アウトドアを楽しむためのグッズ選びやノウハウをお伝えする「アウトドアベーシックテクニック」の第二弾は「サブザック」と 「ハーネスシステム」をお送りします。
●サブザック
キャンプをベースに、 クライミングやバードウォッチングなどプラスアルファのアミューズメントに出かけるときに必要となるのがサブザックです。 先に紹介したように、ぼくは、カリマーやミレーのザックをよく使います。サブザックとして考えられるのは、中型のアタックザック、 デイパックなどの小型ザック、ウェストバック、あるいは収納部をたくさん設けたマウンテンパーカなどです。いずれをチョイスするかは、 何をするかによって決まってきます。
キャンプをベースに周辺を散策する程度なら、大きめのウエストバックやデイパックで十分です。 ベースから比較的離れた場所にまでトレッキングするなら、雨具などかさばる必要装備も増えるので、中型のアタックザックが適当でしょう。
また、まだ自力でラフロードを歩くのがおぼつかない幼児連れなら、ベビーキャリーを利用すると行動半径がだんぜん広くなります。 これは、エクスターナルフレームパックと同じようなもので、パックの代わりに赤ちゃんを乗せるキャリアを装備したものです。
ぼくが現在もっともよく使っているザックは、湾曲したエクスターナルフレームにパックを装着して、 パックと背中の間にクリアランスをとって蒸れなくした「エアスピードサスペンション」システムを採用した「オスプレー・アトモス25」 のLサイズです。
これはアドベンチャーレース(ボルビックトロフィーやサハラマラソンなどの耐久クロスカントリーレース)のエントラントに好評のモデルです。
**背中にフィットしやすく、メッシュ使いで蒸れないエアスピードサスペンションを装備した「オスプレー・
アトモス25」。激しい動きを伴うアウトドアアクティビティにお勧め。
キスリングザックから縦型のアタックタイプへという変革の中で、もっとも変わったのがハーネスシステムです。
キスリングザックでは単にザックのトップとボトムの両サイドを結ぶショルダーベルトがあるだけで、 荷重はすべて両肩にかかる構造になっていました。重い荷を背負うときには、ショルダーベルトが肩に食い込んで、肩が擦り切れるため、 タオルを挟んだり、頻繁にベルトをずらして背負ったり、苦労したものでした。
縦型ザックになると、ショルダーベルトの役割は、背中の適切な位置に荷を固定させることがメインとなり、 肩への荷重はぐっと少なくなって、キスリング時代の苦労はまったくなくなりました。 荷の重さを受け止めるのはウエストベルトの受け持ちとなり、パッキングから、ザックの背負い方、歩き方まで大きく変わりました。
中型以上のザックは、どれも太く厚いウレタンのパットが入れられたヒップベルトを装備しています。 これをちょうど腰骨に乗せるようにフィットさせて、腰で荷重のほとんどを受けるようにするのがザックの正しい背負い方です。 ショルダーベルトだけの場合に比べると、体の重心位置に近いところに荷重が集中するため、重さを感じずにすみ、 さらに歩行やクライミングの際にバランスをとりやすくなっているのです。
ハーネスシステムの最大の利点は、背負う人の身長や体格に合わせて微妙なアジャストが可能なことです。 荷重の大部分がかかるウェストベルトを腰骨の上に載せて位置に合わせ、 さらにショルダーベルトとザック本体のジョイント部分を肩の高さに合わせます(各メーカーでアジャストシステムは微妙に異なります)。 それで、ほぼどのような体型でも荷が背中にぴったりとフィットするはずです。調整の済んだザックを背負っている姿を横から見ると、 ちょうど背中に子供をおぶった形になります。それが、人間工学的にもっとも安定するスタイルというわけです。
さらに、最近のザックは、左右のショルダーベルトを胸のあたりでジョイントするチェストベルトが装備されています。これは、
左右に広がろうとするショルダーベルトを引き戻して、肩が開くのを防止する役割をはたしています。
ハーネスシステムは、フレーム、背面パッド、ショルダーベルト、チェストベルト、ウエストベルトと、その相互補完機能を指しています。
ハーネスは、確実に自分の体に合わせてアジャストしておく必要があります。ショルダーベルトやチェストストラップは、
歩行中でもフィッティングを調整できるので問題ありませんが、ショルダーベルトの取り付け基部のアジャストや、ウエストベルトの高さ調整は、
背負ったままではアジャストできないので、フィールドで使い始める前に必ず調整をしておかなければなりません。とくにメインザックは、
大きな荷重がかかるので、フィッティングがルーズだと、荷の安定が損なわれ、体力を消耗することになります。
ハーネスシステムは、自分の体にぴったりフィットするように調整してこそ真価を発揮します。ウエストベルトとともに、 ショルダーベルトの取り付け位置を調節し、さらに、ザックが体から離れないように、 本体をショルダーベルトに引き寄せます。 ちょうど、子供が背中におんぶしたような形でザックがフィットしていれば、 長時間、 重いザックを背負っていても疲れが少なくて済みます。 |
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