民主党が政権を取り、様々な改革が具体化する中で、とくにクローズアップされている八ツ場ダム問題。 住民がその建設中断に猛烈に反対していることが、どうにも理解できない。
ごくごく素朴に考えれば、元々このダムの建設に反対であり、 先祖代々受け継いできた自分たちの生まれ故郷がそのまま温存されるというのだから、 ようやく念願が叶ってうれしいというのが当然の反応だと思うのだが……。
計画初期に反対運動を繰り広げ、それを手練手管で懐柔され、それがまた白紙撤回となって、「国に愚弄された。 国に振り回されてきた自分たちのこれまでの人生をどうしてくれるんだ」という気持ちはわかる。だが、その怒りが、 無駄な自然破壊を推進するほうに向けられてしまっていいのだろうか?
人工物は自然界の造物よりもはるかに早く寿命が来る。巨大ダムを建設すれば、 いずれはそれを撤去あるいは再建するためにまた巨額の費用がかかることになる。今、建設途上の計画を止めて現状復帰すれば、 長期的に見たコストは、建設に進んだ場合よりもだんぜん少ないはずだ。
そもそも、この地球は誰のものなのだろう。今の環境危機を招いたのは、 人間が自分たちの都合で自然をいじり回し過ぎたせいではないのか?
先祖代々受け継いできた土地を自ら改変せよと訴える住民たちの国に愚弄され続けてきたという心情もわかるけれど、 何が主役かということをもう一度冷静に考えみる必要があるのではないだろうか。もう、人間の勝手で、 主役である自然に手を加えることはやめるべきだろう。
すでに決定している住民に対する補償が、建設中止によってこれも白紙に戻される……それを不服とするなら、 建設を推進して既得権化している補償を無理矢理引き出すのではなく、長年の心理的なストレスに対する補償を求めるべきだし、 それを新政権は真剣に考えるべきだろう。
「八ツ場あしたの会」という八ツ場ダム問題についてわかりやすく解説したサイトがあった。
http://yamba-net.org/
投稿情報: uchida | 2009/09/24 18:37