安須森(やすむい)御嶽で岩山登山を楽しんだ後は、名護まで戻り、沖縄自動車道で一気に那覇まで。
再建された首里城は沖縄いちばんの観光名所で、観光バスから吐き出される修学旅行生や観光客が波状攻撃に押し寄せて、 まるで新宿駅のラッシュアワーに揉まれているような気になってしまいます。彼らは、守礼の門で記念写真を撮り、 そのまま見向きもせずに主門を潜って主殿のほうに行ってしまいますが、主門の手前には、小さな森というか緑が残された場所があって、 それは石垣で囲まれてしっかり守られています。
それが七御嶽の一つ首里森(しゅりむい)御嶽です。
主門を潜って主殿に向かう参道は奇妙に斜めになっていますが、それは風水的に「直行する道は、魔をまともに呼び込む」 として嫌われたからだという説明が一般的にはされていますが、じつは、その斜めを向いた参道は、首里森御嶽と主殿を結び、 さらにその先に延長していくと、沖縄創生神話縁の久高島に届くという説があります。
**首里城周辺にはじつは御嶽が数多くある。ここは守礼門近くの御嶽。岩と樹が一体となって、 何か人智を越えた存在がそこに宿っているような気分にさせられる**
デジタルマップでラインを引いてみると、たしかに、この斜めのラインは、首里森御嶽と正殿、そして久高島を結んでいます。 琉球王朝は俗世の権力を王が握り、それと同列に聞大君という女性の司祭が精神文化を支えていました。 この首里城と久高島を結ぶラインというのは、久高島に降り立ち、本島にやってきたとされるアマミキヨという女神=聞大君のルーツを指して、 王権の影に同じかもしくはそれ以上の影響力を持っていた精神世界の存在を暗示していたのかもしれません。
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