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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
vol.92
2016年4月21日号
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◆今回の内容
1.ポリネシアの神と日本の神
・ポリネシアとは
・タブー
・ポリネシアの神
2.お知らせ
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ポリネシアの神と日本の神
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今月14日に始まった熊本の地震は、1週間を過ぎた今になっても終息せず、被災された方々はさぞかし不安な日々を過ごされていることと思います。心よりお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方々のご遺族にお悔やみ申し上げます。
5年前の3.11のときも大きな余震が続き、いつでも避難できるように着の身着のままで不安な夜をすごしていたことを思い出します。しかし、今回の地震はあの時をはるかに上回る頻度で余震(この言葉はもう使われないようですが)を繰り返し、被災地の方々はそれこそ生きた心地がしないと思います。とにかく、地震が早く終息して静かな日常が戻ることを祈るばかりです。
今回は火の国熊本の地震に絡めたわけではありませんが、火山信仰を基層とするポリネシアの信仰と日本の神道との類似性を紹介しようと思います。
先ごろ、国立科学博物館が「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」を発表しました。これは、3万年前に大陸と陸続きだった台湾から船出した民族が琉球弧の島に辿り着き、さらに日本全土に広がっていったという説を実証するプロジェクトです。
島尾敏雄は、琉球弧から南西諸島、日本列島を太平洋に浮かぶ一つの文化圏としてとらえる「ヤポネシア」を提唱しました。それは、南太平洋のポリネシア文化と日本の文化との共通性も意識したものでした。
南太平洋に広く居住するポリネシア人の起源も東南アジアとされていますが、正確に特定されているわけではなく、世界史の大きな謎の一つとされています。「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」が日本人のルーツが台湾からやって来たことを証明すれば、彼らの中で南へ向かった人間たちがポリネシア人のルーツになったという可能性をも示唆することになります。島尾敏雄のヤポネシアのインスピレーションが正しいだけでなく、ポリネシア人と日本人が共通の祖先を持つ兄弟であることが証明できたらと思うとワクワクしますね。
【ポリネシアとは】
1513年、ヴァスコ・ヌニェス・バルボアはスペインを出発して大西洋を横断すると、西洋人としてはじめてパナマ地峡を越えて太平洋に達しました。彼はこの南に続く海を"mar del sur (南洋)"と名づけます。その数年後には早くもフェルナンド・マゼランがこの海を横断し、航海中嵐に遭うこともなくスムーズに進めたことから、あらためて"el mare pacifico (太平洋)"と名づけます。その呼称が今日まで受け継がれているわけです。
太平洋の面積は1億8000万平方キロを越え、地表の3分の1あまりを占めています。この広大な太平洋の南部、北のハワイ諸島と南東のイースター島、南西のニュージーランドを頂点として結んだ巨大な三角形に含まれる地域がポリネシアです。この中には、タヒチ諸島、サモア群島、ラロトンガ島を主島とするクック諸島などが含まれ、いずれも火山島であることが特色です。
広大な海域に散らばっているにもかかわらず、「南モンゴロイド」と呼ばれる共通の人種で、言語は20あまりに分かれているものの共通言語の方言のようなもので、互いに言葉が通じます。スマトラやジャワを含むメラネシアでは言語が1000以上に分かれていて会話が通じないのと対照的です。さらに、ポリネシアの島々では、自分たちの祖先が「ハウァイキ」と呼ぶ西の彼方の国からやって来たという共通の伝承を持っています。そうしたことから、海中に沈んだムー大陸の生き残りがポリネシア人であるとか、イスラエルの失われた支族であるといった伝説も生まれました。
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