この連休は、白馬のペンション「ミーティア」が主催するスノーシュー&ツリーイングツアーのガイドとして、 10人あまりの子供たちと雪遊びをしていた。
例年よりだいぶ雪が少ないとはいうものの、一面の銀世界は、雪のない関東から見れば別世界。 サラサラのパウダースノーを踏みしめて広大な雪原を自由に歩けるのは、まさに雪国ならではの特権だ。
しかし、今回ぼくがガイドした子供たちは、躾がいいのか、はたまた管理され慣れているのか、ぼくが先頭になって歩き始めると、 一列縦隊になって踏み跡を辿ってついてくる。
「あのさあ、せっかく足跡がついてないフワフワの雪がこれだけあるんだからさあ、おじさんの後にぴったりついてこないで、 バラバラに広がって好きに歩きなよ」
半ば呆れながら言うと、一瞬キョトンとした顔を見せたものの、急に嬉しそうな顔をして、思い思いの方向へ駆けだした。
「雪を踏むと面白い音がするんだねぇ!」、「同じ雪でもさあ、硬いところと柔らかいところがあるんだね」、「風の向きで、 雪の深いところと浅いところができるんだね」……。
ぼくが何も説明しなくても、子供たちは、どんどん自分たちの五感で新しいことを感じ取っていく。
そもそもスノーシューの楽しみは、踏み跡のないパウダースノーの上をどこまでも自由に歩いていけることだ。 中高年の百名山登山じゃあるまいし、前の人の尻を見ながら俯いて黙々と進むなどという世界とは対極にあるはずだ。
ツリーイングでも、基本的な技術を教えると、あとはスイスイと登って行き、木肌に触れた感触を語り合ったり、 わざとロープを揺らして木をたわませて、「ほら、木も一緒になって遊んでるよ」などとはしゃいでいる。
無邪気な子供たちの姿を見ていると、子供たち誰でも好奇心や想像力に溢れているんだなとあらためて確認できる。そして、 その好奇心や想像力を発揮できる機会が、今の子供たちには少なすぎるということも……。
昨年の金融破綻にしろ、その後の「不況煽り」のような報道にしろ、自分たちの行為がどのような結果を招くか、 波及効果を持っているかをまったく考えず、ただ目の前の利益や事象に振り回されている大人の愚かさに溜息が出てしまう。
身の回りを見渡しても、自分の言葉や行動が人にどんな影響を与えるかを考えず、自分勝手な言動をする人間が目立つ。 人に対して皮肉や嫌みを言ったり、ネガティヴな態度をとれば、相手はその人間と距離を置こうとするのは当たり前だし、 同じような言葉や態度が返ってくるのが当たり前だと思うが、そんな、 本来は子供のときに躾けられて身についているはずのことが抜けている大人が多い。
人のことを考えない自己主張ばかりで、それが通らないといじけてしまう……まさに「さもしい」人間が目につく。
以前、「ポジティヴシンキング」なんていう言葉が流行ったが、無理矢理物事をポジティヴに考えるのもさもしいと思うが、少なくとも、 現状に鬱々と文句を言い続けたり、 不況を喧伝するマスコミに乗せられて何事もネガティヴに考えてしまうよりはまだポジティヴシンキングのほうがましだ。
先行きが不透明な時代だからこそ、想像力を最大限に発揮する必要がある。
自分にとって、どんな生き方が幸せなのか、みんなにとって暮らしやすく、幸せを実感できる社会の姿はどんなものなのか……。
しかし、まず必要なのは、好奇心と想像力をなんとかして取り戻すことなのかもしれない。
Uchida様
Uchida様のおっしゃることは、 全て私の心に響く。 「想像力は子供の特権とも言えるのではないでしょうか。」 何故なら、 大人たちは、 社会の奴隷となって想像力を削がれている。 勿論、 自らの責任で想像力に乏しい人もいるが。 今の日本の最大の問題は国民を大事にしない、 特にお年寄り(誰もが年寄りに100%なる)、 弱者を。 その中で如何にいい方向に向っていくか。 それは本質の見える者が先頭に立って、 ポジティブに皆を導いていく必要があるのではないだろうか。
投稿情報: Thackery | 2009/01/29 03:55