ヤサカトメ)を祭神としています。秋宮のみこの二神に八重事代主神が合祀されています。しかし、この祭神は明治の宗教改革によって決められたもので、それ以前は本宮の祭神は建御名方神だけ、前宮は八坂刀賣神、春宮と秋宮は二神と八重事代主神が祀られていました。また、春宮と秋宮は半年ごとに祭神が交替していました。つまり、本来は四社それぞれで祭神が異なっていたわけです。
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1.諏訪大社の謎
・何故、四社一組なのか
・御頭祭に隠された意味
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【聖地学講座第84回】
乱世を勝ち残った大名たちも、表向きは自身の才覚や度量によって勝者となったといったイメージを残そうとしていますが(後世の歴史家や小説家も好んでそうしたイメージで描いていますが)、実際には、どうして自分が生き残ったのかが腑に落ちず、運や神仏の加護以外にないと信じていたようです。ですから、生き残った大名もその頂点となった徳川幕府も、自らを守ってくれた神仏の力をなんとかその後も惹きつけて、栄華が続くようにと、様々な工夫を凝らしたのでした。
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1.武家の陰陽道
・現実的な防御としての結界
・江戸の風水再考
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【聖地学講座第85回】
桓武帝については、サイトや拙著でも何度もテーマに取り上げ、彼が創建した平安京が怨霊封じを徹底的に施した都であったことを明らかにしました。そこから、私は桓武帝の人間像を陰陽道に耽溺し、自らが死に追いやった弟の怨霊に悩まされるパラノイアな支配者ととらえていました。しかし、新しい資料をいくつか紐解いてみると、そんなパラノイア的な桓武像とはかなり異なる人間像が浮かび上がってきたのです。今回は、そんな話を中心に、歴史を解釈する上で、固定観念に囚われず、様々な角度から検証することが大切なことを記したいと思います。
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1.歴史の見方
・桓武は本当に弟の霊を恐れていたのか
・空海は本当に水銀中毒で死んだのか
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【聖地学講座第86回】
「いわき」は漢字では「磐城」と表記されますが、これは磐座(いわくら)を意味しています。磐座とは神が降臨する岩、神の依代としての岩のことです。いわきでは縄文時代から聖山や聖なる岩にまつわる信仰があり、後にこの土地を支配した豪族「岩城氏」や「岩崎氏」の名にもそれが伝えられました。岩城は磐城と同義であり、岩崎は縄文人たちが聖地とした海に突き出した岩の岬という意味です。古来から、岩や石を神聖視する土地柄であり、それが今も引き継がれているいわきの聖地を分析していくと、おのずと岩や石に対する信仰の細部が見えてくるのです。
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1.石の信仰
・山や岩に見る磐座信仰
・身近な石の信仰
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【聖地学講座第87回】
聖地が本来持っている「聖地性」を理解すると、聖地は過去の遺物ではなく、今でも息づいているものだと気づきます。「聖地性」というのは、私がこの講座でテーマにしている、聖地の存在意味の総体のようなものです。その聖地性を浮き彫りにして、安定した観光資源として活かしていこうというのが「聖地観光」です。
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1.『聖地観光』という視点
・聖地に光を当てれば土地が輝く
・ところで、自分の故郷は?
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【聖地学講座第88回】
旅に出かけた嵐のメンバーたちが神社の階段を登っていると、地元の子供たちが「光の道や!」と言って駆け上がってきます。「光の道?」、子どもたちが振り返り「あれや!」と指さします。すると海まで伸びた長い参道の先にちょうど太陽が沈んでいきます。その風景に感動した嵐のメンバーは「大事だよな、好奇心て」とつぶやく。それはずっと私がアピールしてきた聖地ならではのレイラインを示す光景です。レイライン=光の道を追い求めて20年余り、ついに大手企業のイメージコマーシャルに使う時代が来てまさに感無量です。
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1.今年はレイラインがブレイク!?
