5月29、30日と、一泊二日で鹿児島を訪ねてきた。
ちょうど九州に梅雨入り宣言が出され、午前中までは前線の影響で豪雨となったにもかかわらず、奇跡的に到着してから、 翌日鹿児島を離れるまでは天気に恵まれた。
今回はGOGGLE誌の取材だったが、鹿児島のシーカヤックメーカーである「Nanok」 の安藤氏に現地の案内を頼んで、ずっとサポートしてもらった。
以前から、ナノックを訪ねて、錦江湾でカヤックの試乗をしようと願っていたのだが、今回は、 会社のほうはほんの少しお邪魔しただけで、カヤックの試乗もかなわなかった。でも、また近々お邪魔するつもりだし、 来月の奄美シーカヤックツアーでは、また安藤氏とも会えるし、そこでNanokの艇にもいろいろ試乗できそうなので、楽しみにしている。
鹿児島空港まで、短パンにTシャツ、足元はクロックスといういでたちで、真っ黒に日焼けして現れた安藤氏は、毎日、 会社まで片道25kmの道のりをMTBで通い、時間があればサーフィンやシーカヤックを楽しんでいる。
会社の目の前が海で、すぐに艇を浮かべられる環境にあり、山に行きたければ30分も走れば霧島連山にアプローチできる。
「ぼくらは、こうして普段の生活から動き回っていて、ストレスもたまらないですけど、東京とか大阪とか行くと、あの人ごみや渋滞で、 なんだか澱んでいる気がするんですよね。血が澱んだら病気になるでしょ、澱んだ土地は土地そのものが病気になってしまうし、 そこに暮らす人も健康ではいられないと思うんですよね……」
いかにも『自然児』そのままの彼の言葉は、素直で、実感がこもっている。
澱んだ土地に住んでいると、いつのまにかその澱みに慣れてしまい、自分が病んでいる……病まされている…… ことにも気づかなくなってしまう。それがもっとも恐ろしいのではないかという気がする。
鹿児島を離れるとき、錦江湾越しに桜島が連発で噴火した。東京から訪ねていったぼくたちは、その迫力に、思わず興奮した後、 こんな非常事態に避難しなくてもいいのかと不安になったが、地元の人たちは噴煙を見上げるでもなく、平然と通りを歩き、車を走らせている。
人は、その土地土地の自然と共生していると同時に、土地の持つ力をその身と心に受けている……そんなことを実感しつつ、 早く自分も自分の個性に合った土地に住んで、自然と一体にならなければと痛感させられた。
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