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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
vol.37
2014年1月2日号
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◆今週の内容
1 新年の抱負
・草木国土悉皆成仏
2 お知らせ
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新年の抱負
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みなさま、あけましておめでとうございます。
この「聖地学講座」も、今年の初夏には丸二年を迎え、三年目に
突入します。今回は第37回ですが、さらに50回、100回と地道に続
けていきますので、これからもどうぞお付き合いください。
先週、2013年がもうすぐ暮れようとするとき、不思議なことがあ
りました。
年賀状メールに使う写真を探して、アーカイブのファイルを見直
していると、思い出深い一つの写真が目に止まりました。それは、
バーベキューコンロで燃え上がる火の中にギターがくべられ、その
ボディに炎が燃え移っているカットでした。
香川県の東かがわ市に「野遊び屋」という、シーカヤックガイデ
ィングとツアーを主催するアウトフィッターがありました。私は、
開業したときからファンになり、しばしば四国まで出かけては、野
遊び屋の面々と瀬戸内の海に漕ぎ出しました。また、スノーシュー
ツアーやGPSを使ったトレジャーハンティングのイベントなどを共
同で行うようにもなりました。
瀬戸内の長閑な海を一望する高台にあった野遊び屋のクラブハウ
スは、重厚なログハウスに広々としたウッドデッキがあり、いつ訪
ねても常連の誰かが我が家のように寛いでいました。私も、この場
所にいると心底寛いだ気分になり、第二の故郷のように感じていま
した。
5年前の9月、なんとも理不尽な理由からクラブハウスが閉鎖され
ることになり、ここが馴染みの場所だった大勢のリピーターが集ま
って、さよならイベントが行われました。そのとき、オーナーだっ
たY氏とぼくと居残った数人が、バーベキューコンロの火を囲み、
Y氏が爪弾くギターをしんみりと聴いていました。Y氏は日が沈むと
同時に、最後にポロンとギターを掻き鳴らし、コンロの火の中に横
たえました。
ボディに炎が移り、ネックに回りこむと、弦が切れて寂しい音が
響きました。そして、それが野遊び屋の最後の思い出になりました。
5年前のこの年は、私が関わっていたある事業も突然の閉鎖に追
い込まれ、それから辛い時代が続きました。Y氏も同じように、情
熱を傾けていた野遊び屋の火が消えてしまって、意気消沈し、リー
マンショックから3.11と続く困難な時代の波にもまれて苦労するこ
とになりました。
昨年末、私のほうは、5年前に頓挫した事業についての裁判が結
審し、晴れて全面勝訴。もやもやした気持ちが一気に晴れて、新た
な気持で新年が迎えられることになりました(詳細は、blogにも記
しましたのでご参照ください。
http://obtweb.typepad.jp/obt/2013/12/%E6%B5%81%E8%BB%A2.html
そんなこともあって、5年前の野遊び屋の最後の思い出の写真を
みつけたとき、「自分はようやく5年前の雪辱を晴らして新しい年
を迎えるから、お前もがんばれよ」といった気持ちをY氏に伝えたく
なり、この写真をフェイスブックに投稿したのです。
すると、しばらくしてから当のY氏からダイレクトメールが届き
ました。そのメールには、ぼくが写真を投稿する前日に、彼が心臓
発作を起こして病院に搬送され、なんとか窮地を脱して、落ち着い
たところだと書かれていました。「アニキー、すごいタイミングの
写真だな。俺、昨日心臓が止まりかけて救急搬送されたの。まだ死
ななかったW。病院という場所でいろいろ考えるのも悪くないな」と。
「おいおい、野遊び屋復活させて、浴びるほど祝杯飲むまで、死ん
じゃダメだからな! 」と返信すると、「はい、まだ生かされている
と…」と汐らしい返事が返ってきました。
その後、彼の病状は持ち直し、年が明けた今では、blogで病院食
の不味さに毒舌を吐くほどの余裕を見せています。
これも『虫の知らせ』というのでしょうか。こうしたことは、た
だの偶然ではなく、平常はアクセスできない未知のネットワークに、
何かのきっかけで繋がり、知り得ない情報や感覚をもたらすものな
のかもしれません。
昨年亡くなったイギリスの作家コリン・ウィルソンは、そうした
未知のものにアクセスする能力が人間には本来備わっているとして、
それを「X機能」と名づけました。普通の人間はX機能を自由に操る
ことはできないが、多感な思春期にある少年少女や、思いがけない
喜びに高揚感を味わっている人、悲しみに打ちひしがれている人な
ど、感情の振幅が大きく触れている状態の人は、それをきっかけに
X機能を発動することがあると、膨大な事例を挙げて解説しました。
年末のY氏の一件は、そんなコリン・ウィルソンの理論が納得で
きる出来事でした。
この講座でも何度かテーマとして取り上げましたが、昨年は東伊
豆に点在する聖地を集中的に取材しました。その仕事を通して、伊
豆半島の地質学的な成り立ちや、縄文人たちの価値観、そして渡来
民たちが日本の国土で探し続けた不老不死の秘密などを明確に理解
することが出来ました。「聖地」という構造の中に、それを設計し
た古代人が後世に伝えようとした情報がたっぷり詰まっています。
また、彼らは、ただ五感に訴えるだけではなく、先に挙げた未知
のネットワークのようなものにアクセスする心理状態を作り出すこ
とを意識して、聖地を設計していたようにも思えます。聖地を巡り、
そこの空気を感じることで、五感を超えた感覚が刺激され、それを
繰り返すことで、さらにその感覚が鋭敏になっていく…そんな体験
を何度もしました。それは、コリン・ウィルソンが唱えた「X機能」
を磨くための訓練だったのかもしれません。そう考えると、昨年の
私の伊豆での聖地体験が、Y氏の危地を察したことの原動力であっ
たのかもしれません。
今年は、さらに全国各地の聖地を訪ね、そこに眠るゲニウス・ロ
キを掘り起こすと同時に、自分のX機能を磨いていきたいと思います。
***続きはメールマガジンで**
http://www.mag2.com/m/0001549333.html
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