柳ジョージの曲を数日前に久しぶりに耳にして、とても懐かしくなり、古いアルバムを引っ張り出したり、Youtubeに転がっていたライブを見つけたりして、毎晩、一人で酒を飲みながら聴いている。
昔の野太い声の歌もいいのだが、病気で亡くなる数年前に、痩せてやつれてしまった姿の歌声が、蒸留された魂から自然に滴り落ちてくるように透明で、力が抜けて深く響いてくる。
自分の寿命が尽きかけていることを感じながら、それを受け入れて、最期の自分の生の証のように、淡々と大切に歌う姿は、たまらなくかっこいい。
個人的には、彼のラブソングよりも、幼い頃の風景へのレクイエムである「フェンスの向こうのアメリカ」とか、仲間との別れを歌った「サヨナラ」、それに「酔って候」のような時代の雰囲気を歌った曲が好きだった。最期のライブのそれらの曲ももちろん最高だった。そして、ラブソングも、誰か具体的な対象に向かっているのではなく、己の人生に対するラブソングのようで、「ああ、この人は生ききったんだな」と思わせる響きが染み入ってきた。
彼の最期の曲は、「鉄のララバイ」という、ガンダムや攻殻機動隊に続くような未来戦記モノのテーマだった。それをYoutubeで知った。
この曲には、昔のワイルドな歌い方を彷彿させる迫力があって、彼なりの強い思いが伝わってくる。毅然とした男の生きざまを叩きこむような、柳ジョージの硬派な部分だけを研ぎ出したような歌だった。
「鉄のララバイ」へのリコメンドには、柳ジョージの現役時代を知らない若者たちが、この歌に共感する想いが連ねられていた。
同じ時代を生きた世代だけでなく、後代にもしっかりメッセージを伝えられる、素晴らしい歌手だったね、あなたは。
あの世でも、たくさんたくさん歌ってください。
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