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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
vol.217
2021年7月1日号
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◆今回の内容
○意識を変えるということ
・シンボルが表すもの
・秘儀の意味
・複雑さにフォーカスすること
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意識を変えるということ
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第215回では、3万5千年前に、人間に明確な意識が芽生えたエピソードを『洞窟のなかの心』の読解を中心に考察しました。そして前回は、中世の神秘家であったヒルデガルドを例に、心に兆す「光」というものについて考えてみました。
そのように辿ってみると、人間の「意識」が、いかに文化や文明の礎になってきたかがよくわかります。そして、「意識とは何か」という問いが、人間にとってもっとも深遠な疑問の一つとしてあり続けていることも。
この10年あまり、AIの急速な進歩にともなって、「機械は意識を持てるのか」といった議論も盛んになってきました。それは、シンギュラリティを見極める一つの尺度ともなりえる問題で、また、AI脅威論などの背景ともなっています。
AIが意識を獲得し、生存への意思を明確にして突き進んでいったとしたら、いったい何が起こるのか? 映画『2001年宇宙の旅』や『ターミネーター』、そして『ブレードランナー』で描き出された世界が、ものすごい勢いでリアリティを増しています。
人類が地球に誕生してから200万年あまり、現生人類に限っても5万年ほど、その現生人類が意識を獲得してから今日まで3万5千年。そんな長大なタイムスパンに対して、実用的なAIやALが登場してから高々20年で、機械(ソフトウェア)の「意識」が問題になっているのですから、それぞれの進歩の度合いを考えると、たしかに空恐ろしい気もしてきます。
しかし、単に「意識」といっても、それは自意識=顕在意識に限られたものではありません。潜在意識やユング心理学の中心概念である集合的無意識まで、じつはとても幅広く、未だ私たちはその全容を解明できてはいません。
例えば、本能に根ざした無意識(無意識も厳密にいえば「意識」という概念に包摂されます)や潜在意識は、たぶん、膨大な意識流入が起こった3万5千年前よりはるか以前から培われてきたもので、前回取り上げたヒルデガルトの神秘体験といったものも、そうした意識の深層から湧き上がってくるものと考えられます。
そこまで見据えてみると、機械が獲得する意識というのは、とりあえずは「自意識=顕在意識」に限られ、それが人類と同等の幅広い意識階梯を獲得するのは、それが可能だとしてもまだまだ先のことでしょう。
直近の二回で取り上げたテーマは、人間の意識に立ち上ってくる「啓示」あるいは「ひらめき」ともいえるものと「場」との関係でしたが、今回は「意識」そのものに関して、もっと掘り下げてみたいと思います。
●シンボルが表すもの●
聖地や様々な宗教はもとより、企業のCMやロゴマーク、特定の地域や家系、それにグループを表すマーク、イベントにまつわる様々なデザイン等々、世界はシンボルで溢れています。なぜこれほどまでにあらゆる場面でシンボルが導入されるのかといえば、それは、シンボルが潜在意識に訴える不思議な力を持っているからです。さらに、シンボルはたやすく把握され、印象に強く残るからです。
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