先日、なにげなくロンプラのサイトを見ていたら、"Monster Hunting in Europe"というコンテンツを見つけた。
ヨーロッパの中世から近代の建築物には妖怪や魔物をあしらった彫刻が配されていることは有名だが、代表的な建築の中にそれを探しに行くことを目的にしたツアーを紹介している。
狼男、魔女、妖精、悪魔、吸血鬼、ドラゴン…それらが訪れる人を睥睨するように門や塔に配置されている。
これは、魔によって魔を制するという意味が込められている。ただの観光地として通りすぎてしまえば何もわからないが、部分に注目すると、ほとんどの教会や聖遺物が保管されている古い博物館などに来館者を監視する悪魔たちがたくさんいることに気づく。
じつは日本でも同じことで、神社の狛犬や狐などは典型的なもの。楼門の左右に配置された護法神も元々はヒンズーの悪魔だし、日光東照宮などの彫刻群も魔除けのために「魔」が配されていることがわかる。
今は「癒し」だとか「パワースポット」だとか、何やら人間にとって都合のいい場所のように神社仏閣や聖地がとらえられているけれど、多くの場所は「呪い」に関わっているところだと知れば、気安くお参りになど行けなくなりそうだ。
典型的なところでは、東北にあるある神社は、蝦夷を制圧するために大和朝廷が蝦夷の聖地の真ん中に、聖地を汚し呪うために築いたものだが、今はなぜか東北屈指のパワースポットして人気を集めている。
鬱蒼とした陰気な森の中、巨木が林立する中にその神社はある。本殿の欄干を見ると護法神=悪魔が別の鬼を踏み潰しいてる妙にリアリティのある彫刻が目を引く。それはまさに、蝦夷を制圧して殲滅するという願い=呪いを形にしたものだ。
そんな神社の参道にある巨木に抱きついて、うっとりと「癒されるぅ~」と呟いている若い女性…それはそれで、なかなかシュールな絵面で面白くはある。だけれど、どうせなら、この神社の歴史的役割を知って、東北と大和朝廷の関係を考えてみたほうがよほど面白い。
ロンプラの特集も、ヨーロッパの建築に隠された悪魔たちを訪ね歩くことで、キリスト教とそれ以前のアルカイックな信仰との関係を還り見ることの面白さを伝えようとしている。
その特集がなかなか面白かったので、来年のツーリングマップルの取材は「モンスターハンティング」をテーマにしようかと考えた…って、来年の話をしたら鬼が笑うか(笑)
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