昨日は朝日カルチャーセンター湘南教室で、レイラインハンティング入門の第二回目の講座を開催した。
台風14号が東海から相模灘沿岸をうかがっているところで、用心して早めに出かけたのだが、ちょうど乗っていた東海道線の電車が途中で運行中止となり、後続もすべて運休となってしまった。雨風がどんどん強まってくる中、慣れない土地でなんとか乗り継ぎいで辿りつけるルートを探し、かろうじてオンタイムで会場にたどり着いた。
15時半からスタートする講座を狙いすましたように台風がやってくるという状況で、さすがに受講者もいないだろうと思っていたが、半数以上はキャンセルだったものの、開いてみれば7人の方々が参加してくれた。
前回、8月7日の講座では、「日本古代中世の方位感覚」と題して、古代の遺跡や神社仏閣などが精密な方位を基準に向きが定められていたり、配置されていることを紹介して、そのベースとなった思想的な潮流を考察した。
今回は、その続きで、「聖地の成り立ちと神話の秘密」として、日本神話の中の逸話が過去にあった出来事を物語っているのではなく、一種の「設計図」として、聖地を置く際の立地条件や必要なアイテムとその配置について物語の体裁をとって伝えられていることを紹介した。
夏至の太陽が二つの岩の中間地点に顔を出すと、その光は岸辺の神社のご神体に射しこみ、さらに遠く隔てた同じ種類の聖地で、今度は逆のアイテム配置の中で日が没していくという例があるが、これは大地に配置されたアイテムと太陽の光によって、天孫降臨の逸話がその場で正確に再現される仕掛けとなっている。その瞬間を捕らえた写真とデジタルマップのディテールを合わせて説明すると、誰でもこの信じられない現実に引きこまれてしまう。それは、説明している自分も同じで、実際にその場に居合わせ、眼前に繰り広げられる光景を追体験しているような気分になる。
台風の心配もあったので、開始早々に、「今日は帰りのダイヤも心配だから少し早めに終了しましょう」なんて言っておきながら、結局大幅に時間をオーバーしてしまった。
予定の17時半を30分以上過ぎて表に出たら、台風の中心は北へ通り過ぎたのか、風雨は少し弱まっていた。それでもまだ東海道線は不通のため、小田急線とJRを乗り継いで、ようやく「小旅行」から帰還した。
それにしても、この夏の酷暑から始まったこの異常気象は何だろう?
9月の末になっても真夏日で、10月に入っても夏日を記録していたかと思えば、突然12月の寒さになって北海道は異例の早さで雪景色となる。寒さで震えている本州の南では、まだ台風を育て発達させるほど海水温が高く、800hp台にまで発達した台風が中国大陸を襲い、その台風から伸びる前線が日本全体をすっぽり覆ってしまう。そして、奄美の未曾有の水害を引き起こす。
昨日の太平洋岸を舐めるようにして北上し、北海道で再発達した台風も極めて異常だし、少し前には史上初の日本海迂回ルートをとった台風もあった。
もう「兆し」どころではなく、地球の気候システム崩壊の本番としか言えないだろう。こんな滅茶苦茶な気候変動の真っ只中に叩き込まれたというのに、人間はいったい、何をしているのやら……。
太古の人たちが、自然と向き合い、規則正しく繰り返される自然のサイクルを敬っていた痕跡についてレクチャーし、自分でもその事実にあらためて感動した時間を過ごした後、瀬戸際まで追いつめられてしまった世界で、こうした叡智をどのように活かしていけばいいのか考えて、途方にくれてしまった。
最近のコメント