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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
vol.214
2021年5月20日号
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◆今回の内容
○水害と聖地
・多摩川白衣観音
・流れ観音
・自然の猛威から逃れるための結界
・おわりに
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水害と聖地
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ゴールデンウィークが明けたばかりだと思っていたら、突然の日本各地の梅雨入り宣言。そして、天がその宣言を律儀に履行しているかのようなどんよりとした梅雨空。異常気象にはもうだいぶ慣れっこになった感がありましたが、これには驚かされました。
今までの「ノーマル」な梅雨入りは、遥か南の海上で形成された梅雨前線が、はじめは沖縄付近にかかり、前線が徐々に北上していって九州、四国、東海、関東、東北へと掛かっていくものでした。
それが、今年は、沖縄付近に前線がかかって、あっという間に梅雨入りしたかと思ったら、その前線が幅を増しながら一気に北上して、日本列島をほとんど飲み込んでしまったような状態です。
もう十数年前から、「エゾ梅雨」などと呼ばれて、本来は梅雨はなかった北海道に梅雨前線が居座り続けるような現象が見られていましたが、今年は、そうした「常態化」した異常をさらに上回るような気象現象が起こっているわけです。
一昨年の10月、台風19号がもたらした豪雨によって多摩川が一部で氾濫して、世田谷・大田区で40戸が浸水、溺死者も出る中、1万7000人あまりが避難したのも記憶に新しいところです。
この台風は北上しながら、各地に被害をもたらしました。千曲川では堤防が決壊し、大規模な氾濫となって長野市内の多くの家で床上浸水し、長野新幹線車両センターも水没しました。
これだけではなく、この数年は、各地で水害が起こり、年々、それが大規模化しています。今年の気象状況を見ると、想像したこともないような水害が発生するのではないかととても気がかりです。
今回は、そんなことを踏まえ、水害と聖地との関係について触れてみたいと思います。
●多摩川白衣観音●
ゴールデンウィークの直前、『暮しの手帖』誌の企画で、都内での水害時の避難シミュレーションを行っていました。昨年監修させていただいた防災グッズの記事の続編的なもので、実際に、防災グッズを詰めたザックを背負い、ハザードマップを見ながらスピーディな避難ができるかどうかを検証するものでした。
場所は二ヶ所で、一ヶ所は都心の下町のほうから駿河台の避難所へ。もう一ヶ所は多摩川中流域の川そばから高台の市役所へというルートでした。シミュレーションの詳細は、7月発売の『暮らしの手帖』誌のほうで読んでいただくとして、ここでは、避難シミュレーションで印象に残ったことを中心にご紹介しようと思います。
まず、これは私自身も勉強不足で、今回はじめて知ったのですが、近年の災害の大規模化、深刻化にともなってどこの自治体でも被害想定を大幅に見直し、ハザードマップが作り直されていました。2、3年前までのものは、かなり古いデータがベースになっていて、それと比べると改訂版では被害想定がはるかに大規模で深刻なものになっています。
ハザードマップといっても、地域や自治体が熱心に避難訓練をされているようなところは別として、ほとんどのところでは作成しただけで、住民に周知されていないのが実情です。それは、私も同様で、あらためて確認して、その想定に驚愕してしまいました。
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