7月17、18、19日の三連休、埼玉県にある武蔵丘陵森林公園で特設のフォレストアドベンチャーを開催した。今回は、TMCA(ツリーマスター・クライミングアカデミー)北関東支部がコースの設計と現場運営にあたり、ぼくも会場の下見からコースシミュレーション、設置、運営とアクティビティの全般に関わった。
コースは、まずツリーイングで最初のポイントまで登る。次に樹上に張り渡したスラックラインを伝って次のポイントへ。そして最後はジップラインを滑り降りて地上に戻るというコース。
普段、TMCAで行っているツリーイング体験会やワークショップはツリーイングの初歩の技術を学んで、普段立つことのない樹上に登って、木と触れ合い、風を感じる…といったソフト指向のアクティビティだが、今回は、夏休みの子供たちに(さらに父兄にも)強烈に思い出に残るようなスリリングな体験をということで、ハードな内容でコースを設計した。
安全性は二重にも三重にも確保しているのはもちろんだが、自分たちでテストしても足が竦むほど。とくに樹上に張り渡したスラックラインは高さが7m、長さが10mあり、風が吹いたり、中間地点に差しかかって大きな荷重がかかると、樹がしなって大きく揺れるため、スラックラインに慣れていても、しばらく動けなくなってしまうほど。
これをはたして表遊びなどほとんどしない子供たちがこなせるのだろうかと、作っておいてから不安になってしまった。
連休初日は、それまで東北から九州まで横たわり、西日本で大規模な降雨災害を引き起こした梅雨前線が、まるで絵に描いたように太平洋高気圧に押し上げられ、一気に梅雨が開けた。おかげでスカッと晴れた夏空になったが、その分、気温も上がって猛暑日に。ツリーイングを応用したフォレストアドベンチャーは常設ではなくその都度設置するため(常設のタイプやツリーハウスのように、木に与えるダメージが少ない)、早朝に集合して全てのギアをセッティングしたが、それだけで相当に体力を消耗してしまった。
子供時代の夏の思い出といえば、ラジオ体操が終わると朝食を食べるのももどかしいくらいに家を飛び出し、日が暮れるまで、めいっぱい表を飛び回ったものだった。山でカブトムシやクワガタをとったり、小川でドジョウやザリガニをとったり、小学校の高学年ともなると毎日のように海へ行って、ひと夏に三回も肌が剥けるほど日に焼かれたものだった。
親子連れでこの森にやって来る子供たちは、野放図なぼくたちの子供時代とは違って、親に促されて不承不承アクティビティに参加させられ、樹の上に登るとそれだけで怖気づいてしまって、樹上のスタッフにしがみついて離れないような子が多いけれど、「これが最後までできたら、夏休みの絵日記で自慢できるぞ!」と励ますと、急にヤル気を出して、勇気を振り絞って綱渡りに臨んでいく。
そして、クライマックスのジップラインまでたどり着いて、地上まで滑り降りると、みんながみんな自慢気な笑顔を浮かべて、一瞬で逞しくなっていく。
そんな様子を見ていて、やっぱり子供は今も昔も変わらないんだなと、こちらまで嬉しくなった。
恐怖心を克服するという経験は、昔なら子供たちどうしの遊びの中に自然にその要素があって、スタンド・バイ・ミーの世界のように、子供たちは夏休みを経験するごとに逞しくなっていった。残念ながら、今の子供達にはそうした古来から出来上がっていた一種のイニシエーションのようなシステムが与えられていない。それをほんのつかの間でも提供できる今回のようなプログラムを全国に広めていけたらと、子供たちの笑顔を見る度に思わされた。
**早朝に現場に集合してセッティング開始。手間はかかるが、樹へのインパクトを少なくするためにはこれがいちばんいい**
**恐怖のスラックラインを終えて緊張がゆるみ号泣した子も、最後のジップラインでは大きな達成感**
★★OBTプロジェクトにて、フォレストアドベンチャーを始め、ツリーイングやシーカヤック等の様々なアウトドアアクティビティをアレンジしています。
→OBTツリーイングプログラム
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