レイラインハンティングでは、GPSやデジタルマップ以外にも、磁力計(磁場の強さを測る)、ガイガーカウンターなども使用することを以前に紹介したが、先日、伊豆の取材で頻繁に磁力計が異常値を示す現象が現れた。
自然の中では、磁力計は主に鉱物に反応する。鉄を含む鉱床が露出していたり、金属を多く含む砂利が使われたコンクリートのトンネルなどで顕著なのだが、そういった場所では、通常値が47~49μT(マイクロテスラ)程度のところ、10~20ポイントあまり高い値を示す。
ところが、周囲にそのような要素が何もないのに、一気に10倍以上となり測定限界を簡単に振り切ってしまう。
最初にその現象に気づいたのは、旧天城トンネルの入口だった。そこで何人も焼身自殺しているという狭い駐車場に車を止め、車の中で磁力計のスイッチをオンにして外に出る。すると、一気にメーターが振り切れる。そして、数十歩歩くとストンと数値は下がり、通常値に落ち着く。そのまま車に戻って行くとまた跳ね上がる。この磁気異常の原因は、心霊スポットではなく、取材のために借りたハイブリッドの乗用車だった。
車内に入り、ドアを閉めると数値は下がるが、それでも通常値の倍程度の値をアベレージで示している。車外に出た瞬間がもっとも高くなり、ちょうど稼働中の電子レンジにくっつけたような反応を示し、車内にいても落ち着かない気分になってしまう。
EVやハイブリッド車というとエコの象徴のように喧伝されているが、高出力のモーターや大バッテリーなどが発するこうした電磁波の問題はあまり目にしたことがなかった。後に調べてみると、EVの急速充電器を使用中に心臓ペースメーカーに異常を起こす可能性があると厚労省が注意喚起しているので、何らかの問題は起きているのだろう。
化石燃料の消費とCO2の発生を抑えようとするEVやハイブリッドの技術は、一方で電磁波というデメリットを抱えているわけだ。車内の電磁波は外よりも抑えられているので、メーカーは電磁波の問題を認識していて、運転者や同乗者に電磁波の影響が出ないように何らかのシールドを施しているということなのだろう。
べつに、この一点だけをとらえて、EVやハイブリッド車が危険だと主張するつもりはない。技術というものは、すべからくこうしたメリットとデメリットの両面性を持つものであり、そのトレードオフのバランスの中で上手に運用する必要があるということだ。
そして、この出来事から、古代の不老不死の技術のことを思い出した。
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