末木文美士が、今、いちばん関心を持って取り組んでいるのが神智学だというのが、まず、興味深かった。神智学といえば、まともな宗教学からは、イカモノ扱いされてきたけれど、じつは、底流で様々なところに影響を与えていて、そこに焦点を当てて研究しているという。
アニー・ベサントがインドの国民会議派に一時いて、ガンジーと密接なつながりがあった。神智学的発想の優生学はシュタイナーにも受け継がれて、それがナチスの優生学にもつながってしまった…。
無教会派キリスト教の理想主義が国連機関のマニュフェストや日本国憲法にも影響を与え、宮沢賢治といえば国柱会というイメージが強いけれど、賢治の思想にもやはり強い影響を与えている。
末木ひとりの論説ではなくて、思想界のホットなメンバーを集めて、末木がオーガナイズしてるスタイルなので、話が広がりながらも、シャープにまとまっているところがいい。
柳田の祖霊論と折口のまれびと論、それぞれの霊性の対比も面白かった。
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