ビッグサイトで展示会が行われるときは、 みんなが使う新橋からゆりかもめで向かうルートとは反対の豊洲から向かうルートをとることにしている。
この逆コースは利用者が少なく、いつもゆったりと会場に向かうことができるからだ。
ところが……豊洲の駅はありえないほどの人で溢れかえっていた。 灰色のうつむいて黙々と歩くサラリーマンの群が有楽町線から吐き出されて、そのままゆりかもめへと向かう。
そして、ビッグサイトで新橋からのさらに数倍の群と合流して会場へ吸い込まれていく。
大手企業は、ただ「エコに取り組んでいる」という『姿勢』 をアピールするためにモーターショーなどとなんら変わらない大手広告代理店へ丸投げだろう宣伝パッケージで、ただ華やかに、 中味のないありきたりなイベントを繰り広げている。
大手が大きなスペースを仕切るその影で、地方から零細工場の生き残りをかけて「エコ」の名を冠した、「王様のアイデア」 的なひらめき商品を持ち込んだり、「ヘンプを見直そう、ヘンプは体にいい!!」 といったフラワーチルドレンの再来かと思うようなオルタナティヴたちがゲリラ拠点を開いている。
まるで、汐止の巨大ビル群の影でスラムを形作る新橋の飲み屋街といった雰囲気で、これは、今の日本の縮図なんだろうと思う。
折りしも幻想に支えられた経済が破綻して、新しいお題目を唱えて、また実態のない経済を作り出して、 そこに取りすがろうとするように、灰色の亡者たちが、「エコ、エコ……」と呪文を唱えながら彷徨っている。
そもそもエコロジーは、「生態学」という意味だ。個々の環境に適合した生態系というものを研究する学問だ。エコロジカルといえば、 「環境に適合した」という意味で、エコをお題目に環境を変革しようといったものではない。
そういった本来の意味を知ってここに来ている人間はいったい何人いるのだろう……。
今週は、リメイクされた「世界が静止する日」がロードショー公開となる。「我々は、地球を守るために、人類を殲滅する」…… そんな宇宙人は、じつは今頃、月の裏側に集結しているのかもしれない。
究極のエコは、やはり人類が全滅することだろうなと、エコプロダクツ展でつくづく思った。
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