大寒を過ぎて、関東近郊でもウインタースポーツの本格シーズンとなってきました。
ぼくは、今週末に毎年恒例の八ヶ岳スノーシューツアーに出かける予定ですが、 仕事の合間を縫って、その準備をしています。準備といっても、一泊二日の宿泊まりで、 フィールドでの食事はアウトフィッターが用意してくれるというお気楽なものですから、服装(レイヤリング)がほとんどということになります。
その冬のレイヤードですが、近年、この分野は素材の進歩が著しく、非常に軽く、薄くても保温性の高い素材が出て来て、 動きやすくなりました。
冬のウェアリングというと、どうしてもアウターに温かいものをと発想が行きがちですが、じつは、 ヘビーデューティなインシュレーション(中綿)入りのごついアウターを着込んでも、その内側が無造作では、 せっかくの防寒システムも役に立ちません。
そして、防寒ばかりに気をとられていると、ついつい着ぶくれして、動きは制限されるし、汗をかくと、それが肌を濡らして、 かえって寒さに震えるといったことにもなりかねません。
レイヤリング(重ね着)は、従来は「アンダー」、「インナー」、「アウター」という組み合わせで考えられていましたが、 新しいレイヤリングでは、肌に密着する「ベースレイヤー」に従来の「アンダー」と「インナー」に相当する機能を受け持つ「ミッドレイヤー」、 そして「アウター(シェル)」という組み合わせで考えられるようになりました。
●ベースレイヤー●
ベースレイヤーに求められる機能は、体表面にかいた汗を素早く吸い上げて、ミッドレイヤーに渡すことにあります。 ぼくがベースレイヤーに使用しているのはfinetrackの「フラッドラッシュスキン」という製品で、 これは汗を吸い出して外に受け渡すと同時に、いったん外側に排出した汗が戻ってくる、 いわゆる濡れ戻りを防ぐために高度な撥水加工が施されています。
**ベースレイヤーとして使用する「フラッドラッシュスキン」。極薄で、まさに「第二の肌」 **
●ミッドレイヤー●
ミッドレイヤーに要求される機能は、ベースレイヤーが吸い上げた汗をさらに吸い出して拡散すると同時に、 フリースやダウンと同様に十分なデッドエアー(動かない空気)層を確保して保温することにああります。ミッドレイヤーは、 寒暖や運動量などの環境に合わせて、この部分だけでレイヤードを変化させて適応するのが特徴です。
ぼくの場合は、停滞時などの運動量が極小で厳寒の状態では、finetrackのラインナップから「スパイルフィル」 という高品質ウールをコアにした高機能繊維の上下。さらにその上にプルオーバータイプの「ドラウトセンサー」、 アウターシェルとしても使用できる「フラッドラッシュ」を着用します。
そして、状況に合わせて、この部分のレイヤードを変化させて適応するわけです。ちなみに、この4層の組み合わせだけでも、 吹雪の中の停滞でかなり我慢ができます。
**高品質のメリノウールと吸汗加工されたポリエステルを組み合わせた「スパイルフィル」 **
**吸汗性とともに、中空糸が保温効果をもたらす「ドラウトセンサー」**
**高張力ナイロンに超撥水性を持たせた「ブリーズラップ」は軽量極薄ながら、 高い防風性と保温効果を持っていて、なおかつ、 動きを妨げないので、 激しいアクションもスムーズにできる**
●アウター●
先にも紹介しましたように、従来のレイヤードシステムでは、厳寒となると、アウターに中綿入りのものを着用して、 保温性をさらに高める必要がありましたが、新しいレイヤードシステムでは、 アウターはあくまでもシェルとしての機能を果たせばいいことになります。
もし、着のみ着のままでビバーグする必要があったりする場合には、 上記のミッドレイヤーの中にフリースやインナータイプのダウンシャツを組み合わせることになります。
ぼくがこの冬に使用しているアウターは、モンベルの「フレネイパーカ」です。これは、防風、 防水透湿性の非常に高いゴアテックス3レイヤーの一枚生地を使ったジャケットで、ウインターシーズンジャケットとしては、軽く、 最新のレイヤードシステムの軽快さをスポイルせず、ウェアのボリュームを抑えてくれます。
また、ショルダーとフード部分はストレッチャブルゴアテックスと呼ばれる伸縮性のあるゴアテックス生地が使われていて、 これも軽快な動きを可能にしています。
**モンベル「フレネイパーカ」はアクションを重視したソフトシェルジャケット**
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