今日、富士方面での取材を終えて帰ってきたとき、東名から首都高に入って直線路になった瞬間に正面に立ちはだかるビルがあった。
今まで、この路線を背の高い車で走ったことがなかったせいで気づかなかったのか、今日はワンボックスを運転してて、 前方に注意していたせいもあって、さらに、昨年からこのビルの中にある会員制のライブラリーで仕事や調べものをよくしているので、 馴染みのビルがこんな風に見えて、よけい印象に残った。
じつは、現代の東京でも、風水を意識してビルが建てられたり、都市計画が行われることが多い。このビルのある敷地の中にも、 様々なマジカルな意匠が散りばめられているが、本館の位置と向きそのものが、ここまであからさまに方位を気にしていたことは知らなかった。
ぼくは、アウトドアアクティビティの他に、「レイライン」 という太古から世界中で意識されてきた方位にまつわる叡智を追い求めることをライフワークにしている。その中では、 小田急線にまつわる方位について探求したことがあった。小田急の創業者である利光鶴松は、大分から上京して、 まず日光で鉱山開発に着手するが、これには失敗し、鉄道事業に転じる。そして、小田急を創業するのだが、 この路線に方位にこだわった不思議な仕掛けを施す。それが、富士山に沈む冬至の夕陽を向いた狛江と下北沢の間の直線区間なのだが、 その直線を延長していくと、Docomoの本社ビルが立ちはだかる。
数年前の冬至の日、下北沢駅をまたぐ陸橋の上から、 富士山に沈む夕陽とそれに向かって真っ直ぐのビル小田急直線路をなんとも不思議な気分で眺めたのだが、 180度振り向いたそこに摩天楼のようなDocomo本社ビルが屹立していたのに、もっと驚かされた。
都心から放射状に伸びる鉄道や高速道路は、その先にあるランドマークと皇居を結ぶ直線をどこかで形作っている。それは、 風水の発想からすれば、都心(日本の中心)へ、良い気を運び込むための動脈という意味がある。
今日見つけた首都高の直線路と六本木ヒルズの関係も、まさに富士山から発する「気」 を都心へ導く動脈の上に巨大なビルを建てることで、この「気」を独占しようという意図があるのだろうか……。
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