先月中にリリースするつもりだった「レイラインハンティングDVD(もしかしたらCD)」に苦戦している。
「苦戦」というと、いかにも文章が思い浮かばずに呻吟しているような印象だが、そうではなくて、 しばらくフィールドワークから遠ざかっていたレイラインハンティングのあの現場でどんどん新しい発見をしていく興奮を思い出し、 今すぐにでも出かけていきたい衝動を抑えるのと、この数年の間に蓄積した神話や密教の知見、データなどを盛り込むうちに、 どんどん内容が膨らんできて、それを適度なボリュームに制限するための葛藤とで悩んでいる。
今回は、私家版という体裁を取ることにして、サイトで紹介しているもの以外も盛り込み、サイトで紹介している項目も、 さらに奥深く突っ込んだ内容にしている。
レイラインに取り組み始めてからかれこれ15年。もっと前からレイラインという概念を知ってはいたが、 まだその頃はGPSもデジタルマップもなく、専門的な測量の技術も知識もない一般人が聖地の位置関係を精密に検証することは不可能だった。
そのうち、オートバイ仲間の一人が電子デバイスに詳しくて、まだ日本ではほとんど出回っていなかったGPSを手に入れ、 まだ軍用としてスクランブルがかけられていたものを補正するプログラムを手製で作って、オートバイに搭載したというので、「それなら、 レイラインでも辿ってみようか」ということになった。
そのとき辿ったのが、ご来光の道の一部、富士浅間神社から寒川神社までの行程だった。それも、ちょうど春分の日のこと。
本当に、春分と秋分の日に、太陽の光が日本列島を横断して、聖地を繋いでいったりするのだろうか…… 半信半疑で辿り始めたぼくたちは、古い街道がぴったりとそのラインに沿ってあるのを発見し、そこには、 地図には記されていない神社仏閣や小さな社、道祖神などがまるで滑走路の誘導灯のように並んでいるのを発見して興奮したものだった。
その後、米軍によってかけられていたスクランブルが解除され、デジタルマップが登場して、 GPS+デジタルマップで手軽にレイラインが検証できるようになった。
ぼくは、ハンディGPSとして初めて日本地図が搭載された"GARMIN eTrex VISTA日本版"を手に入れ、 こいつをオートバイに搭載して、全国を走り回った。
そこで見えてきたのは、日本神話をレイライン的な観点から見ると、聖地の配置を解説した設計図集であるという側面だったり、 現代でも古代から続く聖地のレイアウトの技術を伝える人間たちがいるということ、空海もそうした系譜に連なる一人であるということだった。
そして、ぼくがレイラインに引き込まれていくきっかけとなった「ゲニウスロキ=地霊」のイメージもどんどん明確になっていった。
本格的にレイラインを追いかけるようになってから10年、その一区切りとしてDVDをリリースしたら、 再びフィールドワーク主体の生活に戻り、よく探求を深めていきたい。
>Kupmoさん
お待たせしてしまってすいません。
ようやくトンネルの出口が見えてきましたので、もう少々お待ちください。
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鹿島神宮の本殿の位置は「東経140度37分54秒、北緯35度58分07秒」、守屋山山頂は「東経138度05分36秒、北緯35度58分04秒」。鹿島神宮の本殿から鳥居の方向へと目を向け、そのまま進んでいった先、緯度にしてわずか3秒、距離にして約90メートルのずれで守屋山山頂をにらみ据えていることになる。さらに、この北緯35度58分の線上には鹿島神宮の分社が点々と配置され、国譲りを迫った鹿島神宮の祭神武甕槌神に対して唯一敵対した建御名方神を記紀神話の時代から遠く隔たった今でも威嚇している形になっている……
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といった感じで、進めてますので、乞うご期待!!
投稿情報: uchida | 2009/06/14 23:40
「DVDまだかな~?」と、新たな情報を待ち望んでおりました!
先日の「東国三社ツアー」には私は参加断念せざるを得なかったので、早や次のツアーを心待ちにしております。
その前に私ももっといろいろな事を「探索」しようと思っていますが、内田さんのDVDからいろんなインスピレーションを頂きたい、などとちゃっかり思ってもおります。
完成を楽しみにしています!
投稿情報: Kupmo | 2009/06/14 21:46