・JAL「光の道」
・日本遺産とレイライン
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【聖地学講座第89回】
この講座の第48回「『場所』の意味」では、エドワード・レルフの「場所の現象学」やエリアーデのエピファニー論などを参考に、ある場所がどうして聖地となり、それが人の心理にどんな影響を与えるのかを考察しましたが、今回は街の構造に目を向けて、街と聖地、そして人との関係を考えてみたいと思います。48回も合わせて読み返していただくと、より理解が深まると思います。
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1.街と聖地
・ヨーロッパの街と聖地、そして資本主義
・日本の街と聖地、そして人間
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【聖地学講座第90回】
「レイライン」という現象(あるいは概念)が見出されたのはイギリスで、それがヨーロッパからアメリカへと浸透していきましたが、現在では本場の欧米でもあまりこの言葉を使わなくなってきています。それは、「レイライン」の概念が曖昧で、様々な立場や意見の人が独自の解釈でこの言葉を使ってきたために混乱してしまったためです。日本では、1980年代に荒俣宏氏やコリン・ウィルソンの著作によって紹介され、それ以降主にニューエイジ系の人たちが関心を持ってきたために、オカルトやスピリチュアルのイメージが強い用語となってしまいました。
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1.レイライン再考
・レイラインの発見
・レイラインの宗教的意味
・霊ライン?
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【聖地学講座第91回】
日本列島には太古から人が住んでいました。3万年前から1万5000年前の旧石器時代には、北海道から九州まで広く分布して、採集狩猟生活を営んでいたと考えられています。その痕跡は1万ヶ所以上にものぼり、温暖な気候に恵まれていたことを物語っています。その旧石器時代の終わり頃、人類は定住をはじめます。そして、洗練された道具を使う新石器時代に入っていきます。日本では「縄文時代」として分類される独特の文化に彩られた時代が始まります。
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1.縄文の聖性
・ハラの聖性
・炉の聖性
・奥壁の聖性
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【聖地学講座第92回】
ポリネシアの信仰の中には、マウイという神がいます。マウイはヒナの子として生まれながらも、流産であったために海に流
されたとされます。このあたりは、日本神話の中のヒルコを連想させます。さらにマウイは海を漂いながら天使と協力して、ポリネシアの島々を生み出し、人間に火をもたらしたとされます。日本では、伊豆諸島の創世神である三嶋神が、天竺からやって来た神であり、海底から焼けた岩を引き上げて島を成したと伝承されていますが、火山神である三嶋神とマウイとの共通点も見られるわけです。
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1.ポリネシアの神と日本の神
・ポリネシアとは
・タブー
・ポリネシアの神
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【聖地学講座第93回】
柳田國男は『島の人生』の中に「青ヶ島還住」という一項を設け、噴火災害で壊滅した青ヶ島が半世紀後に再興される歴史を記しました。「還住」という言葉は柳田國男がこの中で使った言葉が一般に定着したものです。青ヶ島を壊滅させた大噴火は、別名「天明の別れ」とも呼ばれます。天明5年(1785)、それまで小中規模の噴火を繰り返していた青ヶ島が大噴火を起こします。この噴火で青ヶ島全体が焦土と化し、全人口300数十人のうち逃げ遅れた130人が死亡するという大惨事になりました。
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1.島への思いと信仰
・青ヶ島還住と島のゲニウス・ロキ
・徐福伝説と為朝伝説
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【聖地学講座第94回】
白山も富士山と同じように広大な山裾を持っています。北陸や美濃から白山にアプローチする道はかつて「禅定道(ぜんじょうどう)」と呼ばれた参拝の道で、白山に近づくにしたがって野生の力が増していきます。かつてこの道を辿った修験者や参拝者たちも、人跡が絶えて荒々しい野生の力が満ちていく光景に、自らが彼岸へと進んでいる実感を持ったのでしょう。金沢の人である泉鏡花は『高野聖』や『夜叉姫』といった作品で白山に連なる土地を舞台にしていますが、その幽玄な世界は誇張ではなくいまだに白山周辺に広がる光景です。
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1.白山信仰の聖地と人
・泰澄と神仏習合
・菊理媛という神、北陸の神の由来
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【聖地学講座第95回】
人が聖地に惹かれるのは、そこが他とは異なる特別な場所だからに相違ありません。しかし、聖地が他の土地とどう違うのか、聖地には何があるのかという解釈は人それぞれ異なります。また、実際に聖地に足を運ぶときの目的も人によって異なるでしょう。聖地には人を癒やしたり安心させたりする力が宿っていると考える人がいます。また、聖地に行ってお参りすれば、ご利益が得られたり託宣のような啓示が得られると考えて出かける人もいるでしょう。一方、純粋に聖地に秘められたものが何であるのか知りたくて聖地に赴く人もいるでしょう。
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1.聖地感覚
・聖地に惹かれるということ
・聖地コラボ
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