いったい、この国はどうなってしまったんだろう?
あの破局的なICOの臨界事故の前後に、巨大原発の炉心で同じような臨界事故が起こっていたという話が、今頃になってボロボロと…… 。
86年のチェルノブイリは、臨界が進み、そのままメルトダウンした事故だったわけだけれど、 チェルノブイリの二の舞になりかけた事故が幾度もこの日本で起こり、しかもそれがひた隠しにされていたとは……。
こうなると、原子力産業そのものが、致命的な欠陥を抱えているとしかいえない。このまま放置しておけば、まさに広瀬隆が「危険な話」 で予言したように、この日本で破局的な原子力災害が起こり、全土が人の住めない土地になってしまうだろう。
ICO事故の際、ぼくの母親がちょうど東海村方面へ国道50号線を車で走行していて、 臨界の中心地から10kmあまりの場所で道が機動隊によって閉鎖されていて先へ進めず、「道が封鎖されるなんて、戦時中でもなかったよ……」 と絶句していた。
その後、周辺地域の学校には、『原子力災害時緊急避難場所』という看板が掲げられ、 畑には環境放射線をモニタするためのセンサーが不気味にそそり立っている。ICOの臨界事故以降、ぼくの田舎は、 タルコフスキーが描いたストーカーズの禁断の土地に、サクリファイスのあの最後の瞬間が過ぎた土地のように、 不気味な重苦しい雰囲気に包まれた土地になってしまった。
「臨界隠し」などという、絶対にあってはならない犯罪が行われていたことが暴露された今となっては、もう原子力産業すべてに「No」 というしかないだろう。
今すぐ、全ての原子力発電所を永久に停止させ、関連施設も永久に封鎖管理するしかないだろう。さもなければ、間違いなく、 ぼくたちの子孫の未来はなくってしまう。
コメント