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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
vol.54
2014年9月18日号
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◆今回の内容
1 歴史都市伝説
法隆寺移築説
四天王寺の鷹
2 お知らせ
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歴史都市伝説
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昨日(9月17日)は、大阪朝日放送で、「ビーバップ・ハイヒール」の収録がありました。関西ローカルの深夜番組ですが、もう10年以上も続き、視聴率もかなりいいのだとか。関東者の私としては、馴染みがありませんでしたが、関西の友人に出演の話をすると、一様に「ついにメジャーデビューですね」と祝福されました。
ハイヒールのお二人が司会で、吉本の芸人さんたちと、筒井康隆氏、江川達也氏がメイン出演者で、様々な話題を楽しく掘り下げていくという内容です。今回は、「歴史都市伝説」というタイトルで、明日香の古墳、近畿の五芒星やご来光の道、さらに法隆寺や四天王寺にまつわる話から、京都の寺社にまつわる不思議な話をテーマに、楽しくスタジオで語り合いました。
聖地やレイラインについて論理的に深く掘り下げていくのが普段の私のスタンスですが、あまり理屈を捏ねずに、軽いノリで井戸端会議のように扱うのもまた楽しいものだと感じました。「歴史都市伝説」というタイトルは、そんな番組の雰囲気によくマッチしていました。また、このタイトルのおかげで出演者のみんなが肩肘張らずに話を膨らませられ、これをつけたスタッフのセンスに感心しました。
もっとも、舞台裏では、最終台本が仕上がるまでにじつに20回近くも改訂され、資料映像も丹念に作り込みがなされて、スタッフは大変だったと思います。ときには、ディレクターのM氏から夜中の3時に台本の予定稿が届き、朦朧としながらそれに目を通した日もありました。とかくやっつけ仕事が多いという印象がテレビメディアにはありますが、それとはまったく逆で、スタッフの熱意と真摯さがひしひしと感じられました。そのように、バックボーンをしっか
り固める作業が成されているからこそ、出演者は安心して本番に臨めるし、だからこそ長寿番組になれるんだなと納得しました。
私の出演した回は、10月17日の23時17分から放送されますので、視聴できる地域にお住まいの方はぜひご覧ください。
さて、今回は、その「歴史都市伝説」で取り上げた関西の聖地に関するエピソードを紹介してみたいと思います。番組をご覧になられる方は、最高の予習になりますよ!
【法隆寺移築説】
法隆寺は、世界最古の木造建築として知られていますが、607年に創建された後、670年に火災で消失してしまいました。その後、710年に再建され、これが今に残る法隆寺だと伝えられています。
ところが、奈良国立文化財研究所が2001年に、五重塔の芯柱のX線調査を行い、その年輪の密度分布などから、伐採されて用材にされた年代を割り出したところ、594年であることがわかりました。これは、火事で法隆寺が焼失する80年近く前、さらに再建の年代からは120年近く遡ってしまうことになります。また、史実が伝える創建時よりも古いことになり、これは完全な矛盾となります。
法隆寺については、じつは明治の頃から再建されたという史実を疑問視する建築史の専門家がいました。その見解は、法隆寺の建築様式を詳細に調べると、7世紀の初頭に見られるものが多く、670年という7世紀後半に再建された史実に合わないというものでした。そのことから、再建されたという「日本書紀」の記述が間違っていて創建当時のまま残されているという「非再建説」が生まれました。
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