2050年までに、西ヨーロッパと北アフリカ全域をSustainable enegy gridで結ぶという壮大な計画"Super Grid"という計画がある。
Hydro=温水、Geothermal=地熱、Concentrating Solar Power=太陽熱、 Photovoltaic power=太陽光、Wind=風力、Biomassといった、それぞれの地域の特性に応じた発電設備を設けて、 それをSuper Gridと呼ばれる送電網で結ぶという計画だ。
一見すると、いかにも環境問題に関心の高いヨーロッパらしい、『サステイナブル』な構想のように思えるのだが……。 個々の土地に固有のサステイナブルなエネルギーを利用するというのは、理にかなっているが、それを『壮大な』送電網で結ぶという点が、 どうにも引っかかる。
例えば、アフリカのサハラ砂漠で太陽熱を使って発電して、それを減衰の少ない高電圧直流送電線で運ぶとしているが、 減衰が少ないといっても、電線で長距離を運べば、ロスしてしまうことに変わりがない。
そして、何より、2050年までに毎年最大10億ユーロの費用を掛けるというけれど、その費用というのは、施設や送電設備の製造、 設置コストがほとんどを占めることになるだろう。
「誰のためのプロジェクト」なのかといえば、それは、結局、ヨーロッパのゼネコンやエネルギー産業のためのということになるだろう。
個々の土地独自のサステイナブルなエネルギーを使うなら、その土地で使えばいい。今まで、 ヨーロッパはアフリカからさんざん搾取し続けてきて、しまいにはサハラに降り注ぐ太陽光までも奪い取ろうというのだから、呆れた話だ。
サハラで発電するなら、それを砂漠の緑化や周辺のアフリカ諸国にまわすのが先決だろう。
いかにも「環境コンシャス」という時代の要請に応えるかのように見せながら、じつは「巨大産業」を起して、 じつは環境負荷を掛けている張本人である企業や集団を潤わせることにしかならないのではないか?
このニュースを読んで、ふと、広瀬隆氏が唱えていた「東京に原発を」というフレーズを思い起こした。
そろそろ、みんなが目を開いて、大きな偽善に騙されないようにしなければならないだろう。
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