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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
vol.59
2014年12月4日号
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◆今回の内容
1 冬至のポイント
伊豆白濱神社
生島足島神社と戸隠奥社
坐摩神社と住吉大社
その他のポイント
2 お知らせ
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冬至のポイント
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歳を取ると時間の進み方が早くなると、よく言いますが、2014年も師走を迎えてみると、「ついこの間年が明けたのに」と唖然としてしまいます。
人生を登山に喩えると、50歳も過ぎるともう8合目から9合目の間あたりに差し掛かっているでしょうか。ここから先は、歩を進めるごとに頂きの風景がはっきりしてくることで、一歩一歩が大きく感じられるのかもしれません。そして、そんな場所から振り返ると、麓や辿ってきた山腹の展望が大きく開け、よけいに頂上=ゴールに迫っていることを実感するのでしょう。
そう考えると、これからの一歩一歩は、大事に歩まねばならないと思わされます。私の場合は、これからの登りは険しいクライミングになりそうなので、油断して頂上直下で滑落なんてことにならないように、足場をしっかり踏みしめ、展開する風景をしっかりと心に留めながら、歩を進めていきたいと思います。
そんな心境で年の瀬を迎えると、年が変わる区切りの日である冬至は、ことのほか大切に過ごしたいと思います。
冬至は、太古から太陽が死んで再生する特別な日とされてきました。そして、人々は、この日に太陽の再生を願って祈りを捧げてきました。以前にもこの講座で紹介しましたが、クリスマスも北欧の冬至祭をキリスト教が取り込んだものでした。クリスマスイブに家族で祈るのは、翌日の太陽の再生を祈るためであり、クリスマス当日にプレゼントを交換するのは、太陽が無事に再生したことを祝う意味があります。
日本で冬至の日に唐茄子汁粉を食べて柚子湯に浸かるのは、太陽の色をした唐茄子=カボチャをいただくことで、一年間の太陽の恵みの締めくくりの一口をいただき、太陽を象徴する柚子を湯船に浮かべて入浴することで、翌日の太陽の再生を祈念するという意味があります。
今年の冬至は「朔旦冬至」にあたります。
旧暦である太陰太陽暦では、冬至の日が含まれる月を11月と定めていました。太陽暦では、冬至や夏至、春分秋分といった季節の区切りの日はズレても一日か二日ですが、旧暦では毎年大きくズレていきます。
11月1日が冬至の日に当たる年が朔旦冬至の年ですが、それを出発点として、毎年ズレていき、19年目には11月を外れてしまいます。そこで19年めの冬至の日を11月1日としてカウントし直すのです。旧暦では19年に一度、暦が刷新されるわけです。その基準点である朔旦冬至は冬至の中でも特別な日とされるのです。
今回は、そんな朔旦冬至を劇的な光景とともに迎えられる場所をいくつか紹介してみたいと思います。
【白濱神社】
伊豆半島の南、下田の白浜海岸の端に位置する白濱神社は、縄文時代の祭祀遺跡の上に建てられていて、太古の太陽信仰を如実に示しています。本殿から参道の方向を見ると、冬至の夕陽は参道の端に沈んでいきます。これは、逆に参道方向から本殿を見ると、夏至の太陽が本殿の背後から昇ってくる形でもあります。
白濱神社は、その境内配置を見ると、拝殿から大きく屈曲して本殿へと向かう参道は、冬至の日の出と夏至の日の入の方向を指し示し、また、白浜海岸の岩礁の上に置かれた浜鳥居を本殿から見ると、三宅島を正確に指し示しています。
白濱神社の祭神である伊古奈比咩命(イコナヒメノミコト)は三嶋神とともに、初めは三宅島の阿古に祀られていて、それが現在の白浜に二神ともども上陸したと伝えられています。
イコナの「イ」は「斎(イツキ)」であり、神を奉斎する役目を表します。イコナの「コナ」は娘を表します。つまり「イコナ」とは、神を奉斎する巫女のことです。白濱神社は三嶋神にもっとも近い巫女を神として祀っているわけです。
白濱神社のもっとも重要な神事は「火達祭(ひたちさい)」と呼ばれ、10月の末に白浜海岸で行われます。浜に据えられた「火達座(ひたちざ)」と呼ばれる七つの大松明は三宅島を中心とした伊豆七島を象徴し、その燃え盛る火は、火山活動で出来上がった伊豆七島の成り立ちを再現しています。
火達祭は、太古には現在の本殿の裏にある磐座の周辺で行われていたと伝えられています。その頃の祭りは、伊豆七島に捧げられていたのではなく、太陽を祀る日立祭だったと考えられます。日立祭りは、冬至の夕陽に向かって祈りを捧げ、その再生を祈ったものでした。
三宅島から渡ってきた三嶋神を祀る巫女たちが、縄文時代からのこの聖地に自分たちの新しい祭場を築き、日立祭の名をそのまま受け継いだ新たな祭りを創造したのでしょう。
今月の朔日冬至の日には、下田周辺の聖地を巡り、クライマックスとなる入日の時には白濱神社の境内から参道の先へ沈む夕陽を拝むツアーを行います。縄文時代の太陽信仰に思いを馳せながら、一年の太陽の恵みに感謝し、新たな年の太陽の再生を一緒に拝みましょう(ツアーの詳細は、今回の記事の終わりのほうのリンクをご参照ください)。
【生島足島神社と戸隠奥社】
第45回でも少し触れましたが、長野県上田市にある生島足島神社も参道の真ん中に冬至の夕陽が沈む劇的な光景が見られる場所です。
2007年にNBS長野放送で放映した「レイラインハンティング」では、この夕陽をエンディングに使いました。当時はまだこの光景が見られることを知る人は少なく、地元の氏子の方々が10数人、待ち受けているだけでしたが、その後、番組の影響なのか、急に参拝者が増え始め、今では、多くの人が冬至の夕陽を拝みに訪れるようになっています。
フェイスブックの「レイラインプロジェクト」のページに使っている写真が、まさに2007年の冬至に生島足島神社の参道に沈む夕陽です。
https://www.facebook.com/leylineproject
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【お知らせ】
●朝日カルチャーセンター湘南教室 12月20日
「伊豆の太陽信仰」
伊豆半島には、太古の太陽信仰を色濃く残す聖地が点在しています。伊豆半島開闢の女神を祀る白濱神社、冬至の太陽を迎え入れる縄文祭祀遺跡の中にある八幡宮来宮神社、そして、五穀豊穣・子孫繁栄を願う奇祭「どんつく祭」のご神体を収めるどんつく神社…。これらの聖地を中心に、伊豆半島独特の来宮(きのみや)信仰、三島信仰、伊豆山信仰について解説します。伊豆半島は、川端康成をはじめ、多くの文人や芸術家に愛され続けてきました。その魅力の源流も明らかになってきます。
http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=260771&userflg=0
●第三回伊豆急レイラインツアー 12月22日
伊豆急主催のレイラインツアーの三回目は、下田から南伊豆の聖地を巡ります。
開催日はちょうど冬至に当たり、この日は伊豆の守護神を祀る白濱神社では、参道の先に沈む夕陽が見られます。渡来民がもたらした来宮信仰や伊豆創世に関わる三島信仰の聖地を訪ねた後、太陽の再生と新しい年を迎える浄化を合わせて願う白濱神社の冬至参拝をフィナーレに、充実した一日を体験いただけます。
http://www.izukyu.co.jp/kanko/leyline_3rd/index.html
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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
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