つい三日前は庭一面を霜柱が覆っていたのに、今朝は打って変わって、今にもうぐいすの鳴き声が聞こえてきそうな小春日和の朝になった。
表の空気を吸いながらモーニングコーヒーを一杯と思ったら、焙煎しておいた豆が切れていた。そこで、ガソリンストーブを外のタタキの上に置いて、豆を焙煎することにした。
軽くポンピングをしてバルブを開け、プレヒート皿にガソリンが少しだけ浸潤したらバルブを閉じる。そして、プレヒート皿のガソリンに点火する。ヒーターが温まってきたら、加減を見ながら、安定したブルーフレームになるまでバルブを調整する。全体がブルーフレームになったら、バルブを全開にして、ストーブの火力を開放してやる。
今は、アウトドアシーンでも手軽なガスカートリッジストーブがメインになって、ガソリンストーブを使う人が少なくなってしまったけれど、ぼくは、ちょっと面倒ともいえるこの儀式が好きで、ガソリンストーブもよく使う。
そして、今日のような日常のシーンでガソリンストーブを使っていると、芦沢一洋さんが『アーバンアウトドアライフ』で書かれたいくつかのシーンが思い浮かんでくる。
しばらく本格的なアウトドアから遠ざかっていると、自然への郷愁ばかりが募ってくるが、愛用のアウトドアギアをちょっとしたシーンで使うだけでも、自然との繋がりを思い出して満ち足りた気分になれるんだよと『アーバンアウトドアライフ』の中で語っている。
ふと目を閉じて、コーヒー豆の爆ぜる音に耳を傾けると、朝の焚き火の傍らにいて、自由を満喫している気分になる。
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