合掌

　関東では大風が吹き荒れた昨日、シーカヤックで海に出た男女二人が行方不明になったというニュースが流れた。そのときは、どうしてこんな日に漕ぎだしたのだろうと、ただ疑問を持っただけだった。

　そして、今日、二人の遺体が打ち上げられ、女性のほうが知り合いであることを知った。

　通称「ナディ」、砂田芳子さん。彼女が所属するチーム「リアルディスカバリー」の面々と、一日、ツリーイングを楽しみ、食事をしたことがあった。元国体カヌー競技の選手で、トレイルランニングやアドベンチャーレースをこなす砂田さんは、運動神経が抜群に良く、気さくで明るい人だった。

　経験も豊富で、スキルも高く、体力のある彼女が、どうして荒れる海に漕ぎ出そうと思ったのか?　秋に行われるタスマニアのアドベンチャーレースは過酷な環境でのシーカヤッキングもあり、その予行練習としてあえて条件の悪い海に出ることにしたのか?　世界中で過酷なレースを乗り越えてきた彼女が、よもや、地元である浦安の海で亡くなろうとは。

　ときとして、自然はこういう仕打ちをする。

　亡くなられた砂田さんと一緒に亡くなられたアドベンチャーレース仲間の芝田敏仁さん、お二人のご冥福をただただ祈るのみ。