昨夜、車にガソリンを入れに行ったついでに、夕飯を食べようとファミリーレストランに入った。
世間の人たちとだいぶずれた時間帯の中で暮らしているので、だいたい、 独りで静かに本を読もうなどと思ってファミリーレストランに入っても、喧しいおばさん集団に集中を殺がれ、 美味しくもない料理をそそくさと掻き込んで逃げ出してくるのが関の山なのだが、昨日は、おばさんではなく おじさん連中の集会に囲まれてしまった。
野球かフットサルのサークルの練習帰りかとも思ったが、どうやらスキーサークルの定例会のようで、 この冬の練習やら試合のスケジュールについて、仲良く楽しそうに話し合っていた。
べつに、聞き耳を立てていたわけでもないのだが、断片的に耳に入ってくる会話や彼らの雰囲気に、妙に違和感を覚えた……いや、 正確にいえば、狭いファミリーレストランという空間の中で、彼らのほうがこの空間の主であって、ぼくは、 そこに間違って飛び込んでしまったエイリアンのような、自分がここでは『違和』なものであるという居心地の悪さだ。
「俺は、どうしてこんなところに居るのだろう……」
なんだか、とんでもない間抜けのように思えてきた。
"See, to them, you're just a freak...like me."
映画『ダークナイト』のクライマックスともいえるシーンで、ジョーカーがバットマンに吐く台詞。あのシーンのあの言葉は、
心に深く刺さった。あの言葉を、ぼくはまぎれもなく自分に向けて発された言葉として受け止めた。
ファミリーレストランを出て冷たい夜風に当たると、ようやくまともに呼吸ができたような気がした。
夜の河川敷まで車を走らせ、表に出て、ずっとおぼろ月を眺めていた。
"See, to them, you're just a freak...like me."
そういうことなんだなと思った。
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