週の初め、お盆前に伸び放題の庭木の手入れをするというので、茨城の実家へ。
東京の自分自身が陽炎になってしまうのではないかという暑さに比べると、5℃も低いこちらは、まさに別天地だ。 遮るものの何もないだだっ広い平野なので、日差しは灼熱だが、木陰に非難すれば、爽やかな風が火照った体を冷やしてくれる。
鹿島灘がほど近いここは、沖を流れる親潮のおかげで、その上を渡る海風が、陸を冷やしてくれる。 それで周囲に比べても格別に過ごしやすい。それに、海風と陸風が交互に吹いてくれるおかげで、風が止まるということがなく、 夜も東京のように風が止まってのたうち回るような寝苦しさということがない。
そんな涼しい環境にありながら、久しぶりに庭仕事などすると、大汗をかいて、たちまちバテてしまう。 もう70歳を越える庭師のおじいさんが、まったく汗をかかずに、午前中から夕方まで、食事休みだけで淡々と仕事を進めているのに、 まったく恥ずかしくなってしまう。
剪定された枝を集め、ノコギリや剪定ハサミで細かくして、後で可燃ゴミの袋に入れやすくする。とりあえずは、 この木くずを家の裏のスペースに山積みにして、そこで乾燥させる。昔は剪定クズなどはそのまま燃やしてしまえば良かったのだが、 今は無闇に煙りを上げると、周囲の家の迷惑となってしまう。
田舎とはいっても、だんだん都会的な価値観に支配されて住みにくくなってきた。
そういえば、昔はどの家も井戸水を生活用水にしていたのだが、上水道が整備され、 井戸の水は飲用しないようにと役所からお達しが出ている。ウチでも、普段は上水道を使っているのだが、 昔の井戸の水を汲み上げられる蛇口が一つだけ残してあって、今頃の季節は、生ぬるい上水道などより、 キンッと冷えた井戸水のほうを使いたくなってしまう。
でも、水質を検査してみると、昔はほとんどいなかった大腸菌が検出されたり、残留農薬が浸潤したのか、 微量の有害物質が検出されたりして、安全とはいえないので、直接飲むことは残念ながら控えている。
さて、あらかた庭の片付けも終わって、繁った枝をそのまま残されたサルスベリの木陰で休んでいると、傍らの岩に、 木くずがついているのが目についた。
これも裏の木くずの山に持って行こうと近づくと、なんとも質素にまとまった蓑虫だった。
材料はいくらでもあるから、もっと豪華に蓑を作ればいいのに、などと思いつつ、でも人に見せびらかすわけでもなく、 大きさがステイタスになるわけでもなく、まさに身の丈に合ったサイズと形でいいんだなと、こいつを見ているうちに、 なんだかほのぼのとした気分になることができた。
コメント