この一ヶ月あまり、本作りに精力を傾けていた。
神社仏閣や遺跡などの聖地、 地蔵や道祖神といったちょっとしたランドマークなどを結ぶと現れる季節の節目の太陽の光を導く直線や魔除の図形…… そうしたものをレイライン(Leyline)という。
ある時から、そのレイラインにとりつかれて、日本中に秘められたレイラインを探索する旅を始めた。
デジタルマップを使って、様々にシミュレーションし、GPSを携えて実地に検証していく。
当初は無邪気な地図遊びに過ぎなかったが、現場に赴き、春分秋分、夏至、冬至の太陽を迎え入れるように設計された"装置"の中で、 その光を浴び、太古の人たちが、壮大で緻密な装置をどうして必要とし、また、どうやって形作ったのかを想像するうちに、それは、 ぼくのライフワークになった。
昨年の夏、思い立って15年あまりのレイライン探索の成果を私家版のCDとしてまとめた。
それがある出版社の編集者の目に止まり、今回の出版の話となった。
デジタルでは、表現の方法を変えたり、内容を変更することは容易いが、印刷して出版となると、 一度決めた内容を容易くは変更できない。そこで、図版や本文を吟味し直して、幾度もチェックするという作業を行ったわけだが、 想像以上に神経も体力も使う作業になった。
心身は相当に疲労したけれど、なんとかまとめ終わり、振り返ってみると、一連の作業によって過去の自分の思考を振り返り、 どうして自分がレイラインに魅かれたのかを客観的に見つめることができて、とても有意義だったと思える。
結局、自分は個々の土地が持つ"雰囲気"に浸ることが好きなのだと思う。本書の中でも再三語っていることだが、 土地が持つ独特の雰囲気=地霊=ゲニウス・ロキと触れ合い、それに自分の魂が感応することによって、自分の中の何かが変化すること、 それが心地良いのだと思う。
人にそれぞれ個性があるように、土地にもそれぞれの個性がある。ある場所は、ただそこにいるだけで多幸感がもたらされる場所であり、 ある場所は身の引き締まる荘厳な雰囲気に満ちている、そしてある場所はとても居心地が悪く、一刻も早くそこから立ち去りたい気がする…… そんな場所に自分の身を置いて、デジタルマップやGPSを使ってその場所が他の場所とどう関わっているのか、どんな種類のゲニウス・ ロキが湧き立つ場所なのかを検証していくと、人の性格や精神を分析するように、土地に秘められた様々な歴史までもが見えてくる。
そして、太古の人たちがそうした土地に秘められたゲニウス・ロキをはっきりと感知していて、 自分たちが自然と共生していくための"装置"として上手に利用していたことも見えてくる。それは、また、 太古の人たちの感性をはっきりと感じることでもある。
人と土地、人と自然が穏やかに共生していた時代、そんな時代が数千年あるいは数万年続いてきた。 レイラインハンティングを通してそれを明確に感じることは、ある種の"普遍性"と向き合うことに他ならない。
変化が激しく、誰もがどこに進んでいけばいいのか、善も悪も見失っているような時代にあって、 普遍的なものに寄り添って心を落ち着けることができるのは稀有といっていい。
そんな稀有な経験ができるからこそ、ぼくはレイラインハンティングを続けているのだと、あらためて思った。
神保さん
こちらこそ、いろいろ楽しいお話ありがとうございました!
ぜひ、一度、レイラインツーリング、ご一緒いたしましょう!!
投稿情報: uchida | 2010/12/18 10:39
内田様
昨夜は楽しいお話を沢山お伺いし、ありがとうございました。レイライン、是非読みたいと思います。
また、ツーリングなどもご同行できたらと思います。
引き続き来年も宜しくお願い致します。
神保
投稿情報: らぶすとてん | 2010/12/17 10:51
大隈さん、ありがとうございます!
また精力的にレイラインハンティングに励みたいと思います!!
投稿情報: uchida | 2010/04/07 19:06
執筆お疲れ様でした。やはり「本」を世に送り出す作業というのは重労働なのですね。
そんなすばらしい1冊。手にとってじっくり読みたいと思います。
投稿情報: 大熊 | 2010/04/07 15:01