レイトショーで『Dr.パルナサスの鏡』を観る。テリー・ギリアム監督、ヒース・レジャー主演。この映画の撮影中にヒース・ レジャーは亡くなってしまう。その演技を見るにつけ、なんとも惜しい才能が亡くなってしまったと、あらためて残念に思えてしまう。
ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルが彼の早逝を惜しみ、代役で出演することで、この映画を日の目に見せた。 その友人たちの彼を愛する気持ちも忖度されて、さらに惜しい気持ちが募ってしまう。
作品は、熱烈なモンティ・パイソンファンとしては、「テリー君、思う存分暴れとるな!!」と、うれしくて身を捩るような出来栄え。 ただ、逆にモンティ・パイソンのイメージがやたらに喚起されてしまって、 独立した作品としての凝った道具立てや緻密で独特なファンタジー構成に、自分は素直に感動できていないんじゃないかと、モンティ・ パイソンを知るが故の一抹の寂しさのようなものを感じてしまうところもある。
19世紀風キャンピングカーともいえる舞台馬車は、自分でキャンピングカーをカスタム製作するならこんな風にしようと決心させた。
悪魔と取引するパルナサス博士は、ファウストをモチーフとしているのはいうまでもないが、どこかペーソスのある悪魔は、パウロ・ コエーリョ『悪魔とプリン嬢』の悪魔を連想させる。そんな悪魔とパルナサス博士との共謀関係が微笑ましく、 悪運が強すぎて悪魔ですら命を奪えない"最悪"を二人で協力して打ち負かすあたりは、笑いの後に、重いテーマが腹の底にズシンと落ちてくる。
"本当の悪"、 "不死を求める人間の切なさと愚かさ"といったテーマを高度なブラックジョークとお下劣でパッケージするそのセンスには、ただただ脱帽。
これは、DVDが発売されたらさっそく手に入れて、何度も観てしまいそうな作品だ……そういえば、『ダークナイト』 もロードショーを観てすかさずDVDを買って何度も浸ってしまったのだった。
コメント