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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
vol.227
2021年12月2日号
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◆今回の内容
○アニミズムの本質
・狩猟者と精霊
・シャーマニズムとアニミズム
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アニミズムの本質
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日本の神道的世界…あるいは古来の日本的な心性といってもいいかもしれませんが…を端的に表す言葉として、「八百万の神」があります。この言葉は、あらゆるモノが、その内に神(神性)を宿すという意味で用いられます。
この「八百万の神」という言葉が表す世界観が、日本の繊細な文化や精神世界を形作る基本だとされたり、モノを大切にしなければいけないという道徳律の基礎となっているのだというわけです。そして、そうした世界観は、万物に霊が宿ると考えるアニミズムと同じだととらえられています。
でも、本質的にそれは何なんだと問うと、そこから先に考えが進んでいきません。観念としてはわかったようなつもりになっても、では、それは具体的にどういうものかと問われると、雲を掴むように、意味がすり抜けていってしまいます。
先日、「世界ふしぎ発見!」という番組で、湘南乃風というバンドのメンバーSHOCK EYEこと植村家浩さんと、神社に関する対談をさせていただきました。
植村さんは、4年ほど前に、ふと神社参りに興味を持って、近所の神社にお参りするようになり、それから全国各地の神社を訪れるようになったといいます。そして、今までに訪ねた神社は400社を越し、今では神社だけでなく、その御神体山や御神体とされる自然の造物まで訪ね歩くようになったといいます。
今は、そんなことが知れ渡って「歩くパワースポット」などといわれているそうですが、話をしてみると、そんなレッテルとは裏腹に、ご利益を期待してひたすらお参りしているのではなく、神域=聖地が醸しだす独特の雰囲気に興味を持って、それに惹かれて訪ね歩いていると真摯に話してくれました。
そんな中で、彼は、「八百万の神」という言葉が、神域=聖地独特の雰囲気そのものを指していることを体感として理解するようになったと言います。そして、アニミズムという言葉の意味が、なんとなく掴めてきたと。
彼が辿っている「道」は、まさしく私も辿ってきたものですから、互いに共感して、1時間あまりの予定が、その倍も話し込んでしまいました。
ご利益を求めてやたらに神社巡りをしていても、そういう感覚はたぶん持てないでしょう。「八百万の神」という言葉も、神社に祀られる神が無数にあるという、字義的な意味にしか捉えられないと思います。
植村さんと私のように、聖地に漂う雰囲気を如実に体感した者どうしであれば、「共感」という形である程度は理解しあえます。しかし、それでもまだ「八百万の神」に含意されているアニミズムについては漠然としたままです。
●狩猟者と精霊●
もともとアニミズムは、採集狩猟民の世界観を説明する概念として人類学で用いられるようになった用語で、シャーマニズムや類感呪術と深く結びついているとされます。
類感呪術については、以前、この講座でも連続して取り上げたことがありました。ラスコーやアルタミラの太古の洞窟壁画には、おびただしい狩猟風景や動物、そしてシャーマンと思しき人物が描かれています。
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