先週末、奥秩父の最高峰に登ってきた。
奥秩父は、東の「三峰山」から、東京都最高峰「雲取山」、甲州と武州、信州に跨る「甲武信岳」、そして西端に位置する「金峰山」 まで、長大な稜線を持っている。全体の東半分は山深くしっとりした雰囲気の山域で、西半分は頂上付近は森林限界を超え、 岩場もあるアルペンムードのある山域となっている。
金峰山(標高2598m)が最高峰と思われがちだが、じつは、金峰山の近くで、 主稜線から少し外れたところに位置する北奧千丈岳が標高2601mで、わずかに金峰山よりも高く、最高峰の座を占めている。
その奥秩父最高峰へは、1時間弱で登れてしまうルートがある。
山梨県の牧丘町と長野県の川上村を結ぶ、川上牧丘林道(峰越林道)は、大弛峠で奥秩父の主稜線にまで達している。 ここを起点にすれば、北奧千丈岳まで至近なのだ。ちなみに、金峰山へも2時間弱の行程でたどり着くことができる。
北奧千丈岳へは、大弛小屋の前を通って、主稜線の登山道へと入っていく。 小屋の横に手の切れるような湧水があるので、 これをカンティーンに詰めていくといい。
ちなみに、小屋の周辺はキャンプ指定地になっているので、ここにベースを据えて、奥秩父西部の「美味しい」 山を連続踏破するといったことも可能だ。
大弛小屋を過ぎると、樹林の中に木道が整備されている。一定の歩幅で歩かなければならない階段が続くのは疲れるが、 川上牧丘林道の山梨県側が舗装整備されて登山者がどっと押し寄せるようになってから登山道の踏み跡が広がってしまったことの対策だと聞けば、 文句ばかり言ってもいられない。
ほどなくして、夢の庭園と主稜線との分岐に達する。夢の庭園は、 巨大な花崗岩の露出したロックガーデンで、金峰方面を一望できる。 今回は、ここには立ち寄らず、主稜線を甲武信岳方面へと辿る。
この道標を過ぎたあたりから、傾斜がきつくなり、木道が途切れると、露岩で歩きにくくなる。 大弛峠から至近とはいっても2500mを越える本格山岳だから、足元はしっかりしたトレッキングシューズで、 ウェアもいつ天候が急変してもいいように、雨具はしっかりと用意していきたい。
胸突き八丁の登りをしばらく行くと、急に空が開け、前国師岳の露岩の頂上へと飛び出す。さらに、そのまま主稜線を行くと、北奧千丈岳と主稜線を分ける分岐がある。
北奧千丈岳方面は、そのまま尾根を辿っていけば、黒金山から奥秩父前衛の名峰「乾徳山」へと抜けられるが、 このルートを取る登山者はほとんどおらず、道は荒れていて、ルートファインディングを強いられる。乾徳山からの登山ルートとして使って、 ここまで到達できれば、高い達成感はあるのだが……。
さて、分岐を分けて、いったん鞍部に降りて登り返すと、目的の北奧千丈岳に達する。
ここからの見晴らしは最高で、晴れていれば、金峰山から大弛峠までの稜線と、 国師岳から東へ伸びる稜線が一望できる。 この日は残念ながらガスが西から東へと稜線を越えてひっきりなしに流れていて、 時々ピークが顔を覗かせる程度だった。
今回は、ほんとうは夜のうちに大弛峠に着いて、ナイトハイクで北奧千丈岳まで登り、 ここでビバークして星と御来光を眺めようと思っていたのだが、なんと、川上牧丘林道が夜間通行止めで、 開通する6時まで麓で足止めを食ってしまった。
事前のリサーチをしっかりしていれば、道が閉じられる前に峠に登って、仮眠してから出発できたのだが……。
尚、近年、大弛峠からのマイカー登山者が多く、土日は峠の駐車スペースが埋まってしまうので、この点も注意が必要だ。
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