●冒険旅行家が生み出した元祖「マルチツール」
1970年代、冒険好きの若者、ティム・レザーマンは、世界各地を旅する中で、 普段持ち歩いているマルチユースのポケットナイフに工具の機能を合わせ持たせれば、 車のちょっとした整備もキャンプ生活で必要なマルチユースナイフとしてもそれ一本で使えて便利ではないかと着想する。
そして、試作品を次々に作り出して、ナイフメーカーやツールメーカーに持ち込む。しかし、マルチユースナイフとプライヤーを合体させた、 その奇妙なものは、ナイフメーカーには「こんなものナイフじゃない」と言われ、ツールメーカーには「こんなものツールじゃない」 と一蹴されてしまう。
そこでティムは、これを自ら商品化することに決め、ブランド名に自分の名字である「レザーマン」を採用する。
パッケージツアーや公共交通機関に頼るのではなく、車やオートバイ、自転車などで自由に旅をするツーリストは、この「レザーマン」 のマルチツールを喜んで受け入れた。ティムが自ら冒険旅行をする中で必要性を感じた機能をみんなが求めていたいう証明だった。
以降、レザーマンは旅行者はもちろん、軍や警察といった行政機関にも採用されて、「マルチツール」の代名詞となる。
今では、プライヤーとナイフ、ビットなどを合わせたオーソドックスなマルチツールから、ガーデニング用に特化したもの、 サイズも様々用意されている。今回紹介するのは、そんなラインナップの中ではもっともベーシックな「WAVE」というモデル。
付属する専用レザーケースから取り出して(標準で付属するのはレザーケースもしくはナイロンケース)手に持つと、 ずっしりとした重量感がある。普通のポケットナイフに比べると、プライヤーヘッドがある分、重く、嵩も出てしまうが、 プライヤーやナイフを引き出して使用状態にすると、バランスが良く、重さや嵩は気にならない。逆に、プライヤーやビットなどのツールは、 かなり力を必要とするケースがあるが、そんなときはツールとしての機能をしっかりと備え、 嵩のあるグリップをしっかり保持できるレザーマンは安心感があり、ミスなく作業をこなすことができる。
このWAVEモデルは20あまりのファンクションを備えていて、キャンプと車やバイクのツーリング、 さらにはアングラーのニーズにも対応している。プライヤーは鍛造の超硬金属で、 ブレード類も用途に合わせて硬く粘りのあるハイスピード鋼やステンレスが使い分けられている。最近では、 レザーマンを真似たマルチツールと称する製品がいろいろと出回っているが、その多くは単に機能を「果たすこともできる」 といった用途別の素材などを考慮していないもので、ナイフブレードが簡単に折れてしまったり、+ネジの精度が足りずに舐めてしまったり、 あるいはブレードロックを装備しないため、強い力を掛けたときにブレードが勝手に畳まれて怪我をしてしまったりなどという可能性がある。
WAVEはブレードロックはもちろん、ビットや缶切りに至るまで、すべてのファンクションにロック機能を持っていて、 安心してテンションを掛けることができる。さらに、それぞれの機能素材が吟味されていることは前述したとおりだが、精度も非常に高く、 専用のツール同様に確実な作業ができる。このあたりは、実際に使用者の立場から物作りがなされているレザーマンならではの特徴といえる。
私は、オートバイツーリング用地図の実走取材も仕事としている。長距離をキャンプしながら走り回るので、 キャンプで必要なマルチユースナイフとともに車載工具も持ち歩いていたが、このマルチツールを持つようになってからは、 マルチユースナイフは主に普段使いのタウンユース用となり、車載工具も、その車種特有のツール以外は省くようになった。
何より便利なのは、以前は、車載工具が必要となったときに満載の荷物をいったん下ろして、シート下の工具を取り出す必要があったが、 レザーマンがあれば荷物には触らず腰に着けたレザーケースから取り出すだけで済むようになったことだ。
**オートバイツーリングやドライビングの際の日常工具として、またキャンピングの際のマルチナイフとして、 これ一本でカバーする発想は、レザーマンが最初**
**折 りたたみ時には、けっこう重量感があるが、プライヤーを開いたり、 ほかのファンクションを使う際にはベストバランスとなる**
**標準で付属するレザーケース(ナイロンケースが付属する場合もある)。 握ったときのバランスや取り扱いのしやすさは、専用のプロユースツールに匹敵する**
**グリップに刻印されたレザーマンのロゴが、なにより品質を保証している。プライヤー部は、 ニードルノーズプライヤー/レギュラープライヤー、ワイヤーカッター/ハードワイヤーカッター、ワイヤーストリッパー の機能を持つ**
**ハンドルの内側には、センチとインチのメジャーが刻印される。グリップエンド部分には、ハサミ、 マイナスドライバー(大)、ラージビットドライバー、スモールビットドライバー、定規(ミリ、インチ)、 栓抜き/缶切りを収納**
**グリップエンドのファンクションのロック機構。カチッっとしっかりロックされて安心。 解除もワンハンドで簡単にできる。木工/金属用ヤスリに、裏側はダイヤモンドヤスリ **
**切れ味抜群のレギュラーのブレード。チーズなどを切るときに張り付かず便利な波形ブレード。 薪などを細かくするのに便利なノコギリ。ブレード類のロックは、そのつけ根につけられている。 こちらもワンハンドで解除できる**
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