先日の連休は白馬にいた。広い雪原の中、「お宝」の所在を記したキーワードを仕掛け、ツリーイングの準備をして、8日は神奈川県の子供たち7人と雪まみれになって遊んだ。
西に北アルプスの主稜線が立ちはだかり、東にも山並みが続く谷あいの白馬では、福島や首都圏のような放射能汚染の危惧もなく、子供たちを思う存分遊ばせることができる。
今までは、どんな野山でも当たり前に子供たちを伸び伸びと遊ばせてあげることができたのに、今は慎重に環境を選んであげなければならない。あらためて、こんなことが本当に今、現実に起こってしまったことなのだろうかと、子供たちの無心の姿を見て思う。
雪原でのジオキャッシングでは、今までになく動物たちの足跡をたくさん見つけた。ウサギとそれを追うキツネ、満腹だったのかのんびり歩いているタヌキ、すばしこく方向を変えるテン、そして何故か孤高のカモの足あとも…。
足あとを見つけると、探している「お宝」のことも忘れて、ハンターごっこを始める子供たち。何も変わらない自然と、何も変わらない子供たちの好奇心。これこそが人類にとっての本物の宝だと思う。
イベントを終えた翌日の9日、レイラインハンティングの取材で何度か訪れた地元の峰方諏訪神社に初詣に出かけた。
杉の巨木が立ち並ぶ参道の向こうに、しんしんと降り積む雪を受け止めて、ひっそりと社が佇んでいる。
縄文時代には雨乞いの儀式が行われたと伝えられる遺跡に建つこの社は、今でも「雨降宮」と呼ばれ、太古の名残を伝えている。そのせいか、社もそれを取り巻く佇まいも雪景色に馴染み、無音の空間を通して太古の時代につながっていくように感じられる。
「人類が、また『本物の宝』を取り戻せますように」と、社に向かって、静かに祈った。
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